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ウェザーニュース
2023/8/10 8:00

小川千奈「岩手で震災を経験した私だからこそ発信できることを、多くの方に届けていきたい」ウェザーニュースキャスター連載・第17回

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は105万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとしてますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を過去に展開していましたが、このたび、4月から新たに加わったキャスターや復帰されたキャスターにスポットを当て、短期集中連載として復活。今回はデビューして間もない小川千奈キャスターにご登場いただき、掘れば掘るほど意外な表情が見えてくる小川さんの魅力に迫りました!

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」一覧はこちら

小川千奈●おがわ・せんな…1999年6月30日生まれ。岩手県出身。0型。ウェザーニュース気象キャスター。2023年にウェザーニューズ入社。現在、同社が配信する「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍中。趣味・特技は料理、乗馬、絵を描くことなど。X(Twitter)Instagram

【小川千奈さん撮り下ろし写真】

 

私以上に母がこの状況を一番楽しんでいるかも(笑)

──短期集中連載の2回目は、前回の魚住茉由キャスターと同じく4月27日にデビューしたばかりの小川千奈キャスターのご登場となります。その魚住さんからは、「最近なかなかじっくりお話をする機会がなく、寂しく思っています。近いうちにお互いがお休みのときにでもゆっくりと近況を話し合いたいです」とのメッセージをいただいています。

 

小川 まゆちゃんとは本当にゆっくりとおしゃべりできる時間がないんですよね。番組内のクロストークで少し会話を交わす程度で。私もぜひ、お休みの日に一緒にお出かけして、たくさん話したいです。

 

──それと、「インタビューを楽しんでください」ともおっしゃっていました。

 

小川 はい! すごく緊張してますが、頑張ります(笑)。

 

──お2人は同期ですが、年齢は魚住キャスターが1つ上になります。にもかかわらず、魚住さんは小川さんのことを「とてもしっかりしていて、お姉さんみたい」とお話しされていました。

 

小川 言っていましたね。絶対にそんなことはないと思うのですが。ただ、研修の休憩中にまゆちゃんがずっと一人でしゃべっていて、私が「ほら、もうそろそろ時間だよ!」って引っ張っていくことが何度かありました(笑)。でも、それぐらいだと思うんですよね、私のほうがお姉さんっぽかったのは。

 

──初めてお会いしたときの印象はいかがでしたか?

 

小川 正反対の性格なのかなと思っていました。普段のファッションの好みも私とは真逆ですし。それに、まゆちゃんのほうこそ1歳差とは思えないほど大人っぽく見えたので、“怖い人なのかな……” “話が全然合わなかったらどうしよう……”って思っていましたね(笑)。けど、実際は全くそんなことなかったです。研修の時間を重ねるごとにどんどん仲良くなっていきましたし、それに2人ともこの仕事に就くまで実家暮らしだったこともあり、お互い初めての一人暮らしに寂しさを感じていて。そうした気持ちを共有できたことも、距離を縮める大きなきっかけになったのかなって思います。

 

──親しくなるにつれて、“こんな一面もあるんだ!?”と意外に感じたことなどはありますか?

 

小川 それは……ないですね。研修中は朝から夜までずっと一緒で、宿泊していたホテルも同じだったので、晩ご飯もよく一緒に食べて帰っていたんです。ですから、研修中にお互いのほとんどのことを知れたのではないかと思います。あ、ただ、意外な一面とは少し違うかもしれませんが、アイスが好きだということは研修中にもよく聞いていたものの、まさか1日に4個も食べるほどとは思わなかったです(笑)。その意味では、デビューしてからちょっとずつ本領を発揮して、すべてをさらけ出してきているなという感じはします(笑)。

 

──さて、そのデビューから約3か月が経ちました。これまでを振り返ってみていかがですか?

 

小川 一生懸命生きていたら、あっという間に3か月以上が過ぎていたという感じです(笑)。日々、覚えることがあり、その日の本番でできなかったことがあれば、スタッフさんからフィードバックをいただいたり、家に帰ってから何が足りていなかったのかを反省するということを今もずっと続けていますので、気づいたらこんなにも月日が流れていて、その事実に驚きしかないです。

 

──当時の番組映像を見返すことはありますか?

 

小川 最近になってようやく見返せるようになりました。デビューの頃に比べたらちょっとは成長しているんじゃないかと思えるようになったからなんですが、それまではどうしても怖くて、“絶対、無理!”と思っていました……(笑)。

 

──どういったときに見返すことが多いのでしょう?

