クラフトビールの人気拡大とともに認知が広がる、ホップ。ビール特有の苦みやフレーバーを生み出すハーブのことで、殺菌の面でも重要な原材料です。そして、そのホップでまちおこしに挑戦しているのが、岩手県の遠野市。
日本のホップは夏の終わりから秋口が収穫期となり、そこから晩秋にかけて、遠野のホップ熱も最高潮を迎えます。ただ、今年はなかなかイベントが開催しづらいということで、オンラインによる取り組みが行われています。今回はその活動報告などを発表するということで、ウェブセミナーに参加。ホップ事情の最前線をお届けします。

地域活性化にも貢献
遠野がホップでまちおこしをしている大きな理由は、もともと国内最大の生産地だから。ただし、少子高齢化や農業就労人口の減少などでホップ農家の高齢化に歯止めが効かず、全国の生産量は直近約10年で約半減。世界シェアは0.2%(2017年)となっています。

そのような現状を見据え、2007年に遠野市、遠野ホップ農業協同組合、キリンビール岩手支社で発足したのが「TK (遠野 × キリン)プロジェクト」。ホップ生産を通し、それぞれが保有する資源、組織などを生かしながら地域振興を図ることを目的に、日本産ホップの価値化に取り組んでいます。
さらに2018年には、キリンと農林中央金庫の出資により「BEER EXPERIENCE株式会社」が遠野に誕生。“ホップの里からビールの里へ”を合言葉に、地域活性化に貢献するビジネスモデルが様々な効果を生み出しています。

事業は多岐にわたり、ホップの生産拡大と高度化はもちろん、ビールのおつまみとしいて海外で愛されている「パドロン」という野菜の生産拡大、また観光を絡めたビアツーリズム事業にも注力し、一般参加型イベントや法人向けの視察研修ツアーなどが開催されています。

オンラインでホップ生産地とビール工場を見学できる
前述したように、リアルイベントが開催しづらい今年は、ネットを通じたコミュニケーションが実施されてきました。オンライン飲み会や配信が8月末までに約10回行われ、のべ200人が参加したそうです。

そして今回のウェブセミナーでは、オンライン開催の例を少しだけ体験させてもらいました。事前に届けてもらった、遠野のビールとおつまみのセット「TONO HOP BOX」を味わいながら、現地にいるBEER EXPERIENCE社の担当者と中継で乾杯。ホップ畑を見せてもらったり、遠野の現状を教えてもらったり、ビールがもっと好きになる充実した内容でした。


「TONO HOP BOX」の今後は不定期ながら、たとえば10~11月のフレッシュホップビールの時季など、旬のビールと食材をセットにした販売を予定しているそうです。ということで、これらのビールを試飲してみました。



BOXのなかには、ホップを加工したシロップ「Herb Cordial HOP Syrup」も同梱されていました。こちらは、ストレートと炭酸割りで試してみることに。

BEER EXPERIENCEのオンラインイベントは今後も不定期で開催予定とのことですが、現在「日本産ホップ畑を見渡そう!360度体験」が2020年12月31日まで開催中。また、遠野とキリンビールの仙台工場を見学者の目線で体験できる「ホップ生産地と工場見学をつなぐ! IoA工場見学 見て、ふれて、味わって おいしさの秘密発見ツアー」が10月8日~12月31日まで開催されます。どちらも無料なので、ぜひ手元にビール手に工場見学を疑似持体験してみてください。
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