本稿は電気シェーバーの「ビッグ3」、ブラウン、パナソニック、フィリップスのフラッグシップモデルについて、性能や使いやすさを徹底検証する連載企画。「シェービングの速さ」や「深剃り」「肌へのやさしさ」をチェックした前回に続き、第2回となる今回は、「操作性」「メンテナンス性」と「付加機能」について検証していきます。
【テストする機種はコチラ】
エントリーその1
人工知能と多彩なカットシステムであらゆるヒゲを逃さず剃る!
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ブラウン
シリーズ9 9295cc
実売価格3万3700円
人工知能がヒゲの濃さを読み取り、自動でパワーを調整するモデル。5種類の独自のカットシステムが寝たヒゲやくせヒゲなど様々なタイプのヒゲを捕らえて剃り切ります。毎分1万回の音波振動でヒゲを外刃に取り込みやすくし、肌にやさしい深剃りが可能。お風呂剃りに対応し、使用後は水道で丸洗いもできます。
SPEC●刃の枚数:4枚刃●駆動方式:往復式●充電時間:60分●連続稼働時間:約50分●サイズ/質量(本体):約W66×H168×D44mm/約210g
エントリーその2
肌への密着度が増し、肌にやさしい深剃りができる5枚刃モデル
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パナソニック
ラムダッシュ ES-LV9CX
実売価格4万5772円
肌への密着度が増したヘッドで剃り残しを防ぐ5枚刃モデル。従来型ヘッドの前後・左右・上下の動きに、ツイストと前後スライドの動きを加え、アゴ下の密着度が約10%アップしました。くし状の突起でヒゲの下に潜り込みやすいスリット刃も進化し、長い寝たヒゲの除去率が従来比約200%に向上。また、グリップを持つと自動でロック解除し、手を離すと約60秒後に自動でロックされる機能を搭載し、誤作動を防止します。
SPEC●刃の枚数:5枚刃●駆動方式:往復式(リニアモーター駆動)●充電時間:60分●連続稼働時間:約42分(1日1回約3分間の使用で約14日間使用可)●サイズ/質量(本体):W72×H167×D59mm/約215g
エントリーその3
肌にやさしい深剃りにこだわり、他機種の約5分の1の力でシェービング
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フィリップス
Shaver series 9000 ウェット&ドライ電気シェーバー
S9731/33
実売価格4万5155円
一般的な電気シェーバーの最上位機種と比べ、約5分の1の力で肌にやさしい深剃りができる機種。8方向に動く輪郭検知ヘッドで顔や首のあらゆる凹凸に密着し、滑らかな深剃りを実現します。外刃のスリット形状と内刃の形状をV字型にした「ダブルVトラック刃」を採用し、より少ないストロークで最大深剃り30%アップを実現。モーター駆動のスピードは好みに合わせて3段階から選べる。
SPEC●刃の枚数:3枚刃●駆動方式:回転式●充電時間:60分●連続稼働時間:約60分(1日1回約3分間の使用で約20日間使用可)●サイズ/質量(本体):W59×H164×D70mm/約169g
【テストの内容はコチラ】
「操作性」では、シェーバーの持ちやすさやボタン操作のしやすさ、運転モード数を確認。充電時間と連続稼働時間、バッテリー残量表示なども合わせて検証します。「メンテナンス性」はシェービング後のヘッド部分のお手入れの手間をチェック。特に、最上位機の売りである自動洗浄充電機の使い勝手を吟味していきたいと思います。さらに「付加機能」では、キワ剃り刃やアタッチメントなど、ヒゲ剃り以外の機能の有無と使い勝手を見ていきます。
【検証結果はコチラ】
エントリーその1
ブラウン
シリーズ9 9295cc
<操作性>
グリップはやや太く重めだがホールド感は良好
本機のグリップはかなり太めで、しっかり持って操作する必要があります。背面にはラバー素材が使われていて、ホールド感は良好でした。
充電時間は1時間で約50分間の使用が可能で、1日3分の使用だと約17日、といったところです。バッテリーはリチウムイオン電池で、5分の急速充電で1回のシェービングが可能。毎回使用後の充電も問題なしです。
洗浄充電器での充電は、ヘッドを下向きにして充電器に置くだけ。充電ボタンを押すということもなく、自動で充電が始まります。また、本体に直接電源コードをつないでの充電も可能です。
