NFTは「100%大ばか理論に基づいている」とゲイツ氏が批判。真意は?

ink_pen 2022/6/16
  • X
  • Facebook
  • LINE
NFTは「100%大ばか理論に基づいている」とゲイツ氏が批判。真意は?
多根 清史
たねきよし
多根 清史

IT / ゲーム / アニメライター。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)がある。

マイクロソフトの共同創業者のビル・ゲイツ氏が、芸術作品や限定アイテムにまつわる高収益化の手段となっているNFTを「100%大ばか理論に基づいている」と断じました。

↑NFTはおめでたい投資?

 

大ばか理論(Greater fool theory)とは、「どんな異常な高値で買ったとしても、自分より頭が悪い転売先を見つけさえすれば儲かる」という金融業界の考え方の一つ。この方法で売買が続くと、価格はどんどん上がりますが、そのうち投資家はその価格が現実離れしていることに気づき、バブルが弾けるように、最終的に価格は大幅に下落します。

 

ゲイツ氏は冒頭のコメントを米TechCrunch主催の気候変動に関するイベントで発言。ゲイツ氏は農場や工場など目に見えるモノを作る分野に投資することを述べつつ、暗号通貨やNFTには一切手を出していないとのこと。さらに、NFTなどが「課税や法律を逃れるための資産」だともほのめかしています。

 

さらにゲイツ氏は人気のNFTコレクション「Bored Ape Yacht Club」(略称は「BAYC」)を引き合いに出して「明らかに、高価な猿のデジタル画像は世界を大いに改善するだろう」と皮肉を言い放ちました。

ゲイツ氏が暗号通貨がうさんくさいという見方を露わにしたのは、今回が初めてではありません。2021年2月にも、暗号通貨の価値はとても不安定であり、イーロン・マスク氏のような大物投資家のツイートにより暴落する可能性がある場合、一般投資家がビットコインを買うのは危ういと懸念を口にしていました

 

実際、ゲイツ氏のボラティリティ(株価や通貨などの価格変動)に関する警告は的中しています。上記のインタビュー後にビットコインは急騰して2021年4月には6万3000ドルに達した後、大きく低迷してから11月には史上最高値の6万4000ドル以上に。さらに再び暴落し、記事執筆時点では約3万ドル(約400万円※)といったところです。

※1ドル=約134円で換算(2022年6月16日現在)

 

同じくNFTの価格も急落しており、BYACのような最大級のものでも、ピークの半分程度になっているものが珍しくありません。ゲイツ氏は2021年のインタビューで「イーロンほどお金を持っていないなら、気をつけたほうがいいんじゃないか」と語っていました。真意が気になるところですが、世界で最も影響力を持つ1人の助言には耳を傾けるべきかもしれません。

 

Source:The Verge

Related Articles

関連記事

もっと知りたい!に応える記事
Special Tie-up

注目記事

作り手のモノ語りをGetNavi流で