家電
調理家電
2021/10/2 19:00

開発者は筋金入りのマニアだった! バルミューダのコーヒーメーカー「BALMUDA The Brew」のこだわりを聞く

おいしい部分を抽出し、雑味を排除するので豆の種類は選ばない

その後、開発のリーダー・太田さんがわが取材班のテーブルに来てくれたので、いろいろとお話をうかがいました。まずはドリッパーの話から。

 

「ドリッパーの形は、一般的に台形か円錐形の2つ。前者はお湯を溜めつつ出すのでゆっくり、後者は溜めずに出すので速いという特徴があり、『BALMUDA The Brew』は後者ですね。遅いか速いかは一長一短で、台形は雑味が出にくいのですが、豆本来のおいしさも出にくいんです。一方、円錐形はおいしさをダイレクトに出しやすいぶん、雑味も出てしまいがち。

 

この雑味を防ぐために、適切な湯量を適切なタイミングでコーヒー豆に注げるよう、ソフトウェア制御でしっかりコントロールしています。温度管理もそうですね。いかにコーヒー豆のおいしい部分だけを抽出できるかを考えて、ネガティブな風味が出る温度までは上がらないようにしているんです」(太田さん)

 

このほか、味の劣化につながるためにサーバーを保温する機能をカット。そのぶん真空二重構造のステンレスを採用し、事前にスチームで温めることで温度の低下を抑えたことも隠れたポイントなのだとか。

↑円錐型のドリッパーを手にする太田さん。ちなみに、ぺーパーフィルターの端のほうにお湯がかかると、そこからお湯が抜けてしまうため注意が必要。その点、「BALMUDA The Brew」では、端にお湯がかからないようしっかり制御されています

 

筆者が気になったのは、豆の個性をどう生かすのか? というところ。例えば、今回のスターバックスの豆より酸味が豊かで、フルーティな豆を使った場合はどうなるのでしょうか?

 

「『BALMUDA The Brew』は豆の種類も焙煎の浅深も選びません。なぜなら、コーヒー豆のおいしい部分を抽出し、ネガティブなえぐみや雑味を排除するのが『Clear Brewing Method』だからです。酸味の豊かな浅煎りのタイプは、より繊細かつエレガントな味で抽出してくれますよ」(太田さん)

 

開発者はもともと筋金入りのコーヒーマニアだった!

ところで太田さんは、本機を開発するにあたってコーヒーについて勉強したのでしょうか?

 

「私がもともとコーヒー好きなんです。ハマり始めたのは中学生ごろからで、この10年ぐらいで焙煎もやるようになりました。個人所有は家庭用のロースターですが、プロ用の焙煎機を持っている友人がいまして、それを使ってロックフェスでコーヒーショップを出店したこともあります。海外のコーヒーの産地も訪れましたし、あくまでアマチュアですが、実はカッピング(コーヒーの香りや味を評価すること)の資格を持っているんですよ」(太田さん)

↑「BALMUDA The Brew」の目指す味として、どこかの喫茶店をベンチマークはしていないと太田さん。むしろさまざまな店を飲み歩いて、よりコーヒーの奥深さを学んだと言います

 

なるほど、プロジェクトが始まるはるか前から筋金入りのコーヒーマニアだったんですね! コーヒーメーカーの開発には、この上ない適任だというのがよくわかりました。

 

「もともとコーヒーメーカーの構想は2015年発売の『BALMUDA The Toaster』のときにはすでにありましたが、難航をきわめて時間がかかりました。ということで、コーヒー関連では先に『BALMUDA The Pot』が世に出たんです。今回の『BALMUDA The Brew』が本格始動したのは2019年ごろ。約2年半かかりました」(太田さん)

↑こちらはアイスで抽出。水出しで淹れたかのようにスムースで、深みがありながらもゴクゴク飲める軽快さがありました

 

外観やサイズ感のこだわりについては、まず抽出の所作を目で直接楽しめるようオープンスタイルにしているとのこと。また、キッチンなどにもすっきり置けるよう、横幅はスリムな14cmに収め、そこから抽出量を計算していまの高さにしているといいます。

 

いろいろ話を聞くと、やっぱりバルミューダのプロダクトは見どころが多くて面白い! 10月7日からは、バルミューダ製品の正規販売店にて順次販売を開始するとのことなので、ぜひチェックしてみてください。

  1. 1
  2. 2