コードレス式スティック掃除機の最大の武器は、ゴミを見つけたときすぐに掃除が始められる使い勝手の良さ。壁のコンセントに電源コードを挿す手間がなく、デザインも洗練されて部屋に置いたままでも気にならないものが揃っています。さらに、吸引力や持久力も年々進化し、現在はメイン掃除機としても使える機種が増えてきました。
実際に掃除するときの使いやすさを細かくチェック!
そうしたコードレススティック掃除機の最新機種のなかから人気の5機種(ダイソン、パナソニック、シャープ、東芝、エレクトロラックス)の実力を比較検証するのが本連載。カーペットでの吸引力を試した前回に続き、第3弾となる今回は、コードレスが最も得意な操作性・取り回しの良さをテストしていきます。
【関連記事】
【最新5モデル比較】フローリングで最も吸うコードレス掃除機を探せ! テストでわかった「ダイソンでも吸い切れないゴミ」とは?
【コードレス掃除機比較】カーペットの吸引力テストでガチすぎる結果が…最優秀は「ダイソンではない」あの海外モデル!
【コードレス掃除機比較】総合力でダイソン強し! 意外な部分で東芝が健闘した「ゴミ捨て」「お手入れ」徹底チェック
【コードレス掃除機比較】収納時が最も美しいモデルとは? ダイソンの運転音の印象はどう?「設置性・運転音」徹底テスト
【コードレス掃除機比較】ダイソンは「ブラシじゃない」のがミソ! 各機の個性が一気にわかる「独自機能」「汎用性」徹底チェック
【コードレス掃除機比較】主要モデル5機種、それぞれ誰が使うべき? 超濃厚レビューの果て、行き着いた結論がコレ!
【検証する5機種はコチラ】
エントリーその1
最長40分の長時間運転を実現したダイソンのフラッグシップ
ダイソン
Dyson V8 Fluffy(ダイソン ブイエイト フラフィ)
↑製品名をクリックすると楽天市場の最新価格比較サイトにジャンプします(以下同)
実売価格6万690円
独自のソフトローラークリーナーヘッドで、大きなゴミと微細なゴミを同時に集じんできるスティック掃除機。バッテリーとモーターの改良で、最長40分の長時間運転と従来比15%の吸引力アップを実現しました。2 Tier Radialサイクロンを搭載し、微粒子ゴミもしっかり分離して集じんします。●サイズ/質量:W250×D1244×H224mm/2.61kg
エントリーその2
手首をひねるだけで家具の隙間が掃除できる
パナソニック
iT(イット) MC-BU500J
実売価格5万8430円
部屋になじむスリムなデザインが魅力。「くるっとパワーノズル」搭載で、アタッチメントを交換せず、手首をひねるだけで家具の隙間も手軽に掃除できます。壁際のゴミもしっかり取れる「ガバとり」ヘッドや、微細ごみを検知して吸引力を高めるハウスダスト発見センサーも搭載。●サイズ/質量:W252×D153×H1160mm/2.2kg
エントリーその3
本体質量1.5kgを実現し高所の掃除もラクラク
シャープ
RACTIVE Air(ラクティブエアー) EC-A1R
実売価格4万1070円
本体パイプ部に軽量高剛性のカーボンを採用するなどして、本体質量1.5kgを実現した超軽量モデル。エアコンの上など、高所の掃除が得意です。大風量ターボモーターと遠心分離サイクロンを搭載し、微細なハウスダストもパワフルに集じん。セパレート式のバッテリーはわずか80分でフル充電が可能です。●サイズ/質量:W222×D220×H980mm/1.5kg
エントリーその4
軽い力で掃除できゴミを掃き出す機能も搭載
東芝
トルネオ V コードレス VC-CL1300
実売価格5万1600円
8気筒の気流で微細な粒子を分離、集じんしたゴミも圧縮する「バーティカルトルネードシステム」を搭載。グリップの形状と重心バランスの改良により、軽い力で自在に掃除できます。掃除機が使えない場所のゴミを強い風で掃き出す「エアブローノズル」を装備。●W224×D224×H1030mm/1.9kg
エントリーその5
1台3役で使えて毛がらみカット機能も便利!
