ここ十年ほどで遺伝子解析の技術が進歩し、遺伝子が体にどのような影響を及ぼすのか、解明が進みつつある。なかでも注目を集めるのが、いわゆる「肥満遺伝子」。肥満に関係する遺伝子は数種類あり、これによって何を食べると太りやすいかが個人で異なるという。
遺伝子によって合わないダイエット法がある!
食事の量や内容はそれほど変わらないのに、なぜか私は太って、あの人はほっそり……。同じダイエットを始めたけど、周りはやせて、自分だけ効果がない……。こうした食事やダイエットに関する素朴な疑問は、肥満遺伝子のタイプに原因があると考えれば納得がいく。
では具体的に、肥満遺伝子と食べ物にはどのような関係性があるのか? また、肥満遺伝子のタイプから考える、やってはいけないダイエット法とは? らでぃっしゅぼーや株式会社が主催する肥満遺伝子に関するセミナーで話を聞いた。
「人には2万6000個の遺伝子があり、遺伝子検査では遺伝子に変異があるかないかを調べます。変異というと悪いイメージがあるかもしれませんが、悪いものではなく、どなたでもなにかしらの変異を持っています。
もし、肥満遺伝子と呼ばれる遺伝子に変異がある場合は、太りやすくなるという結果が出ています。両親から1本ずつDNAは受け継がれますが、2本とも変異がなければリスクが低い、1本変異がある場合はリスク中、2本とも変異がある場合はリスク高となりますね」
こう話すのは、らでぃっしゅぼーやとパートナーシップを組んでいる、2007年設立の遺伝子検査事業のリーディングカンパニー、株式会社ネオリアの管理栄養士・本郷真衣子氏。
「表の一番上のβ3AR遺伝子にリスクがあると、糖質で太りやすくなりますので、ご飯や麺類などに注意が必要です。その下のUCP1遺伝子、こちらは、脂質の燃焼に関わる遺伝子。脂質で太りやすく、体が冷えやすいというのがこのタイプです。3番目のβ2AR遺伝子、こちらはタンパク質の合成・分解に関わる遺伝子です。変異があると筋肉がつきにくくなって、一度太るとやせにくいのが特徴です」(本郷氏)
つまり、遺伝子の変異によって
(1)糖質を燃焼する力が弱い
(2)脂質を燃焼する力が弱い
(3)タンパク質の代謝が高まりやすく、筋肉がつきにくい
という3つのタイプにわかれ、それらが単独、もしくは複合して肥満の原因が決まってくるのだ。
気になる検査方法と体質に合わないダイエットとは?
「最近の検査は、血液を採る必要はなく、綿棒で頬の内側をこする簡単なものになります。遺伝子の結果は生涯変わりませんので、お調べいただければ一生役立つ内容になっています」(本郷氏)
このところ多くの企業が遺伝子検査に進出し、検査費用も下がってきている。どこまで詳しく調べるかや検査法によってもバラつきがあるが、肥満遺伝子の検査なら大体5000円~2万円というのが相場。感覚的には少々高価なものの、本気で自分の体を知り、ダイエットしたい人には適しているだろう。
自分の肥満タイプがわかれば、おのずと効率的なダイエット法も見えてくる。たとえば、糖質が高いバナナを食べる朝バナナダイエットは、「糖質を燃焼する力が弱い」タイプには向かない。また、「脂質を燃焼する力が弱い」人が、流行りの炭水化物抜きダイエットをして、お米の代わりに脂の多い肉を多く食べてしまうと逆効果だ。
らでぃっしゅぼーやでは、6月から肥満遺伝子タイプ別にメニューが構成されたお弁当の販売を開始し、他社に先駆けた提案として注目されている。遺伝子タイプを意識して、毎日の献立を工夫するのは面倒なもの。
お弁当だけでなく、外食でもこうした遺伝子タイプ別のメニューが増えてくれば、無理なダイエットをせずとも自然とやせられるのではないか。遺伝子の声を聞く、というのがこれからのダイエットのスタンダードになりそうだ。
【URL】
らでぃっしゅぼーや http://www.radishbo-ya.co.jp/shop/
遺伝子タイプ別健康弁当 http://www.radishbo-ya.co.jp/shop/app/catalog/list/init?searchCategoryCode=1902