 

小川 地震が発生したときの自分の対応を反省材料として見ることが多いです。話し方や声の強弱、しゃべりの速さなどを客観的に見て、改善点を探すようにしています。

 

 

──確か、デビューをしてすぐぐらいの番組内で地震速報が入りましたよね。

 

小川 はい。1人で3時間を担当するようになった初日とその翌日の2日連続でした。その後も私が担当する番組中に地震が発生することが多く、スタッフさんからも話題になるほどでした。

 

──最初の頃は白井ゆかりキャスターが隣で見守ってくれていたと番組内でもお話しされていました。

 

小川 そうなんです。ものすごく心強かったです。地震速報が画面に出た瞬間、私の頭の中が混乱してしまって。でも、すぐにゆかりんさんが駆け寄って来てくれて、“これを冷静に伝えていけばいいんだよ”ってメモを渡してくださったんです。そうした地震のとき以外でも、いつも先輩方は気になったところがあれば放送後にアドバイスをくださいますし、スタッフさんも本番中にイヤモニ越しに助けてくださるので、本当に多くの方に支えられているなと思います。

 

──キャスターの皆さんは普段からイヤモニで指示を受けながら番組を進行されていますが、耳で聞きながら同時にトークを展開していくというのは、想像以上に難しい作業なのではないかと思います。

 

小川 初めの頃は慣れなかったですね。耳から入ってくる声に集中するあまり、生放送中なのに無言の時間ができてしまったりして。たまにスタッフさんからの指示に、「はい」って口に出して答えてしまうこともあったので、裏側を知らない視聴者さんは、「この子は一体誰と話しているんだ?」と困惑していたのではないかと思います。でも、それ以上にキャスターにとってもっと大変なのが、機械の不調でイヤモニから声が聞こえないときなんです。その瞬間の心細さったらないです(笑)。

 

──想像するだけでも恐ろしいです。

 

小川 “あれ!? 何も聞こえないぞ?”と思いつつ、でも放送が始まってしまったら、“とりあえず、次のインターバルまで一人でやりきるしかないぞ”って腹をくくるしかなくって。そうした度胸はちょっとずつ付いてきたかなと思います。

 

──思えば、4月27日のデビュー日は緊張のあまり、準備していた自己紹介用の内容が全部吹き飛んだとおっしゃっていましたよね。

 

小川 そうでした。それで翌日に自己紹介をやり直したりして(笑)。ただ、ちょっとだけ言い訳をさせてもらうと、デビュー日に担当したのが「コーヒータイム」(午前11:00〜午後2:00)の時間帯だったんです。でも、私は研修の間ずっと「サンシャイン」(午前8:00〜11:00)用の構成で練習をしていて。時間が違うと準備する台本の内容も変わりますから、ぶっつけ本番みたいな感じで「コーヒータイム」をすることになったんです。それに、研修中は何をするにもまず最初にまゆちゃんがやって、次に私という順番がいつの間にか出来ていたんですね。それが、あの日だけはなぜか私から本番に臨むことになり、そのことで私の中でちょっと狂いが生じたんです(笑)。“あれ、なんで今日に限って、まゆちゃんが先じゃないの?”って。

 

──それは確かにリズムが狂いそうです(笑)。では、そのデビューしてからの周囲の反響はいかがでしたか?

 

小川 両親がすごく喜んでくれていました。母はネットに疎いので、最初はウェザーニュースLiVEのことをよく分かっていなかったんです。でも、私がキャスターになってからはよく番組を見るようになり、今ではすっかり先輩キャスターさんたちのファンになっています。サインプレゼントの企画などがあると、「私も欲しい!」って応募していますから(笑)。

 

──自分の子どものコネを使わないところがファンの鑑ですね。

 

小川 そこは“平等に勝負してこそ本物のファンだ”という思いがあるみたいです(笑)。

 

──小川さんの仕事ぶりに関してお話をされることは?

 

小川 最初の頃は何も言われなかったので、あまり見てないのかなと思っていたんです。何も言わないほうがいいのかなと思っていたらしく、失敗も糧になると見守っていたらしいです。でも、実は結構チェックしてくれているみたいで。ふとしたときに、「昨日より今日の服のほうがよかったね」と連絡がきたりします。といっても、母が用意した服を着ることが多いので自画自賛なんですけど(笑)。今ではマイクをつけやすいように服をアレンジして送ってくれたりもするので、母が一番楽しんでいるんじゃないかと思いますね。

 

私は完全に江川チルドレンだと自負しています!

