「修理する権利」のために奔走! トラクターの画面で『Doom』をプレイするハッカーが出現

ink_pen 2022/8/18
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「修理する権利」のために奔走! トラクターの画面で『Doom』をプレイするハッカーが出現
多根 清史
たねきよし
多根 清史

IT / ゲーム / アニメライター。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)がある。

世界のハッカーたちにとって、ファーストパーソン(一人称視点)シューティングの元祖的ゲーム『Doom』を「コンピュータと画面が搭載されているマシン」に移植することは使命となっているようで、DJコントローラーキヤノンのプリンターATMのほか続編『Doom Ⅱ』の中でもプレイ可能となっています

↑「修理する権利」の新しい象徴となったジョンディア製のトラクター

 

その新たなチャレンジとして、ジョンディア(米国の有名ブランド)製トラクターの画面で『Doom』を動かした猛者が現れました。

 

これを実現したハッカーのSick Codes氏は、トラクターで『Doom』がどうしてもやりたかったからではなく、もともと「修理する権利」運動の一環として行ったようです。最近の農機はコンピューターを内蔵する「スマート農機」。肥料や農薬を撒布する料を細かく管理したり、衛星情報に基づいて自動走行できるかわり、メーカー以外は修理できない制限が掛けられています。

 

トラクターなどは車体が大きく馬力もあり、素人が不用意にいじらせると暴走したときの危険も大きいため、そうしたロックを掛ける必要は否定できません。とはいえ、ささいな故障でもメーカーや正規修理代理店が来るのを待つことになると、農業で生計を立てている人は困ります。そのため、ロックを解除して自前で修理できる「修理する権利」運動がトラクターにも及んでいるのです。

 

Codes氏は、ジョンディア製トラクターをハックしてroot化(あらゆる操作ができる権限を得る)できることを、世界的なハッカーの祭典DEF CONで発表しました。このハックを実証するため、Sick Codes氏はゲーム改造屋のSkelegant氏と協力して、トラクターのコンピュータと画面で動く『Doom』特別版を公開したのです。

 

オープニングは、おなじみの銃を持った主人公がトラクターに乗り込むシーン。その後は銃をハンドルに持ち替えて、トウモロコシ畑を疾走しています。ただいつものような銃撃ではなく、トラクターで敵を倒している模様。

 

『Doom』権利元のベセスダは「修理する権利」には触れていませんが、公式アカウントがこの動画をリツイートしていることから、同社の誰かが気に入っているようです。

 

Source:Sick Codes氏(Twitter) 
via:Gamesradar

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