日々新しいトレンドが生まれては更新されていく、現在のファッションシーン。中でもスニーカーのトレンドは、恐ろしいほどに目まぐるしく流動的で、追いかけるのもひと苦労。だけどその都度新しいモデルを買い足していけるほど、財布にもクローゼットにも余裕はない。じゃあ一体、ファッションスニーカーは何を買えば良いのか!?
そんな大いなるテーマに答える絶対の真理が、ひとつだけ存在する。それは「定番モデル」。そんなわけでスニーカーシーンの代表的ブランドから、それぞれが誇る定番中の定番モデルをご紹介。第3回目は日本が世界に誇るビッグブランド、アシックスの中でも、ライフスタイルシューズにクローズアップしたコレクションであるアシックス タイガーにフォーカスします。
1949年、鬼塚喜八郎により立ち上げられた鬼塚商会を前身とするアシックス。翌年リリースしたバスケットボールシューズを処女作として、さまざまなスポーツシューズを開発していく中で世界へ進出。1977年には当時のオニツカ株式会社と他2社が対等合併した、株式会社アシックスが誕生し、更に高いレベルでスポーツ専用シューズを開発していく。
当初ここ日本では“ファッションピースとしてのスニーカー”という価値が伴うことはなかった一方で、欧米では極東の先進国から来たハイテクスニーカーとして人気を確立。その奇妙なズレを解消するため2015年にリスタートしたコレクション、それがアシックスタイガーだ。スニーカーが最も輝いていた80〜90年代のプロダクトをモダンにリファインする同コレクションから、スニーカー事情に造詣深い編集ライター・ヤマモトサトシ氏のコメントで定番5モデルをご紹介しよう。
ヤマモトサトシさん
ファッションやアウトドア、ライフスタイル雑誌などで、スポーツ及びアウトドア関連のプロダクトを中心に執筆。シューズ選びで重視するのは“機能美”。どんなに優れた機能があろうとも、見た目が良くないと食指は動かず、その逆もまた然り。
[01]
ゲルシリーズの人気筆頭モデル
アシックスタイガー
GEL-LYTE Ⅲ
実売価格6480円
「ナイキにエア、リーボックにヘキサライトがあるように、アシックスにもオリジナルの衝撃吸収システムがあります。それがゲル。80年代中盤、各社がしのぎを削った衝撃吸収競争の中で生まれたこのオリジナル素材は、当時のアシックスを代表する最新鋭システムとして、幾つものシリーズモデルがリリースされてきました。
中でも一番の人気を誇るのが、この『ゲルライト3』。上野のミタスニーカーズやニューヨークのKITHなど、数々の世界的プレミアムスニーカーショップの別注モデルベースにも選ばれてきた、まさにアイコニックな1足です。インラインはもちろん、海外限定版やキーアカウントショップ別注モデルなど、豊富なバリエーションが揃うのも魅力ですね。スプリットタンと呼ばれるセンターで分割されたシュータンデザインが特徴です」
[02]
モノソック構造による高精度フィッティングを実現
アシックスタイガー
GEL-LYTE V
実売価格8640円
「前述の名作『ゲルライト3』発売から3年後。1993年にリリースされたゲルシリーズの5代目モデルが、この『ゲルライト5』です。ゲルの成功でクッショニング開発にマイルストーンを残したアシックスが同時進行的に目指していたのが、フィッティングの向上。その93年時点でのひとつの答えとして『ゲルライト5』に採用され、同モデルのアイコンともなったシステム、それがモノソック構造です。シュータンとアッパーが一体になった、インナーブーティーシステムですね。
今でこそ見慣れたシステムですが、当時はかなり革新的。それも極東の国ジャパンからのリリースですから、欧米諸国のスニーカー業界は相当ザワついたんじゃないでしょうか。その証拠に、こちらも海外有名ショップなどの別注モデルが多数あります。オーセンティックなルックスとハイテク感のバランスが絶妙です」