先日発売されたアップルの新しい「MacBook Pro」は、話題の「Touch Bar」を搭載し、より簡単に感覚的な操作が行えるようになりました。長年使った古いパソコンから、MacBook Proへの乗り換えを検討されている人も多いのではないでしょうか?
しかし、キーボード入力に対応している「iPad Pro」も、利用目的やシーンによっては有力候補となるのです。本記事では、この2機種を10項目で比較し、それぞれどういう使い方やユーザーに向いているのか解説します(※)。
※本記事では、13インチの新MacBook Pro(Touch Bar搭載モデル)とiPad Pro 12.9インチを比較します
1.キーボードの打ち心地
新MacBook Proのキーボードは柔らかい打鍵感が特徴です。「MacBook」のキーボードよりもキーストロークが深く感じられます。非常に軽いタッチで打てるので、長文を入力しても手が疲れにくい。また、バックライトがあるので、暗い場所でも操作可能です。
iPad Proも「Smart Keyboard」(1万9224円)などを別途購入すれば、キーボード入力が可能です。普段は画面保護用のカバーとしても利用でき、キーボード型に組み立てれば、Bluetooth接続設定をせずに素早く利用できます。ただし、“カパカパ”としたキーストロークや、独特の日本語・英語変換操作など、慣れるまで扱いが難しい点も。また、バックライトがないので、暗所では細かい操作ができなくなる点に注意が必要です。
2.携帯性とラップトップでの操作感
新MacBook Pro (13インチ)の重量は1370g。片手で楽に持てる軽さです。閉じている状態でサイズはA4用紙よりもほんの少し大きいW304.1×H縦212.4×D14.9mm。カバンに入れて持ち運びやすく、ディスプレイとキーボード部が一体なのでラップトップでも使いやすいでしょう。
iPad Pro (12.9インチ・Wi-Fi + Cellularモデル)の重量は723g。サイズはW220.6×H305.7×D6.9mm。ただし、携帯時の端末保護用にSmart Keyboardと専用の「シリコーンケース」(1万152円)を装着すると、MacBookと重量はそれほど変わらなくなります。また、キーボード入力の際に、画面の角度が調整できない点にも注意。
3.タッチ操作の使用感
MacBook Proには、Functionキーの位置に「Touch Bar」が搭載されています。アプリを起動したのち、アプリごとに便利な操作をタッチで実行することができ、使い勝手は非常に良いです。アプリの起動や終了などにショートカットキーを活用すれば、キーボード面の操作だけで大抵の操作が行えるでしょう。トラックパッドも広くて使いやすいです。
iPad Proは基本的に画面タッチで操作します。Smart Keyboardにも、トラックパッドはありません。4本指で画面を左右にスワイプしてアプリが切り替えられるなど、スマホに近い直観的なタッチ操作が魅力。ただし、表計算ソフトなどの細かい操作がしづらいというデメリットもあります。
4.ディスプレイの表現
MacBook Proのディスプレイは広色域に対応していて、緑と赤が鮮やかに写ります。輝度は500ニトあり、コントラスト比が高いので、日の光が差し込む窓辺でもしっかり視認できます。動画や画像の編集作業をする場合、細部までしっかりと確認できるでしょう。ベゼルも薄いので、デザイン的にもスマートな印象を受けました。
一方、縦画面で表示できるのは、iPadの特権。電子雑誌を読むのにちょうどいいサイズ感です。解像度はMacBook Proの227ppiよりも精細な264ppiで、美しい映像をそのまま楽しめます。ただし、画面にフィルムをつけると、フィルムの種類によっては精細感がやや下がります。
5.スピーカーのクオリティ
MacBook Proはハイダイナミックレンジのスピーカーを搭載しています。かなり大きな音を出せるので、外部スピーカーなしでも動画視聴を楽しめるでしょう。左右にスピーカーらしき穴は開いていますが、底部の穴からも全体的に音が聴こえていました。3.5mmのヘッドホンジャックもあるので、有線イヤホンも使えます。
とはいえ、音質ではiPad Proの勝利。音量も大きく、低音がよく響くので、迫力あるサウンドを楽しめます。これは4隅に搭載されているHi-Fiスピーカーによるもの。どの向きにしても上部2か所から高周波が出るように自動で調整されます。映画を視聴するために使うならiPad Proがおすすめです。
6.外部接続端子について
MacBook Pro(Touch Bar搭載モデル)は左右にUSB type-C互換のThunderbolt 3を左右に2つずつ搭載しています。サブディスプレイに接続して使うような玄人向けの使い方にも対応可能です。USB type-C型ではないUSBケーブルや、SDカードを接続したい場合には、アダプターを別途用意する必要があります。
iPad ProにはLightningコネクタがひとつだけあります。こちらも「Duet display」(2400円)などのアプリを活用すれば、USB経由でパソコンと接続してサブディスプレイとしても活用可能です。SDカードなどを使いたい場合は、アダプターが別途必要になります。
7.通信環境の構築
外出先でMacBook Proをインターネットに接続するには、Wi-Fi環境が必須となります。モバイルWi-Fiルーターやテザリング可能なiPhoneを用意しておく必要があります。
一方、iPad ProではWi-Fi + Cellularモデルを選択可能。その場合、別途契約したSIMカードを挿入しておけば、外出先でもそのまま通信を行えます。また、iPad ProでテザリングしてiPhoneの通信量を節約するという使い方もアリ。
8.スタイラスペン
MacBook Proでは、スタイラスペンで直接入力はできません(※)。必要な場合には別途ペンタブレットを用意する必要があるでしょう。
※トラックパッドでペン描画を可能にするアプリも存在するようですが、デフォルトでは対応していません
iPad Proでは別売の「Apple Pencil」(1万1664円)を活用できます。手書きメモが取れるのはもちろん、CADアプリの操作、デジタル絵画作成、レイアウト作成などを直観的に行えるのは、最大のメリットです。
9.iPhoneでもおなじみな「Touch ID」と「Siri」
MacBook Pro でもiPhoneでおなじみの機能が利用できます。Touch Barの右端には指紋センサーを搭載。指紋を登録しておいた指を乗せることで、ロック解除やコンテンツ購入の認証が行えます。また、音声コマンドで情報検索などが行える「Siri」にも対応しています。ただし、Siriの活舌は、iOS版に比べて少しぎこちない感じがしました。
iPad ProもTouch IDとSiriに対応しています。使い勝手はiPhoneと同様。指紋センサーはホームボタン上に位置しています。
10.価格の違いについて
執筆時点において、MacBook Pro13インチ・Touch Bar搭載モデルの価格は、19万3104円~。15インチ・Touch Bar搭載モデルでは、25万7904円~となります。
一方、iPad Pro(12.9インチ)の価格は、Wi-Fiモデルが8万9424円~。Wi-Fi + Cellularモデルが11万5344円~と、MacBook Proに比べて手に入れやすい価格となっています。ちなみに、専用のカバー、キーボード、ペンを全て揃えた場合は+4万1040円かかります。
以上、10項目でMacBook ProとiPad Proを比較してみました。どちらも洗練された完成度を備えた端末ですが、その使い勝手は用途によって大きくことなります。どちらの機種が自分に合っているのか迷っている方は、ぜひ参考にしてみて下さい!