デジタル
2023/11/25 18:00

バンドマン編集部員の「2023年最推し楽器」! ギタリストのかゆいところに手が届く革新的ギア「DIMENTION TRIPPER」

こんにちは。GetNavi web編集部の玉造です。みなさんは楽器を弾いてますか? 今年は「ぼっち・ざ・ろっく!」も流行したし、バンドマン人口の増加を日々願っている私と言えば、日夜GetNavi webの仕事をしながら、友達とゆるくおじさんバンドで活動する日々を送っています。そんな中、カシオからとても意欲的な楽器が発表されました。カシオと言えばピアノや電子キーボードの「カシオトーン」のイメージが強いですが、今回はギター用…しかも他社にはない唯一無二のアイテムなんです!

 

その名も「DIMENSION TRIPPER(ディメンション・トリッパ―)」! 知らない人からは…はて? という製品かもしれませんが、本製品はギタープレイヤーとして可能性の塊なのです。

 

↑DIMENSION TRIPPER…左がレシーバーで、右がトランスミッター。2つの機材をペアリングして使います

「DIMENSION TRIPPER」の詳細はこちら

 

なかなかDIMENSION TRIPPERがどう使い、どういった機能をして、どんなメリットがあるのかを伝えるのは難しいのですが、まず簡単に概要から。

 

自由にステージ上で動きやすく!そして今までにない音楽表現も

以下の画像をご覧ください。これはギタリストやベーシストが演奏中に使っている「エフェクターボード」というもの。ギターの音をぎゃいーんと歪ませたり、ループさせたりと音声信号に特殊なエフェクトをかけることで様々な表現ができるエフェクターをたくさん積んでいます。曲にあわせて各エフェクターのスイッチをオンしたりオフしたりするのですが、その切り替えによってギタリストはこのエフェクターボードの前から離れられない問題があります。

 

↑たくさんあってこれは離れられない…

 

このスイッチペダルの中にはエフェクトの加減を踏み込み具合で操作するものもあるのですが、それらの役割をDIMENSION TRIPPERは、足元ではなく手元あたりで解決しちゃおう!というコンセプトなんです。ギターを背負うための「ストラップ」という部位に取り付けます。

 

↑ここに取り付けます

 

自分のエフェクターボードにDIMENSION TRIPPERのレシーバーを組み込み、このストラップと接続しているトランスミッターとペアリングを行う…といったもの。ストラップにつけたトランスミッターにはバネが内蔵されていて、その伸縮具合で音が変化するのです。

 

↑トランスミッターを伸ばしていない状態

 

↑トランスミッターを伸ばした状態

 

ギターを「くんっ」と下方向に引っ張っるとトランスミッターのバネが伸びて音が変化するという仕組みですが…正直ちんぷんかんぷんですよね…。動画でどう音が変わるのか見てもらえるとわかりやすいので、DIMENSION TRIPPERのYouTubeにあがっている動画をご覧ください。


見て頂けると少し感じられるかもですが、DIMENSION TRIPPERのメリットはもう1つあります。それは、今まで組み合わせにくかった2つないし3つのエフェクト効果を楽しめること。先ほど説明した通り、通常はエフェクターボードにあるエフェクターをスイッチ切り替えたりペダルの踏み具合で音を変化させるのですが、人間ってどうやっても足は2本しかないですし、当たり前ですが立ちながら演奏していたら片足は体を支えていなければなりません(プロミュージシャンの中では2本の足をバタバタさせて切り替える人もいるとか…)。そのため生み出せない、生み出しにくい音があるのです。

 

しかしDIMENSION TRIPPERは、そのもう1本の足の役割をするからこそ、新しい音作りができる。ここにDIMENSION TRIPPERの新しさがあるのです。ギタリスト草刈浩司さんが立ちながら演奏している様子を見てみましょう。

 

 

動画内で音が変質している様子がわかるでしょうか? ギターを上下させて操作しているのもかっこいいですね。

 

さてそんなDIMENSION TRIPPERですが、実は製品化されるかはまだ決まっていません!!! 現在、クラウドファンディングの真っ最中で目標達成できればギタリストのみなさんの手元に届くことになっていますが、目標達成できるか否かはあと数日の運命。

 

モノ好きなGetNavi webの編集者であり趣味でバンド活動している自分にとっては、この2023年に最も推したいアイテムであるDIMENSION TRIPPERが製品化されないなんてそんな悲しいことはない。私もDIMENSION TRIPPERでギュインギュインと音を変えてライブしたいです…。

 

「DIMENSION TRIPPER」クラウドファンディングページはこちら

 

カシオの方々からこの製品をご紹介頂いた時に、こんなに意欲的な製品を作るなんて!しかもローランドでもなくヤマハでもなくカシオが!と熱くなったわけです。とはいえ、楽器専門誌ならまだしもGetNavi webの読者にこれはどう刺さるのか…と悩みました(カシオさん、記事が遅くなりごめんなさい)。

 

正直ギタリストに届いてほしいのですが、GetNavi webとしてはギターはちょっとしか触らないという人にもDIMENTION TRIPPERの魅力は届けたい。本来はここで記事を終えてもいいのですが、少しでも「楽器は趣味程度」という人にも多面的に魅力を知ってほしいので、アラフォーおじさん世代の一般人(私の友達)にもこのDIMENTION TRIPPERの感想を聞きました。

 

↑友達と一緒に音楽スタジオでDIMENTION TRIPPERを使い倒しました

 

べるべるさんの感想

べるべるさんは、Neutral FatzというバンドでGt.Voを務める私の友達。アラフォー世代のギターフリークですね。過去に楽器店での勤務歴もあり、アマチュアなれど楽器やエフェクターが大好き。その楽器熱はべるべるさんのブログから垣間見れます。