──小川さんがウェザーニュースLiVEのキャスターになろうと思ったきっかけはなんだったのでしょう?

 

小川 番組をよく見ている友人がいて、「キャスターを募集しているから応募してみたら」と言ってもらったのが最初でした。また、それ以前は高度急性期病院で看護師をしていたこともあり、命と向き合うことが多かったんです。そのため、もしかしたら気象を伝えるという新しい道で人を助けることができるのはないかという思いもあり、挑戦してみることにしました。

 

──それまで番組自体をご覧になったことは?

 

小川 応募するにあたってウェザーニュースLiVEの過去の動画を見ていたら、私が高校生だったときにたまたまSNSで見て衝撃を受けた松雪彩花キャスターとガチャピンの切り抜き動画が出てきたんです。そのとき、“あ、これがウェザーニュースLiVEだったんだ!”と運命的な再会にびっくりしました(笑)。

 

──そんな邂逅が(笑)。オーディション自体はいかがでしたか? 面接の際、愛読書として『魔太郎がくる!!』を挙げたという有名なエピソードもすでにありますね。

 

小川 『魔太郎がくる!!』の話は確か最終オーディションのときにしたんです。それまではずっと真面目そうな人だと思われていたらしいのですが、その発言で一変したようで(笑)。……いや、私自身は実際に真面目な人間だと思っていますよ(笑)。でも、そのあとで、「小川さんって、話せば話すほどどんな人か分からなくなってきます」と言われたので、“あぁ、これは落ちたな……”って思いました。

 

──では、キャスターに受かった要因はなんだったと思いますか?

 

小川 本当に分からないんです。応募したときも、とりあえずやってみようという気持ちだけでしたので、選考が進んでいくうちに、“あれあれ? 意外と残っちゃってる!?”とびっくりしてしまって。自分のなかではずっとイレギュラーの連続でした。

 

──ということは、受かった瞬間は不思議な感覚だったのでは?

 

小川 最終面接が終わって、しばらくして……それこそ忘れかけていた頃に電話が来たんですよね。しかも、お電話をくださった方の声のトーンがすごく低かったんです。ひょっとしたら、私自身が不合格を覚悟して、沈んだ気持ちで電話に出たから低く聞こえただけなのかもしれませんが、私も私で、“そうだよね、やっぱりダメだよね……”っていうテンションで電話に出ちゃって(笑)。そしたら、会話の途中あたりで、「これから一緒に頑張っていただけますか」という言葉が耳に入ってきたんです。最初は状況がよくつかめず、次に驚きがきました。“『魔太郎』の話までしたのに受かっちゃった!”って(笑)。

 

──(笑)。自分をさらけ出したことが良かったのかもしれませんね。

 

小川 確かに。たとえ面接で自分をよく見せたとしても、働き始めたらすぐにボロが出ると思ったので、最初から素の自分を出そうと決めていたんです。そうした自己開示や、自分を一切取り繕うことなく臨んだことも合格の要因の1つだったのかもしれないです。

 

──研修はいかがでしたか?

 

小川 番組で見ていたキャスターさんたちが目の前に次々と現れては、いろんなことを教えてくださるので、初めの頃はただのファンの気持ちになって舞い上がっていましたね(笑)。最初にお会いしたのが江川清音キャスターでした。「研修を担当する江川です」とあいさつをされて、それだけですごく感動したのを覚えています。その後もずっとさやねさんが付きっ切りで教えてくださったので、私は完全に江川チルドレンだと自負しています!

 

──特に印象的だったことは?

 

小川 途中からゆかりんさんもご指導してくださったのですが、お2人とも自分の時間を犠牲にしてまで研修に付き合ってくださったことが本当に嬉しかったです。私とまゆちゃんがクロマキーの前で何時間もかけて練習しているときも、ずっと一緒にいてアドバイスをくださって。それに、さやねさんもゆかりんさんも、私たちに足りないものは何かを常に考え、上の方に「こういう研修をさせてあげてください」と交渉までしてくださったんです。それもあって、私たちの代では研修の内容が大きく変わったとうかがいました。キャスターとしての先輩だからこそ分かる“必要な要素”を取り入れていただいたおかげで、実際の放送で役立っていることがたくさんありますし、そんな素敵で優しい先輩方ばかりがいる環境だということが、私がウェザーニュースLiVEのキャスターになって感じた一番の喜びですね。

 

 

──では、いざキャスターになった今、視聴者として番組を見ていたときと比べて、どのような印象の違いを感じますか?

