ヘルスケア
2018/9/7 21:30

夏バテやストレス解消、月経痛改善も! 心と体をサポートする「アロマ」リスト

古代では、身分の高い人だけが使うことのできた「香料」。時代が進むにつれ、化粧品や医薬品としても用いられるようになったことで広まり、香りの成分を肌や呼吸から取り込むアロマセラピー(芳香療法)という言葉は、今では一般的になりました。

 

植物の花や葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出した天然の有効成分を含む精油(エッセンシャルオイル)には、およそ300種類もの香りがあるとされ、その成分からさまざまな効果が期待できます。またその精油は、マッサージに使うだけでなく、ルームフレグランスやバスソルト作りなど幅広い使い道が。

 

精油の基本的な種類や効果・効能、使い方について、アロマセラピストとしてアロマサロンを経営する豊島頌子さんに教えていただきました。

 

アロマは生命力にあふれた“植物のホルモン”

一般的に「アロマオイル」と呼ばれているものは、精油のこと。“植物のホルモン”とも呼ばれ、自ら移動することができない植物が、敵を寄せつけないためや受粉をスムーズにするためなど、生き残っていくために作り出される物質と言われています。

 

「精油の作り方は、水蒸気蒸留法や圧搾法などさまざまな抽出方法がありますが、同じ植物であっても、抽出方法が違うと成分も変化するのが特徴です。また、その植物が育った環境や天候、メーカーなどにより香りも変わるので、『この香りは苦手』などと決めつけないで、いろいろなものを試してみるといいですよ。精油そのものを自分で作るのは難しいのですが、植物から精油を抽出する蒸留体験ができる施設もあります。ちなみに植物にオイルを漬け込んで作られるものは、『浸出油』(インフューズドオイル)と呼ばれるもので、精油とは異なります」(豊島さん、以下同じ)

 

まずは押さえておこう! 香りの系統は6パターン

香りの分類はメーカーや専門家によって異なりますが、およそ下記の6種類に分けられると、豊島さんは話します。

 

1.女性らしさを感じるフローラル(花)系

ローズやジャスミン、イランイランなど主に花から抽出される香りで、女性らしくエレガントなイメージのものが多く含まれます。「気持ちを落ち着け、不安感を解消する効果があると言われています。また、女性らしさを演出するときに使いたい香りです」

 

2.ストレス解消に役立つシトラス(柑橘)系

スイートオレンジやマンダリン、ベルガモットなど柑橘系の果物やハーブから抽出する香り。「爽やかで甘い香りが多く、元気を取り戻したりストレスを解消したりしたいときにおすすめしたい香りです」

 

3.気持ちがすっきりするハーバル系

ローズマリーやスイートマジョラム、スペアミントなどハーブから採れる香りです。「お料理で馴染みのあるハーブもたくさん含まれています。薬草のような香りや、スパイシーな香りが多く、すっきりとした気持ちになりたいときにおすすめです」

 

4.深呼吸してリラックスしたいときのウッディ系

サンダルウッド、サイプレス、シダーウッドなど、樹木や葉、樹皮から抽出される香りです。「森林浴をしているような、深呼吸したくなる香りです。鎮静作用やリラックス効果が高い香りが多く、眠るときの助けになる場合も。寝室や寝具にスプレーしたり、アロマポットなどでオイルを炊いたりすると入眠のサポートをしてくれます」

 

5.体を温めるスパイス系

クローブ、ブラックペッパー、シナモンなど、料理でも使われることの多いスパイシーな香りは、香辛料から抽出されます。「食欲不振を改善したり、体を温めたりする効果のあるものが多く、夏バテ気味のときや、冷房で体が冷えすぎたときなどにもおすすめです」

 

6.レジン(樹脂)系

樹木から滲み出る樹脂からとれる香りには、フランキンセンス、ベンゾインなどがあります。甘さのあるものや爽やかなものなどさまざまな香りがありますが、どこか独特で個性を感じる香りが多い種類です。「香りが強くて持続性が高いものが多いので、玄関などニオイが気になるところに少量使うといいでしょう」

 

初心者が手始めに親しむなら? ラベンダーとユーカリプタスがおすすめ

精油や芳香浴を楽しむグッズは専門店でなくても、雑貨屋さんやインテリアショップなどでも販売されているので、知識がなくても手にとりやすくなりました。しかし、香りを体内に取り入れて効果を得られるということは、嗅覚や呼吸器、皮膚に直接アプローチがある、ということでもあります。

 

「妊娠中に使ってはいけない香りや、肌の弱い方やお子さん、持病のある人には使えない香りもありますし、信頼できる素材で作られた商品かどうかもチェックが必要です。使用する前に必ずその香りがどんな作用をもたらすのかを確認するとともに、表示に品名や学名、抽出法、抽出部分、輸入元、取扱上の注意点など、必要最低限のことがしっかり記されているか確かめてから使ってください。初心者の方に比較的安心しておすすめできるのは、ラベンダーとユーカリタプスです」