べるべるさんの楽器ブログはこちら

 

そんなべるべるさんに数日 DIMENSION TRIPPERを使ってもらった感想です。

 

ギタリストであれば、ネックアップ時(ストラップを引き上げた際に)に感情を込めたいプレイヤーが多いでしょう。 DIMENSION TRIPPERのトランスミッター側のキャリブレーション設定では、少しの引っ張り/引き上げで感度を強く検知するように設定できるため、ストラップへの負担を軽減しつつ、エモーショナルなプレイに追従するようなセッティングもできます。

 

試奏時はペダル式のギターシンセとDIMENSION TRIPPERを接続しましたが、ストラップとギターネックの位置でシンセのピッチをグイグイと可変させつつも、体はエクスプレッションペダルに縛られることなくフリーなため、今までにない操作感覚を体験できました。楽器側のストラップピンの形状によってはトランスミッターの穴形状と合わない場合もあるため、その際は適時ピンを変える必要があります。しかしギターのみならずベース、エフェクトを多用するショルダーキーボードにも応用できるため、発想次第で新たなサウンドとプレイスタイルが生まれてくることでしょう。

↑べるべるさんがDIMENTION TRIPPERと繋いだギターシンセ

 

リバーブとDIMENSION TRIPPERを接続し、ディケイを延々とHOLDしてドローンサウンドを作ったり、オートワウに接続して半留めワウ効果を狙ったりと、アイデア次第で更なるサウンドメイクの探求ができました。さらにレシーバーは接続したエフェクターのオン/オフを切り替えたりと擬似スイッチャーのように使うこともできるため、用途によっては単なるエクスプレッションコントロールに留まらない活用もできます。

 

しかしながら、ここまでデジタル機材と相性がいいだけに、あと一歩踏み込んでMIDIにも対応してくれれば……というのが残念な点です。もしMIDIに対応していたら、DIMENSION TRIPPERのレシーバーから接続した機材のパッチチェンジを行なうなど、より統括的にサウンドをコントロールができそうな気がします。また、DIMENSION TRIPPERのレシーバー自体はコンパクトですが、一般的なエクスプレッションペダルはパッシブで電源不要の物が多いだけに、DIMENSION TRIPPERはレシーバー用の電源を準備する必要があります。この点は機能を考えるとトレードオフな部分でしょう。あとは昨今のエフェクターは高輝度なLEDを使用して非常に視認性がよい反面、DIMENSION TRIPPERのLEDは明るさに物足りなさを感じたため、この点は製品段階で改良されていれば……。

 

とはいえ、今までは足で踏み込むだけだったエフェクト操作を、よりインタラクティブな操作体験へと昇華させるDIMENSION TRIPPER。デジタルエフェクトの表現性を新しい角度から拡張させ、ストラップの動きをプレイに反映させるというアイデアは、まさにユニークかつ画期的。ライブステージで個性を発揮したいプレイヤーにぜひ試してもらいたい、意欲的なギアです。

 

非常に熱いコメントを頂きました。一般の声が欲しいと思ったのですが、楽器フリークはこれくらい熱くなる機材なのですね…。

 

カワノさんの感想

 

もう一人、日常的にライブ活動をしている人の意見も欲しいと、The knowlusというバンドで都内中心に全国でライブ活動をしつつ音源もリリースしているカワノさんにも使っていただきました。カワノさんは10年以上、The knowlusのGt.Vo.として活動を続けていて、よりリアルにライブでどのようにDIMENTION TRIPPERを活用するかがわかるかと思い、試してもらいました。参考までにThe knowlusのサウンドもサブスク配信で聴いてみてください。

The knowlusのサブスク配信はこちら

 

DIMENTION TRIPPERは、足と手を使ってエフェクターを操作するという範囲では、既に可能なことはやり尽くされた感があったところに、新しい視点というか、その手があったかという感じがしました。考えつきそうで考えつかなかった方向に可能性を拡げたと思います。

 

自分はバンドではギターボーカルをしていますが、ギターのエフェクトを足で操作しながらボーカルのエフェクトを同時に操作するというところにいつも難儀してるので、それを解決する一手になり得るかなと。あとは、ワウを足で操作しながら歌うというのが意外にやりづらい場面が結構あって、そこがDIMENTION TRIPPERを使って手元の感覚で操作できれば、よりフレキシブルに対応できるかなとイメージ出来ました。

 

ライブ中のメリットは、やはりなんと言ってもエフェクターボードから離れても遠隔でエフェクターが操作できるというところ。特にギターボーカルは歌ってギター弾いてエフェクトも操作してとやることが多いので、なかなかマイクやボードから離れて前に出るという機会が少ないポジション。DIMENTION TRIPPERがあれば、もう少しマイクの前を離れてプレイできるはずなので嬉しいですね。あとは、本来足だけでは操作が困難なワウを2重でかけるとか実験的なこともできるし、ワウを踏みながらボリュームペダルの操作も可能になると思います。

 

その何とか新しい切り口を見つけようとするチャレンジ精神を感じられました。さらに改良が進んでいけば本当に革新的なアイテムになる可能性が多大にあります。

 

ボーカリストはギター演奏以外にも歌うという作業があるので、よりDIMENTION TRIPPERのメリットが刺さりそうですね。

 

二人に話を聞いてみて、確かにまだまだみんなが演奏を楽しむには改良も必要なアイテムだと感じました。しかし、きっとたくさんの改良を積み重ねていけばいつかDIMENTION TRIPPERがギタリストにとって「あって当たり前」の存在になる可能性もひしひしと感じるのです。なので、クラウドファンディング終了まで残り数日…ぜひ興味を持ったギタリストのみなさんは応援お願いします!

「DIMENSION TRIPPER」クラウドファンディングページはこちら

 

撮影/我妻慶一