 

小川 やはり、先輩方のスムーズな番組進行がいかにすごいことなのかを実感します。私もデビューして2か月経ったぐらいのときにスタッフさんから、「やっと番組の流れが見えてきて、進行もスムーズになってきたね」と褒めていただいたんです。そのときは、“でしょ、でしょ!”って喜んでいたのですが(笑)、まだまだ全然足りていないことも自覚していて。たとえば、ななさん(高山奈々キャスター)を見ていると、地震などの速報が入っても、緊張感をしっかりと出しつつ、どこか視聴者に冷静さを促すように親近感のある表情や言葉使いをされているので、そうした機転や技術が自分にはまだまだ不足しているなと感じます。

 

──そうしたなか、同期である魚住キャスターは小川さんにとって、どのような存在になっていますか?

 

小川 自分にはないものをたくさん持っているので、すごく勉強にもなりますし、いい刺激ももらっています。特にフリートークがそうですね。まゆちゃんは研修のときからトークが本当に上手で、反対に私はすごく苦手だったんです。まゆちゃんのように感情豊かに話すことができず、研修中もよく「気持ちが出ていない」と注意されていました。もしかすると、それまで看護師として感情を封じ込めるように心がけていたので、そこも原因としてあるのかもしれませんが、でも、いつまで経っても出来ない自分が本当に悔しくて。研修中は家に帰ってから、毎日部屋の中でブツブツブツブツとフリートークの練習をしていました(笑)。もちろん、トーク以外でもお互いに得意不得意があり、そのことでまゆちゃんと比べられることもあると思います。けど、それが同期のいる良さでもあると思いますし、“私も負けないように頑張るぞ!”という原動力にもなるので、その意味でも、まゆちゃんの存在は私にとってすごくありがたいですね。

 

気象キャスターになった今、この番組の重要性や意義を改めて強く感じています

──小川さんはもともと天気に興味をお持ちだったのでしょうか?

 

小川 天気というより、空を見るのが好きでした。特に星が大好きで、幼稚園のときに買ってもらったギリシャ神話の本をきっかけに、星に関する本をたくさん読んだり、家族でよくプラネタリウムを観に行ったりしていました。当時はプラネタリウムのクイズに全問正解するほどでした(笑)。

 

──星といえば、先輩キャスターに星空案内人の資格をお持ちの山岸愛梨キャスターがいらっしゃいますね。

 

小川 はい! あいりんさんの星に関する特番は必ず見ています!! いつかは私も星空案内人の資格を取りたいと思っています。ただ、今は勉強したいことがたくさんありすぎて、同時にいろんなことに手を出すとどれもが中途半端になってしまう気がして。ですので、まずはお仕事に直結する気象に関することに集中しようと思っています。

 

──そういえば、以前SNSで『すごすぎる天気の図鑑 雲の超図鑑』を購入されたとつぶやいていらっしゃいましたね。

 

小川 荒木健太郎先生の著書ですね。すごく面白かったです。荒木先生の本は分かりやすいうえに、パーセルくんというかわいいキャラクターが登場するので、楽しく気象を学べるのが最高です(笑)。それと、もちろんポン子ちゃんの本(『ウェザーロイドAiriのソラヨミのススメ。』)も読んでいます。気象という分野はそれまで難しい印象があったのですが、どちらの本も面白く知識を得られるので、ますます空について関心を持つようになりました。もともと読書は大好きなので、今後も先輩方の本をはじめ、たくさんの本を読みたいと思います。

 

──気象キャスターになってから、空の見方も変わりましたか?

 

小川 毎日、雲の高さを気にするようになりました。視聴者さんから届くリポートにもいろんな空の写真があるので、雲の色や形、それに模様の違いも意識するようになりましたし。また、私は岩手県出身なので、夜空の見え方も全然違うんです。東京や千葉は背の高いビルがたくさんあるので、あまり星が見えなくて。そうしたところからも、同じ日本でこれだけ空の見え方が違うんだということを改めて感じるようになりましたね。

 

──岩手出身ということは、東日本大震災も経験されているのでしょうか?