本体のバッテリー残量表示は5段階で、残量がわずかになるとバッテリーマークが赤く点滅します。この状態でも1回分のシェービングは可能です。
ちなみに、本体正面のスタートボタンの上には、ヘッドの首振りを固定できるスライドスイッチを付属。鼻の下を剃る際に、シェーバーを肌に当てたまま操作できるのは便利でした。
<メンテナンス性>
アルコール洗浄システムを採用し、除菌率が極めて高い
本機は、1台で充電、洗浄、刃の潤滑化、除菌、乾燥が行える「クリーン&リニューシステム」(洗浄充電器)を付属。“機械にお任せ”でシェーバーのメンテナンスが行えます。特に本機の洗浄充電器はアルコール洗浄システムを採用していて、99.9%という高い除菌率。実際に使ってみると、洗浄成分と循環システムのおかげか、ヒゲくずがキレイに落ちていました。
洗浄時間の目安は約3分。その後40分程度乾燥運転します。また、シェーバーは「クリーン&リニューシステム」を使わず、洗面所で水洗いも可能です。付属のブラシを使って、シェーバーヘッドの台座部分の掃除も可能です。
なお、洗浄液カートリッジの交換は、毎日洗う場合は3週間に1度が目安。カートリッジの実売価格は2個入りで1000円前後なので、毎日洗浄する場合は年間8700円程度のランニングコストがかかる計算になります。網刃と内刃は約18か月ごとに交換することが推奨されており、こちらは9980円(F/C92S ※網刃・内刃一体型カセットタイプ)です。
<付加機能>
キワ剃り刃でもみあげなどを整えられるほかお風呂剃りにも対応
本体背面のキワ剃り刃で、もみあげや口ヒゲ、あごヒゲなどを整えることができます。スライド式で、使用時も刃がしっかり安定するのが魅力。また、刃がヘッドの上までくるため、剃っている部分が見やすくなっています。
また、本機は耐水設計が施され、浴室での使用が可能。シェービングフォームやシェービングジェルを使い、肌にやさしいシェービングもできます。
エントリーその2
パナソニック
ラムダッシュ ES-LV9CX
<操作性>
人差し指に重心が乗る独自のフォルムで安定して剃れる
グリップはブラウンに比べるとやや細めですが、フィリップスに比べるとかなり太く感じます。ただ、本体を順手で持ったときに人差し指にヘッドの重心が乗る形状になっているため、シェービング中の操作感はかなり高いです。T字カミソリのように逆手で持つ場合も薬指と小指がこのラウンド形状にうまくかかって、軽快に操作できます。グリップ部分はラバー製でホールド感も十分。
本体は3機種中最も重い(とはいえブラウンとはわずか5g差)ですが、重心がヘッドのほうにあるぶん、操作感は軽く感じられます。
充電は1時間で、1日3分のシェービングが約14日間可能。ブラウン同様、洗浄充電器に本体をセットすれば、自動で充電が始まります。また、本体に電源コードを直接挿して充電もできます。バッテリー残量表示は100%~0%を10%単位で表示されます。残量が10%以下になるとバーが赤い点滅表示になるため、充電し忘れが防げて便利。
ちなみに、本機は「スマートロック機能」を搭載し、グリップを握ると、それを感知してロックを解除。手を離して約60秒後にスイッチが自動でロックされるため、旅行中にカバンの中でON/OFFスイッチが押されて誤作動する、という事態が防止できます。
<メンテナンス性>
本体に「音波洗浄モード」を搭載し手洗いでもしっかりケアできる
本機も付属の洗浄充電器を使って、シェーバーヘッド部の洗浄、乾燥、充電が行えます。洗浄に10分、乾燥に80分(室温が約15℃以下の場合170分)かかり、その後充電に移ります。洗浄後は内刃、外刃ともにヒゲくずがすっきり除去されていました。
本機の洗浄液は水道水と専用洗浄剤を混ぜて使います。洗浄剤は3袋入りで実売価格800円前後。目安として、1日1回の使用で1袋約30日使えるので、年間のランニングコストは約3200円になります。また、外刃の交換目安は約1年で、実売価格は6804円(ES9177)。内刃の交換目安は約2年で、実売価格は2916円(ES9170)となっています。
ヘッドを手洗いする場合は、「音波洗浄モード」が便利。別売のクリーニング液のほか、市販のハンドソープが使えて経済的です。