 

・安全性の高いラベンター

ラベンダーは初心者や肌の弱い方にも、比較的安全に取り扱える香り。不眠やストレス、疲れや痛みなど、トラブル全般に効果をもたらし、頼れる存在として使用されてきたハーブです。「精油を希釈するための植物油・キャリアオイルに、1%のラベンター精油を小瓶に入れ、希釈オイルを作っておきましょう。火傷や虫に刺されたとき、それを直接指で塗布するのがおすすめです」

 

・万能薬のユーカリプタス

少しシャープな香りのするユーカリプタス(ユーカリ)は、オーストラリアの先住民アボリジニーが万能薬で重宝してきた万能薬です。優れた抗菌作用を持つので、感染症予防に芳香浴で使用するのがおすすめ。「30mlのスプレーボトルに精製水25cc、無水エタノール5cc、ユーカリプタス6滴を入れたものを寝室や浴室にスプレーして抗菌するほか、拭き掃除のときに使うと部屋の中がすっきりします」

 

注意! どんな精油も、原液を皮膚に直接塗布するのは禁止
精油を肌に使用する場合は、必ずキャリアオイルなどで希釈することが必要です。また、使用前に必ずパッチテストを行いましょう。(※パッチテストとは……使いたい精油をキャリアオイルなどで希釈したものを、肌の柔らかい部分に少量だけ塗布して一日様子を見ます。赤くなったり腫れたり痒くなったりしたら、すぐに水でよく洗い流し、使用を中止してください。また、生理前や生理中など、ホルモンバランスの変化によってトラブルが起こることもあるので、注意しましょう)

 

目的別! こんなあなたにおすすめの精油

精油は、一種類の香りを楽しむこともできますが、ブレンドすることで相乗効果が得られます。また、精油は揮発性のため、合成香料に比べて香りの持続性はありませんが、香りによって持続時間の長短を表す分別があり、短い方から「トップノート」「ミドルノート」「ベースノート」と分かれています。

 

たとえばブレンドするものすべてがトップノートだと香りが続かないので、トップノートとベースノートを組み合わせて、長く香りを楽しめるように調合します。ここでは、できるだけ手に入りやすい精油をもとに、豊島さんおすすめのブレンドを教えてもらいました。

 

「嗅覚はすぐにひとつの香りに慣れてしまうという特性があるため、同じ香りをずっと嗅いでいると、香りを感じなくなってしまいます。周囲の方にとって香りが強すぎないよう気をつけましょう。また、精油にはさまざまな効果が期待できますが、いくら優れた作用があったとしても、好きな香りでなければ心地よく使用できません。嗅覚は本能に働きかける唯一の感覚と言われていて、ピンときた香りには意味があるので、ご自身の感覚も大切にしてください」

 

・バリバリ仕事をしていて疲れやすく、寝ても疲れが取れない

「交感神経が優位になり、なかなかリラックスできない方には、ラベンダー、フランキンセンス、スイートマジョラム、オレンジスイートのブレンドがおすすめです。リラックスしたいときや仕事が終わった後の夜の時間に、お部屋にスプレーして芳香浴したり、バスタブに数滴垂らしたりして楽しんでみてください」

 

・月経痛やPMSに悩んでいる……

「イランイラン、クラリセージ、ゼラニウム、マンダリンを、キャリアオイルに1%濃度になるようにブレンドしてみましょう。ブレンドしたオイルを手にとってよく温め、腰回り、お腹周りをゆっくりとマッサージをするのが効果的です」

 

・女子力をアップしたい!

「本来の自分の個性を認めていけば、自然と女性としての魅力も輝きます。ローズオットー、ゼラニウム、ローズウッド、ベルガモットをキャリアオイルに1%濃度で希釈して、デコルテを中心にマッサージしましょう。または、アルコールで希釈して、ルームフレグランススプレーを作るのもおすすめです」
(※ベルガモットには光感作作用があるため、皮膚につけてから直射日光に当たらないようにしましょう)

 

・なんだかモヤモヤ……リフレッシュしたい

「ユーカリ、シダーウッド、レモン、ベルガモットの芳香浴が効果的です。重曹を瓶に入れ、ブレンドした精油を垂らしてリビングや寝室に置いておくと、重曹に染み込んだ香りを長く楽しめます。余計なモヤモヤをクリアにし、新たな一歩を踏み出すサポートをしてくれます」

 

基礎知識を押さえたところで、これらの精油を使ったアロマグッズの作り方をチェックしてみましょう。

 

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