 

小川 はい。だからこそ、番組内で地震速報の対応がうまくできなかったときは悔しさがありました。私の家は岩手県の中でも内陸部のほうでしたので、震災時は停電や断水程度で済んだのですが、21歳のときに津波で大きな被害を受けた陸前高田市に足を運ぶ機会がありまして。震災から10年ほどが経ち、まだ重機がそこかしこで動いている一方で、一度海に流されてしまった街が復興していっている様子に人の力強さを感じたんです。それに、そのときの私には何もできませんでしたが、気象キャスターになった今であれば、番組を通じて防災を呼びかけることができる。また、あのような大きな地震を地元で経験したことで、私だからこそ伝えられるものがあるはずなので、その気持ちを忘れずに、これからも気象キャスターとしてできることを発信し続けていけたらなと思っています。

 

──すでに何か始めていることはあるんですか?

 

小川 先日、防災士の資格を取りました。それと、最近は報道と防災の連携についても勉強しています。東日本大震災のときはネット環境が今とは違いましたし、当時どのような報道をしていたらもっと多くの方を救えたのか、また、今であればどんなことができるのかといったことを日々考えています。それを思うと、ウェザーニュースLiVEの存在というのは本当に大きいなと感じます。チャットを通じて全国の気象情報がリアルタイムで分かりますし、そうした情報をみんなで共有することで、いろんな災害を自分事として考えられるようにもなる。気象キャスターになった今、この番組の重要性や意義を改めて強く感じています。

 

先輩方のいいところを吸収し、ミックスして、自分だけの道を創造していきたい

──以前、番組内でもお話しされていましたが、小川さんは積極的にウェザーリポートを送っているそうですね。

 

小川 ほぼ毎日送っています。これは気象解説員の山口(剛央)さんの影響でもあるんです。山口さんも毎日送っていらっしゃると知って、私も真似してみました。それに、ウェザーリポートをたくさん送ってポイントを貯めてWxBeacon2(簡易気象観測器)をもらいたいという目的もあります(笑)。また、何よりも私自身がキャスターになってみて、皆さんからのウェザーリポートのありがたみを強く感じているので、私もリポートを送ることで番組や気象情報の収集に貢献できたらなという思いもあるんです。あと、実際にリポートを送ると、皆さんからコメントが返ってくるのもすごく嬉しくて。一人暮らしを始めたばかりの私にとっては、ソラトモさん(ウェザーリポーター同士のコミュニティ)たちの存在を身近に感じることで心が救われているところもたくさんありますね。

 

──では、ウェザーリポート以外でよく利用しているウェザーニュースのアプリ機能や、番組内での好きなコーナーを挙げていただくと?

 

小川 好きなアプリ機能は服装予報です。毎日愛用しています。遠方に出かける予定があるときもすごく重宝しそうですよね。たとえば、岩手と東京だと気温や天候がまるで違いますから、帰省するときに役立ちそうです。番組内のコーナーで好きなのは、当然「ウェザーニュースUPDATE」です! 江川チルドレンですからね。さやねさん直伝の“試合”を継承していこうと(笑)。実は以前、さやねさんにお会いしたとき、「私が始めた“試合”をやってくれているんだね」と言われたことがあって。すごく喜んでくださっていたのが、私も嬉しかったです。

 

──そうした「ウェザーニュースUPDATE」をはじめ、番組内で天気を伝える際に意識していることはありますか?

 

小川 大前提の話になりますが、視聴者の視点に立って情報を分かりやすくお届けするということです。そのためにも、普段から気象解説員の皆さんとブリーフィングをするときは、どんな些細な内容でも気になることがあれば質問をするようにしていますし、視聴者さんに天気に興味を持ってもらえるように、トークで話せるネタとして、ソラヨミのポイントは仮に番組内で使わなかったとしても必ず聞くようにしていますね。

 

──番組中での小川さんと解説員の皆さんとの掛け合いも、見ていてすごく楽しいです。

 

小川 ありがとうございます。皆さんとはしっかりとコミュニケーションを取ることをいつも心がけていて、番組のインターバル中も余裕があれば、他愛のない話をしたりしています。私はまだ訛りが抜けていないことが多いので、山口さんからよく指摘を受けたりして。内藤(邦裕)さんからもよく、「せんちゃん、さっきの言葉は発音がちょっと違うよ」と教えていただきます(笑)。

 

 

──体に染み付いているイントネーションは、頭で分かっていてもなかなか直せないですよね。

 

小川 そうなんです。でも、オーディションのときは、「あまり訛ってないですね」って言われたんです。その記憶があったので研修に入るときも安心していたんですが、実はかなり訛っているみたいで(笑)。今でもスタッフさんが番組中の私の訛りを全部チェックし、放送後に正しい発音を一緒に調べてくれたりと、皆さんが一丸となって私を正しい道へと導こうとしてくださっているので(笑)、本当に感謝しかないです。

 

──では最後に、今後はどのようなキャスターになっていきたいと思っていますか?

