無数のラインナップの理由は、創業以来のこだわりによるところも
ーー相当なこだわりを感じる一方、これこそがヘルツだという印象も受けます。そもそものバッグや財布に対するブランドとしての思いはどういったものなのでしょうか。
泉 やはり「長年使っていただく」ことが主眼です。ヘルツでは何年前にご購入されたモノでも、できる限り修理をさせていただいています。創業以来、廃盤はなるべくしないようにしています。たとえ廃盤になったとしても型紙は保存し、できる限り対応させていただけるよう準備しております。
ーーそうなんですか?
泉 例えば20年前にご購入いただいて、それと同じ型のモノを使いたい場合、他メーカーだと廃盤になっていることも多くあります。売れるものだけが残っていくので、これは仕方がないことかもしれませんが、ヘルツではこういった声を大切にしていて。たとえ、店頭に並んでいなくても、サンプル品以外の商品化された型であれば、再び使っていただけるように可能な限りの修理をおこなっています。正直言いますと、年間を通して1本も出ない型もありますが、それでも大切に愛用してくださった方の要望はできる限りご対応させていただきたいと思っています。
工房と店舗が一体となっている理由
ーーそういった点でも、量産ではなく、1つ1つ手作りだからこそなせる技でもありそうですね。
泉 そうですね。ヘルツでは工房と店頭を一緒にしているのですが、お客さまがお買い物をされている横で、製作中の音が響くようなライブ感のある店作りをしています。その場で作ってすぐお出しするというわけにはいきませんが、できる限りお客さまが安心してお使いいただけるよう、製作行程もあえて裸にしています。
10年以上は当たり前? ヘルツの財布&バッグの使用年数
ーー話を財布に戻しますが、年間を通して、最も財布が売れる時期というのはありますか?
泉 やはり年末年始ですね。あと、新生活がスタートする前の2~3月も売れる傾向があります。ただ、これまで話した通り、ヘルツは流行に関係なく売れていることもあり、財布は年間通して動いています。
ーーきちんと使えば一生使える商品もありますか?
泉 はい。絶対一生使えるとは言い切れませんが、革なので30年以上同じバッグを使っていただいているお客さまもいらっしゃいますし、お財布にしても10年以上の方は結構いらっしゃいます。もちろん、直せる範囲で直していきながらですけど、これもヘルツ特有のことだと思います。
ーー最後に今後の展望をお聞かせください。
泉 これからも「我が道を行く」がメインになるとは思います(笑)。しかし、かと言って頑固なわけでもなく、スタッフが「なんか良いな」「こういうバッグ、財布があったら面白い」といった商品もどんどん出ていくと思います。突拍子もない商品はないと思いますけど、これからもヘルツの良さを継続して、商品に反映していきたいと思っています。
筆者は自分使いはもちろん、プレゼントなどでも数多くヘルツを利用しており、振り返ってみると、財布、名刺入れ、キーホルダー、バッグとヘルツ率がかなり高めでした。時代を追いかけるだけではない「変わらない」良さが詰まっており、使いやすいヘルツの商品群。時代に移り変わりが激しい今ですが、シンプルで長きにわたって使える財布、バッグを求めている方はぜひチェックしてみてください。欲しいものが必ず見つかると思います。
撮影/我妻慶一
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