Instagramをはじめ、YouTubeやTikTokなどSNSの総フォロワー数は75万人超(2025年7月28日時点)! 7月31日に初の著書『型やぶりの至極ごはん』が発売となった料理クリエイター・ちぇるさんに、その一風変わった経歴とバズるレシピを作る秘訣を語ってもらいました。
ちぇる
1996年生まれ。料理クリエイター。9年間のシェフ経験を持ち、本格的な料理テクニックを家庭向けの料理レシピに落とし込んだ簡単レシピが人気。ボリューミーなダイエットメニューにも定評がある。SNS総フォロワー数75万人を超える(2025年7月現在)。
下積み9年、料理への情熱が生んだ「型やぶり」のルーツ
料理の道を志したのは、中学のとき。「料理人ってシンプルにかっこいい!」と思って、卒業後すぐに創作イタリアンの店に弟子入りしました。その店のオーナーは、まるで漫画『ワンピース』に出てくるゼフ(主人公の一人であるサンジの師匠であり、親代わりのような存在)みたいな人で(笑)。すごく熱くて、料理の基礎だけでなく、料理との向き合い方や夢を追いかける大切さも教えてくれました。休みの日にはスノーボードに連れて行ってくれたり、家まで送ってくれたり……いまでも本当の息子みたいに可愛がってもらっています。

そこから、和食店、バル、喫茶店、鶏料理専門店、鮎料理専門店など、いろいろなジャンルの店で修行を積みました。お店が変わるたびに、食材の切り方から調味料の合わせ方、仕込みの手間まですべてが違う。最初は混乱することもあったんですが、やっているうちにいろいろな調理法を学ぶことができました。毎日が新鮮でとにかくおもしろかったです。
特に創作料理の現場では、「これとこれを合わせるのか!」という、想像もしなかった組み合わせに出会うことができました。既存の枠にとらわれない「型やぶり」な発想は、この頃に育まれたのだと思います。
料理人としての毎日は、けっしてラクではなかったです。特に大変だったのは、休みがほぼなかったこと。一時は店舗を掛け持ちしていたので、毎日3時間睡眠で何か月も休みがない、なんて時期もありました。でも、一度も辞めたいとは思わなかった。多分、僕は根っからの「料理好き」なんだと思います。飲食業を一度離れ、まったく別の業種の仕事を経験して初めて、「好きだったから、あれだけつらくても頑張れたんだな」と気づきました。
2000万再生の衝撃! 逆境がSNS大ブレイクの転機に
飲食業を離れたのは、コロナがきっかけでした。配達の仕事をしていたんですが、休みは週に1日、それ以外は朝5時に起きて夜9時半過ぎに帰ってくる日々。料理の下積み時代と違って、毎日「辞めたい」と思っていました。
そんななかで心の支えだったのがSNSです。じつは転職する少し前からYouTubeに料理の動画を上げていたんですが、2年間くらいまったく伸びなくて。誰にも見てもらえず、正直ちょっとやる気をなくしていたんです。
状況が変わったのは、TikTokを始めたタイミング。YouTubeで上げていた横動画を、試しにTikTokに縦型でアップしてみたら、なんと1日で5万再生を突破したんですよ。「これは、ちゃんとショート動画用に作りこんだら、もっとたくさんの人に見てもらえるのでは?」と思って、そこから本格的にショート動画に取り組み始めました。そうしたら、驚くことに再生数もフォロワーも爆発的に増えていったんです。
一番反応が大きかったのは、「梅もずくそうめん」のショート動画。YouTube、Instagram、TikTokをあわせると、2000万再生を超えました。
https://www.instagram.com/reel/C7xyYLqyRGm
これから夏が来るというタイミングで出したことと、 “夏の朝”をイメージした光と音の演出がよかったんだと思います。料理にあまり興味がない人からも、「なんか夏っぽい動画でワクワクする」なんていうコメントもらいました。
じつは、僕の師匠(ゼフ)が「料理はまず目で食べる。次に鼻で食べ、最後に口で食べる。だから、完成した料理の見た目がすごく大事なんや」と常々言っていたんですね。SNSって、香りと味がわからないじゃないですか。だから、照明の当て方や雰囲気づくりを工夫して、料理をいかにおいしそうに見せるか? という点を、当時から今日までずっと意識しています。

うれしいことに、SNSの投稿を見た出版社さんからお声がけをいただき、この夏に初のレシピ本『型やぶりの至極ごはん』を発売することになりました。このレシピ本も、じつは僕が半分以上撮影をしています。できるだけおいしさが伝わるように、照明から器、食材の角度などをこだわり抜いて撮影しました。レシピを再現してその味を楽しんでほしいですが、じつは見た目もよく「味わって」いただきたいです!
誰もが作りたくなる「型やぶり&バズるレシピ」の秘訣
レシピを考えるのは、主にスーパーで。行く前に考えることもありますが、店頭に並んでいる食材を見ながら、「これとこれを組み合わせたらどうなるだろう?」「普通の王道レシピはこれだけど、こっちを入れてみたらもっとおいしくならないかな?」などと考えながら店内を歩き回るのが好きです。
そんな「型やぶり」と言われる僕のレシピですが、あまり自由すぎても受け入れられない可能性があるので、クセの強い食材は選ばないようにしています。特殊な調理器具とか、専門店でしか売っていない調味料も使いません。
料理人時代、最後に働いていた店では、すべてのメニューのレシピを僕が考えていました。そのときのお客さんの反応を思い出しながら、そして、フォロワーの皆さんからもらうコメントを参考にレシピを作っています。作ってくれる人たちがチャレンジしやすく、なおかつ、ひと味違う味わいになるように、試行錯誤の日々です。

この夏ぜひ作ってほしいおすすめレシピは、『型やぶりの至極ごはん』でも最初のページで紹介している「鶏もも肉の南蛮漬け」です。とにかく、めちゃめちゃうまい! 少ない油でできて野菜もたっぷりなのでヘルシーだし、冷蔵庫で冷やして味をなじませるので、暑い日でもモリモリ食べられると思います!
斬新な組み合わせや味付けは僕が考えるので、読者の皆さんはマネするだけでOK。日本中の食卓がにぎわうようなレシピをこれからも提供していきます。