 

小川 先輩方のいいところを全部吸収し、それらをミックスしつつ、かつ、自分らしい道を創造していきたいなと思っています。 “千チョップ”はさやねさんあってのものですし、ななさんからはツチノコヘアを伝授していただいたので、次はゆかりんさんの蟹座いじりもしっかり引き継いでいきたいなと(笑)。もちろん、その前にキャスターとしての技術もしっかりと学んでいきたいと思っています。

 

──今、先輩キャスターから一番吸収したいと考えているのはどんなことですか?

 

小川 トーク力ですね。いろんなスタッフさんから指摘を受けているんですが、私は“つなぎの言葉”が足りないんです。いつも進行が淡々としていて、コーナーが終わったあとも、『では、続いて全国のお天気を見ていきましょう』と、サクサクと次の話題に行ってしまうので、余裕がないように見えてしまって。ですから今は、先輩方の番組をたくさん見て、コーナーとコーナーをつなげていくための言葉をメモするようにしています。ちょっとしたひと言があるだけで、番組の雰囲気が大きく違ってきますし、特にあいりんさんは言葉の引き出しが豊富で、話のつなぎ方も本当に見事なので、いつも就寝前に動画を見て勉強しています。

 

──なお、次回は松雪彩花キャスターにご登場いただくのですが、松雪キャスターからはどんなことを吸収したいですか?

 

小川 全部です! 先ほどもお話ししたように、私が初めてウェザーニュースLiVEのことを知ったのはあやちさん(松雪)の切り抜き動画でしたし、ずっと憧れの存在なんです。今でもその方と一緒にお仕事できているということが信じられなくて。しかも、《シャケ子姉さん》と《梅子》として動画の共演までさせてもらったのは一生の思い出です!(笑) そんなあやちさんから一番吸収したいのは……やはり柔軟なトーク力ですね。ふわっとしたあの癒やされる話し方やしゃべるスピードには誰もが魅了されると思うんです。それでいて、地震などの緊急時には凛とした声になる。しかも、それが計算じゃなく、自然体でできるところが素敵なんです。普段から全く裏表がなく、画面で見ているまんまの方ですし、“そりゃあ、多くの人から愛されるはずだ”と思いました。インタビューされる際は、「すべてが大好きです! これからもたくさんいろんなことを教えてください」とお伝えください。……と、その前に、私はいまだに“あやちさん”のイントネーションが訛ってしまうので、正しく言えるようにしっかり練習しておきます(笑)。

 

《小川キャスターに16の質問!》

Q01. ご自身ではどんな性格だと思いますか?

小川 いつも元気です! ガッツもあります!! 情熱もあります!!! 落ち込むことがあっても、すぐに切り替えられます。幼少期から活発なほうで、みんなと泥遊びをしたり、カエルを捕まえては家に持ち帰ってくるような子ども時代を過ごしていました。母からもよく、「千は今も小僧だよね」って言われます(笑)。

 

Q02. 関東での生活はいかがですか?

小川 関東がというよりも、初めての一人暮らしに苦労していますね。母は専業主婦で、家のことをすべてやってくれていたので、今この歳になって料理やお洗濯を一人でこなさなければいけない大変さを身にしみて感じています。きっと、次に実家に帰ってぼ〜っとしているときにご飯が出てきたら、そのありがたさにボロ泣きすると思います(笑)。

Q03. 上京する際に持ってきた宝物は?

小川 母の手作りのポーチ。幼稚園に通っていたときに、お弁当箱入れとして母が作ってくれたものなんです。今は母からプレゼントでもらったハンカチを入れるポーチとして使っているのですが、思えば、こんな小さな袋に入るお弁当で満足していたのかと驚きますね(笑)。あとは、オーディションのときに持っていた地元の神社のお守も、私に幸運をもたらしてくれたので、今もカバンに付けています。

昔から物持ちがすごくいいんです。番組で着ている衣装の多くは母からのお下がりですし、高校生の頃に買ってもらったiPhone 6をいまだに使っていますし。ただ、iPhoneに関してはiOSのアップデートができず、YouTube が見られなくなったので、今はほぼ音楽を聴く専用機になっていますね。

↑小川キャスターが今も大切に使う宝物、お母さんからの手作りのポーチ

 

Q04. 学生時代は何キャラでしたか?