エレクトロラックス
ergorapido Lithium Bed Pro Power(エルゴラピード・リチウム ベッド・プロ・パワー) ZB3234B
実売価格5万1620円
ふとん専用ノズルを搭載し、スティック、ハンディ、ふとんクリーナーの3役で使える機種。豊富なアタッチメントを付属し、家中を快適に掃除できます。標準モードで最長45分の掃除が可能。ブラシへの毛がらみをカットし吸引する「ブラシロールクリーン機能」も装備しています。●サイズ/質量:W263×D150×H1070mm/2.6kg
【テストの内容はコチラ】
掃除機がけのしやすさの基本は、ヘッドをどれくらいスムーズに動かせるか。前後へのヘッドの動かしやすさとともに、左右への方向転換のしやすさをチェックしました。また、併せてソファやベッド、システムラックの下など、高さのない場所を掃除しやすいか、掃除の中断・再開を快適に行える工夫の有無なども吟味しています。
ちなみに、広い住居スペースを掃除したい人、丁寧に掃除したい人にとって気になる連続稼働時間と充電時間も今回で併せてチェック。こちらはスペック上でのチェックとなります。
【テストの結果はコチラ】
エントリーその1
ダイソン
Dyson V8 Fluffy(ダイソン ブイエイト フラフィ)
操作感はスムーズで高所はアタッチメントの使用がオススメ
「自走式」とまではいえませんが、ソフトローラークリーナーヘッドの回転で前後への掃除機がけはスームズ。また、ヘッドが大型の割には、左右への方向転換も快適に行えます。ちなみに、ダイソンのスティック掃除機、ハンデイ掃除機は、スイッチがトリガー式なのが特徴。現行モデルを含め、近年の同社製品のトリガーの操作感が軽く、トリガーを引き続けたまま長い時間掃除を続けても疲れません。
高さのない場所の掃除のしやすさに関しては、本体を床にベタ付きにした状態で、延長パイプの高さは最大約12cmになります。試しに、自宅リビングのシステムラックの下(高さ10cm)にヘッドを突っ込むと60cmほど入り、奥の壁までしっかり届いて集じんできました。
一方、段差などのやや高い場所を掃除する場合、本体の重みが手首にかかるため、片手で楽々というわけにはいきません。その際は、アタッチメントのコンビネーションノズルなどを使用すると、ラクに操作できます。また、本機は自立タイプでないので、掃除の手を止めて物を動かす際などは、本体を床に置く必要があります。つい、掃除機をテーブルなどに立て掛けてしまいがちですが、その際は本体が滑って倒れないように注意が必要でしょう。
充電時間と連続運転時間に関しては、充電時間約5時間で最長約40分の運転が可能です。モーターヘッドを駆動しても約30分連続運転できます。
エントリーその2
パナソニック
iT(イット) MC-BU500J
本体の操作感は文句なしだがハンディとしてはやや大きい
小型タイプながらヘッドの回転力が高く、ヘッドを押し出すと前にスイスイと進む感覚があり、操作感は実に軽快です。左右への方向転換もスムーズで、他機種の感覚でグリップをひねるとヘッドが曲がり過ぎてしまうほど。また、ハンドルのグリップの角度が手首に対して直角に近く、操作時に手首にかかる負担が軽いのもうれしいポイントで、掃除機を前に押したり後ろに引いたりする動きが非常にスムーズです。
さらに、本機は隙間掃除する際に「くるっとパワーノズル」をI字型に反転して使うなど、ハンドルを捻って回転させる動きが多いですが、この動きも非常に軽い力でスムーズなのに感心させられます。
本体を床にベタ付きしようとすると途中でヘッドが浮き上がってしまいますが、本体を横にねじりながら下げればヘッドが浮き上がることがなく、高さ73mm前後までの隙間に入っていけました。脚が高めのソファの下などは本体のみで快適に掃除できます。
一方ハンディ機として使う場合、延長パイプを外しても68cmほどの長さがあるため、軽快に使えるとはいえないかも。棚など高い場所の掃除にもあまり向かない印象です。充電時間は約3時間で、自動モードで最大約30分、強モードで約10分の運転が可能です。
エントリーその3
シャープ
RACTIVE Air(ラクティブエアー) EC-A1R
5モデル中最軽量で掃除しやすい工夫も満載
本機は充電時間約80分と高速充電できるのが特徴で、満充電後は標準モードで約30分、強モードで約8分の連続運転が可能。バッテリーは着脱式なので、予備のバッテリーを用意すれば、より長い時間の掃除も可能になります。
また、それにも増して本機のメリットといえるのが、本体質量1.5kgという軽さ。その軽さゆえに、エアコンの上や棚の上なども快適に掃除できるのがうれしいポイント。ヘッドの左右への方向転換もとても軽く、今回試した中でも最もスムーズに操作できる機種だと感じました。ハンドルにはラバーグリップを採用。グリップが手首に対して垂直に近いのも、操作性向上に寄与しています。
本体を床にベタ置きして掃除する際は、パナソニックのMC-BU500J同様横にねじりながら下ろせば、ほぼ水平になってもヘッドは浮きません。なんと高さ約6cmの隙間にもヘッドが入って掃除できました。