なお、本体液晶画面にはバッテリー残量のほか、「洗浄催促マーク」と「刃点検催促マーク」も表示。「洗浄催促マーク」は刃のメンテが必要なときに点灯、「刃点検催促マーク」は本機の使用開始から約1年の使用で点灯します。
<付加機能>
切れ味のいい跳ね上げ式のトリマー刃を搭載
ブラウン同様、本機にもキワ剃り刃(トリマー刃)が搭載されています。45°鋭角刃を採用し、切れ味は文句なし。ヘッドの裏側に設置されているため、剃っている部分がやや見えづらいのが残念です。
エントリーその3
フィリップス
Shaver series 9000 ウェット&ドライ電気シェーバー
S9731/33
<操作性>
スリムなグリッブと軽量設計で扱いやすさも文句なし
3機種の中で最もグリップが細くて持ちやすいのが本機。重さも約169gと軽く、T字カミソリのように逆手で持ってのシェービングもスムーズに行えます。
本体背面にはラバー素材が貼られ、ホールド感も十分。グリップ上部のラウンドした部分に人差し指(逆手の場合は中指)が乗って、安定感のある操作が可能です。
充電時間は1時間。1回の充電で合計約60分のシェービングができます。これは1日約3分間の使用で約20日間使用可能ということです。
洗浄充電器での充電は、シェーバーを後ろ向きにセットし、洗浄充電器上部のキャップ(ホルダー)を押し下げてシェーバーのお尻と接続。他機種と比べるとひと手間かかる仕組みになっています。また、電源コードを本体につないでの充電も可能です。
バッテリー残量は100%~0%を1%刻みで表示されます。また、パナソニック同様本機もセンサーを装備、本体を持ち上げるとバッテリー残量が表示されます。
<メンテナンス性>
洗浄充電器でシェーバーについたジェルまでしっかり落とせる
付属の洗浄充電器を使い、シェーバーの洗浄、乾燥、刃の潤滑化、充電を自動で行えます。洗浄時間は約10分で、乾燥時間は約4時間が目安。洗浄後はヒゲくずがしっかり除去できていました。皮脂汚れやシェービングフォーム、ジェルも効率よく洗浄できます。
洗浄液カートリッジ交換の目安は週に1度の使用で約3か月。クリーニングカートリッジ交換ランプが赤色に点滅したら交換時期です。カートリッジは2個入りで実売価格は1500円前後。年間ランニングコストは3000円前後というところです。替刃の交換目安は約2年で、替刃(SH90/51)の実売価格は5770円です。
ヘッドを水洗いする場合は、シェービングユニットを本体から外し、ユニットから上部ホルダーを外して洗います。
シェーバー本体の液晶画面にはクリーニングや充電、ヘッド交換の催促表示など、様々な情報を表示。メンテナンスのし忘れを防げます。
<付加機能>
ヒゲトリマーと洗顔ブラシの2つのアタッチメントを付属
本機にはヒゲスタイラーアタッチメント(ヒゲトリマー)と洗顔ブラシヘッドを付属。ヒゲスタイラーはあごヒゲ、口ヒゲ、もみあげのケアに使います。使う際は。本体からシェービングユニットを外し、ヒゲスタイラーを装着。スタイラーコームを取り付けると、ヒゲの長さを1~5mmの5段階に刈り揃えることができます。コームなしでは、長さ0.5mmに仕上がります。
洗顔ブラシヘッドが付属しており、顔と毛をぬるま湯で濡らしたあと、毛に洗顔料をつけて回転させて洗顔が可能です。肌当たりはソフトで皮脂や古い角質を効果的に除去。洗い上がりもさっぱりで、手洗いよりも洗顔後の皮脂量の増加が抑えられるとのこと。
また、本機はお風呂剃り対応で、シェービングフォームやシェービングジェルをつけてシェービングもできます。肌の滑りが良くなり、摩擦も少なくなるので、肌が弱い人には特にオススメです。
【今回のテストのまとめ】
<操作性>
軽さと細身グリップで最も操作感が軽いのはフィリップス
今回試した中で最も操作感が軽いのはフィリップスでしょう。重さ約169gは他の2機種より40g以上軽く、細身で順手でも逆手でもスムーズに扱えます。
パナソニックは本体が215gと重めで、グリップもやや太めですが、重心がヘッド側にあり、また手に持ちやすいグリップ形状と素材を採用しているため、操作感は良好です。
一方、ブラウンは重さではパナソニックより5g軽いものの、手に持ったときの重量感はパナソニック以上。色々な角度でシェービングするときのホールド感も、他の2機種よりやや劣ります。ただし、シェービングしながらヘッドの動きをロックできる機能は、鼻の下などピンポイントのシェービングの際に便利でした。