小川 いじられキャラでした。いじってもらうのは好きなので、番組でサポーターさんや先輩方からいじられるとちょっと嬉しくなります(笑)。

Q05. 今読み直したい漫画ベスト3は?

小川 『魔太郎がくる!!』(著/藤子不二雄A)はマストですね。2位は『ブラック・ジャック』(著/手塚治虫)。3位は『三丁目の夕日』(著/西岸良平)です。父が男3兄弟だったこともあり、祖母の家に行くとマンガ喫茶のように大量の漫画があったので、男の子っぽい作品をたくさん読んできたのはその影響です。

 

Q06. 妖怪にハマったきっかけは?

小川 小学1年生のとき、本屋さんで両親が「職業図鑑を買ってあげる」って言ってくれたんです。でも、私はそのときたまたま見つけた妖怪辞典が欲しくてたまらなくて、そのことで両親とケンカしているうちに、興奮しすぎて鼻血を出してしまったんですね(笑)。それを見かねて、妖怪辞典を買ってもらったのが、最初に好きになったきっかけです。その後、『ゲゲゲの鬼太郎』など妖怪に関する本を読むうちにどんどんとハマっていって。それに、もともと岩手県は遠野の河童伝説をはじめ、妖怪にまつわる逸話や民話がたくさんある土地なので、そうした地元の風土的な部分も含めて好きなんです。二戸市には座敷わらしで有名な旅館もありますし。予約が取れないのでまだ行ったことがないのですが、一度は泊まってみたいですね。

↑ 愛読書「まんがで読む星のギリシャ神話」「魔太郎がくる!!」(第1巻)。長い間愛読されていたのが分かります

 

Q07. ブルーインパルスの魅力を教えてください!

小川 シンクロしながらアクロバット飛行する技術には毎回感動させられました。まさに神業です。父の影響で、物心ついた頃から航空祭などによく連れて行ってもらっていたので、私も自然と好きになりました。家で父と一緒に『トップガン』とかを見ると大変ですよ。戦闘機の解説やらうんちくをずっと横で話しているので、ストーリーが頭に入ってこないです(笑)。そんな環境で育ったからなのか、青森の三沢ベースで働きたいなと思ったこともありました。松島基地に見学にうかがい、パイロットの皆さんからサインをいただいたのは、今でも宝物です。

Q08. 理想の休日の過ごし方と現実は?

小川 デビューするまでは、キャスターという響きから、きっと優雅な休日を送っているんだろうなと妄想していたんです。おしゃれなお店でアフターヌーンティーとかを楽しんだりして、もしかして私もそうなるのかなって。……寝ていますね(笑)。気づいたら一日が終わっているパターンです。でも、いつまでもそれだとせっかくのお休みがもったいないと思って、最近乗馬を始めました。地元でもやっていたので、懐かしさを覚えながら楽しんでいます。

 

Q09. では、その乗馬の素晴らしさを教えてください。

小川 ホースセラピーというものがあるぐらい、馬に触れていると心がふわっと軽くなり、ストレス解消にもなります。それに、乗馬はただ乗るだけじゃなく、厩舎から出したり、馬具を装着したりと、準備も自分でしなければいけないんです。ときどき蹴られそうになることもあるので危険ですし、そうしたことで集中力や生き物を大切にする心も養われる。そこも魅力だなと思っています。また、私はよくスタッフさんから姿勢が良くないと指摘されるので、乗馬をすることで少しでもその改善につながればいいなという思いもあります。

Q10. ほかのキャスターにここは負けないぞ!という強みは?

小川 やり抜く力ですね。“これは絶対にやるんだ!”と決めたことはどんなコンディションでもやり抜きます。これは幼少期に習い事が多かったことで培われたものだと思います。一週間で10個以上の習い事をし、それ以外にも週3で新体操のレッスンにも通っていましたから。たまに塾を途中で一旦抜けて、新体操に行ってから、また戻って勉強したりして(笑)。しかも月謝を払っている以上、絶対に休まないようにしていたので皆勤賞でした。それでいて、学校での友達の話題にもついていきたいので、帰宅してから録画したドラマとかを見て寝るというタフな生活を送っていて。おかげで相当な体力と精神力、マルチタスク能力が身についたと思います。

 

Q11.「6月会」(※6月生まれのウェザーニュースLiVEキャスターの集まり)に入って楽しかったことは?