ヘッドは自走アシスト機能付きで前後の動きが軽快。一方、ハンディ機として使う場合は、本体がやや長めですが、軽量なので片手でも使いやすいです。本体裏には「ちょいかけフック」を装備。ラバー製なので滑りにくく、荷物を移動する際、掃除の途中でテーブルなどに立てかけても安定感があるのは、ポイントが高いです。
エントリーその4
東芝
トルネオ V コードレス VC-CL1300
本体が軽くラウンドハンドルも操作しやすい
本機はスティック掃除機として使うときの重さが1.9kgと、今回試したなかではシャープEC-A1Rに次いで軽量。ブラシの回転が前への走行をサポートし、ハンドルを手に下げたまま軽くヘッドを前後に動かせます。ハンドルはラウンド構造でなおかつ大きめなので、掃除の動きによって握る場所を変えられるのが便利。左右へのヘッドの方向転換も快適です。
また、シャープやパナソニック同様、本体を捻りながら床に下ろすことで、ベタ付きしてもヘッドが浮かず、高さ6cm程度の隙間も掃除できます。なお、ハンディ機として使う場合、サイクロン機構などを丸ごと搭載した本機はやや重め。女性が片手で使うのは大変そうです。充電時間約5時間で、自動モードで約8分~約20分、強モードで約8分連続運転が可能。セーブモードなら約20~約25分連続運転できます。
エントリーその5
エレクトロラックス
ergorapido Lithium Bed Pro Power(エルゴラピード・リチウム ベッド・プロ・パワー) ZB3234B
丁寧な掃除には最適だが狭い場所やベッドの奥などは苦手
他の4モデルとは違い、本機は環状のハンドルでなく棒状のグリップを持って操作するのが特徴。重心は低く安定していて、なおかつブラシの回転力で軽快にヘッドが動かせるので、操作感は見た目よりずっとスムーズです。ヘッドは左右に各90°以上回転し、ゴミがある場所にサッと向かえます。テーブルや椅子の脚周りは、軽量タイプのように「ササッ」と掃除することはできませんが、ゆっくり丁寧に掃除すれば一度で確実に集じんするので、掃除時間は軽量タイプとそれほど変わりないと思います。
低い隙間の掃除に関しては、本体を低く倒してもヘッドが浮かない工夫がされていますが、本体自体の厚みがあるので、ペタッと寝かせて掃除はできません。ソファやベッドの下などは、付属のアタッチメントを使って行うのがいいでしょう。
ちなみに本機は、今回テストしたなかでは唯一の「自立タイプ」。スタンドなしでも床の上に立てて置けるうえ、掃除中にちょっとものをどかしたりするときに便利です。
充電時間は4時間。運転時間は通常モードで約45分、強モードで約15分です。ただし、通常モードはややパワーが物足りない感はあるので、状況に応じて使い分けるといいでしょう。
【今回のテストのまとめ】
細かい掃除はシャープなど国内組が優秀で海外組は広い部屋向き
前後の操作性では、今回の5モデルはどれもほぼ遜色ないといえます。また、左右の首振り角度はモデル間で差がありましたが、使用感にはそこまで差が感じられませんでした。ただし、やはりテーブルの脚周りや家具の隙間など、細々とした掃除には本体とヘッドが軽いモデルが有利。特にヘッドや延長パイプなども含めた重さが1.5kgと圧倒的に軽いシャープのEC-A1Rや、ノズルをI型に変形して狭い家具の隙間もサクサク掃除できるパナソニックMC-BU500Jは取り回しが軽快でした。この2モデルに東芝VC-CL1300を加えた3モデルは、延長パイプがほぼ床につくまで倒せるため、ラックやソファの下まで掃除できて有利です。また、これら3モデルは、グリップに操作性向上の工夫が施されていた点も好印象でした。
ダイソンV8 Fluffyの操作性は、先述の3モデルにはやや劣りますが、十分快適に使えます。また、吸引力テストの回で触れましたが、ソフトローラークリーナーヘッドで大きいゴミと小さいゴミを同時に効率よく集じんできるのは、掃除の快適さに繋がる大きなメリット。連続運転時間が40分と長く、ムダな運転を減らすトリガー式スイッチも採用しているのも、部屋を丁寧に掃除したい人には有効でしょう。
エレクトロラックスZB3234Bは、今回試したなかでは最も大型で低重心。ヘッドも大きく、シャープEC-A1Rのようにゴミのある場所だけササッと掃除する、家具が多い部屋を細々掃除する、という使い方は苦手です。ただ、ややゆっくりではあるものの、左右への細かい操作はしっかりできます。強い吸引力と長い稼働時間を活かして、リビングを中心とした広い空間の掃除にオススメです。
次回は、5モデルのゴミ捨てとメンテナンス性をチェックしていきたいと思います。
【関連記事】
【最新5モデル比較】フローリングで最も吸うコードレス掃除機を探せ! テストでわかった「ダイソンでも吸い切れないゴミ」とは?
【コードレス掃除機比較】カーペットの吸引力テストでガチすぎる結果が…最優秀は「ダイソンではない」あの海外モデル!
【コードレス掃除機比較】総合力でダイソン強し! 意外な部分で東芝が健闘した「ゴミ捨て」「お手入れ」徹底チェック
【コードレス掃除機比較】収納時が最も美しいモデルとは? ダイソンの運転音の印象はどう?「設置性・運転音」徹底テスト
【コードレス掃除機比較】ダイソンは「ブラシじゃない」のがミソ! 各機の個性が一気にわかる「独自機能」「汎用性」徹底チェック
【コードレス掃除機比較】主要モデル5機種、それぞれ誰が使うべき? 超濃厚レビューの果て、行き着いた結論がコレ!