充電時間に関しては3機種とも1時間と急速充電が可能。運転時間に関してはフィリップスが約60分と最も長く、ついでブラウンが約50分、パナソニックが約42分という順番でした。充電の仕方は、ブラウンとパナソニックは洗浄充電器にシェーバーを置くだけと簡単。フィリップスのみ、キャップを押し下げるひと手間がかかりますが、それで決定的に充電が面倒になるということはありません。
ちなみにパナソニックとフィリップスはセンサーが搭載されており、本体を手に持ったときにバッテリー残量が表示されて便利です。
<メンテナンス性>
除菌力と乾燥の速さならブラウン、ランニングコストならパナとフィリップス
今回試した3機種は最上位機だけあって、どれも洗浄充電器が付属。洗浄、除菌、乾燥、刃の潤滑化、充電を全自動で行え、毎回清潔にシェービングできます。特にアルコール洗浄システムを採用したブラウンは、99.9%の高い除菌率が魅力。また洗浄性能についても、3機種とも問題なく汚れが落ちていました。
乾燥時間に関しては、ブラウンは洗浄液にアルコールが含まれているせいもあり、乾燥が40分と早く済みます。逆に乾燥に一番時間がかかったのがフィリップスで約4時間。ただ、ヒゲ剃りはほとんどの人が1日に1回、多くて2回だと思うので、朝シェービングしてそのまま洗浄乾燥して翌日また使う、あるいは夜剃ったあと洗浄乾燥して翌朝使う、という使い方なら、乾燥時間はそれほど問題にならないと思います。
洗浄液のランニングコストは、ブラウンが年間8700円前後なのに対し、パナソニックが3200円、フィリップスが3000円前後と安く済みます。また、フィリップスは交換が3か月に1回とパナソニックの3倍長持ちし、交換頻度が少ないのもメリット。ただし、フィリップスの清浄液カートリッジは週に1度の使用を推奨しています。メーカー推奨の使用法でのランニングコストを考えると、フィリップスが最も安く、交換の手間も少なくなりますが、毎回清潔なシェービングを望むなら、パナソニックやブラウン、という選択肢に変わってきます。
替刃のコストがもっとも安いのは、交換目安が約2年で替刃の実売価格が5770円のフィリップス。次いで、網刃と内刃の交換目安が約18か月で、替刃の実売価格9980円のブラウン(2年に換算した場合は1万3306円)。最も高いのは、外刃(交換目安は約1年)の実売価格6804円、内刃(交換目安約2年)の実売価格は2916円パナソニックとなります(2年換算で1万6524円)。
手洗いでは「音波洗浄モード」がついたパナソニックが有利。市販のハンドソーブが使えるので、余計な買い物が不要なのも魅力です。せっかく最上位機を買ったのなら、洗浄充電器を使うのがオススメですが、ランニングコストを少しでも節約したい人は、「音波洗浄モード」で手洗いして、その後「乾燥+充電コース」を使うのもいいでしょう。
ブラウンも専用モードこそついていませんが、電源スイッチを入れながら水洗いすることで、効率よく洗浄が可能。その際に液体洗剤を使えば、汚れ落ちがアップします。一方フィリップスはシェービングユニットを本体から外して洗うため、内刃や外刃を振動させながら流水洗いできないのがデメリット。特にシェービングジェルを使う人は、洗浄充電器を利用するのがオススメです。
ちなみにパナソニックとフィリップスは本体に充電催促や洗浄催促、ヘッド(刃)の催促表示出ます。こうしたメンテナンスのアシスト機能が豊富なのも、毎日清潔で快適なシェービングを望む人にはメリットとなるでしょう。
<付加機能>
機能の多彩さならフィリップスが一歩リード
付加機能に関しては、ブラウンとパナソニックはキワ剃り刃のみと標準的。実際の使い勝手は、筆者は刃先が見えやすいブラウンの方が使いやすいと感じました。
一方フィリップスは、ヒゲスタイラーと洗顔ブラシヘッドが付いているのが魅力です。ただし、本機では他機種で可能なキワ剃りができないのが残念。どうせならキワ剃り用のトリマーも付けてほしかったところ。
お風呂剃りに関しては、パナソニックのみ残念ながら非対応。同社はお風呂剃り対応モデルを別途発売しています。浴室での使用を希望する人やシェービングフォーム、シェービングジェルを使いたい人は、ブラウンかフィリップスという選択肢になりるでしょう。次回はこれまでの検証を踏まえて、各モデルがどんな人に向いているかを考えていきたいと思います。
3モデルの剃り味を検証した前回はコチラ
協力:楽天市場