小川 まず“6月に生まれてよかったぁ!”とこれほど強く思ったことはないです。30日生まれなので、母も「ギリギリ6月に生んでよかった!」と喜んでいました(笑)。入会のお誘いはゆいさん(駒木結衣キャスター)からいきなり連絡が来たんです。「『6月会』に入らない?」って。“やった!”と思って、二つ返事で入りました。でも、改めて考えてみたら、あいりんさん、ゆかりんさん、ななさん、ゆいさんという錚々たるメンバーでしたので、みんなで食事に行ったときは緊張でガチガチでしたね。そうしたなか、あいりんさんがお話ししてくれた「SOLiVE24」(※ウェザーニュースLiVEの前身)時代のエピソードがすごく面白くって。調子に乗って、「SOLiVE時代と今とでは、どちらが楽しいですか?」という怖いもの知らずな質問までしてしまいました(苦笑)。あいりんさんは「それぞれに違った良さと楽しさがあるから、どちらも大好き」とおっしゃっていましたね。また、あいりんさんからは気象キャスターとしてこれから大事にしないといけないことなど、心に残る言葉もたくさんいただき、すごく充実した時間を過ごさせていただきました。

Q12. 普段、番組の切り抜き動画は見ますか?

小川 先輩方の動画は昔から楽しんで見ています(笑)。自分の切り抜きは……最初は怖くて見られなかったです。でも、ちょっとずつ勇気が生まれたのと(笑)、自分を客観的に見られるようになってきたこともあって、最近は楽しめるようになりました。ただ、切り抜きを見る目的は反省の意味を込めてという思いが強いです。動画で見ると意外と早口になっていたり、逆にちょっと間(ま)が空きすぎているなと気づくことが多いので、そうした確認として見ていますね。そういえば、先日、私の名前が入ったチャンネルを見つけちゃったんです。それが本当に嬉しくって。編集作業など大変なことが多いでしょうし、私のために貴重な時間を割いてくださってありがとうございますという思いでいっぱいです。

 

Q13. 好きな岩手弁は?

小川 じゃじゃじゃ。正確には《じゃーじゃっじゃ》ですね。ドラマをきっかけにじぇじぇじぇが有名になりましたけど、私の地元である盛岡ではじゃじゃじゃと言います。驚いたときに出る言葉なので、使い方は同じですね。

 

Q14. 岩手のおすすめ観光スポットは?

小川 個人的には宮沢賢治の故郷『花巻』が大好きで、よく遊びに行っていました。すごくいい街ですし、有名なマルカンビル大食堂というお店があり、高さが10巻25センチぐらいあるソフトクリームが人気なんです。お箸を使って縦にすくって食べます。お箸以外で食べている人を見たことがありません(笑)。この食堂には大谷翔平さんや菊池雄星さんも通っていたと言われていて、野球ファンの聖地にもなっています。ほかには、世界遺産に登録されている平泉の中尊寺も好きですね。

Q15. GetNavi webということで、今、一番欲しい家電は?

小川 吸引力の強い掃除機。お掃除をするのが大好きなんです。ロボット掃除機もいいなと思うのですが、彼らが一体どうやって掃除をしてくれるのか、その実態がいまいちつかめていないので(笑)、しばらくはまだ手持ちの掃除機がいいですね。

 

Q16. では、ご自身を家電に例えると?

小川 パソコンかな。先輩キャスターやスタッフさん、それにサポーターの皆さんからいろんな情報をインストールして、常にアップデートし続けていきたい……そういう願いを込めてパソコンで!

 

 

小川千奈さんのサイン入り生写真を3名様にプレゼント!

 

<応募方法>

下記、応募フォームよりご応募ください。

https://forms.gle/2aZVYE2eDKNSthTs8

※応募の締め切りは8月31日(木)正午まで。
※当選は発送をもってかえさせていただきます。
※本フォームで記載いただいた個人情報は、本プレゼント以外の目的での使用はいたしません。また、プレゼント発送完了後に情報は破棄させていただきます。

 

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撮影/中村 功 取材・文/倉田モトキ