オンラインでの会議や商談、取材が主流となり、ネット環境さえあればどこででも仕事ができる時代になりました。自宅で仕事をするのは気軽でも、時には場所を変えて気分転換がしたくなるもの。
そこで筆者が最近、フリーランス仲間から「ココ、使えるよ!」と教えてもらった場所を訪れてみました。大阪・森ノ宮にある「まちライブラリー@もりのみやキューズモール」での1日をお伝えしましょう。
本が人と人を繋ぐ。全国に1000か所ある「まちライブラリー」とは?
「まちライブラリー」とは、誰でも始められる、いわば“私設図書館”のこと。自宅の玄関から大学、病院、カフェ、お寺など、さまざまな場所にあります。なかには、小学生が自分のクラスで思い入れのある本を持ち寄り、まちライブラリーを作ったケースもあるのだとか。
現在約1000か所あるまちライブラリーのなかでも、ここ大阪・森ノ宮の「まちライブラリー@もりのみやキューズモール」は、全国ナンバーワンの貸し出し数と利用者数を誇ります。食事ができるカフェも併設されており、訪れる人は思い思いに読書を楽しんだり、仕事をしたり、食事を楽しむのだそう。
これは、コワーキングスペースとしてうってつけ。はやる気持ちを抑えつつ、1日ここで過ごしてみました。
のんびりまったり過ごせる雰囲気の中で、仕事がはかどる!
館内にはさまざまなジャンルの本が約2万冊、そしてカウンターから4人掛けの席までが多数用意されています。早速、好きな場所を選んで、原稿書きをスタート。目覚めの一杯ということで、コーヒーを頼んでみました。
写真左のコーヒー「しっかりタイプ」は、通常のお店の2倍の豆の量を使っているとのこと。コクがあって濃い味わいが楽しめ、冷めても美味しいのが特徴だとか。のんびり本を読みながらコーヒーを楽しみたい人にピッタリですね。なお、ライトな味わいが好みという人には「スッキリタイプ」がおすすめ。
筆者はしっかりタイプをチョイス。一口飲んでみると、コーヒーの香ばしさや苦みが心地よし。いつもよりも筆が進む、気がします。
パソコンや携帯の充電をしたい場合は、入口を入って左手のエリアがおすすめ。自由に電源がとれるようになっているのは、ありがたい限り。
お昼は北海道のうまいものに舌鼓
お昼も近くなってきたので、ランチをいただくことにしましょう。先ほどコーヒーをオーダーしたCafe&Bar Sa Salu(サ サル)は、北海道のこだわり食材を使ったメニューが揃うお店です。
ランチメニューは、好きな丼物+十勝コロッケ+ドリンクのセット。豚の角煮丼とどろ豚メンチカツに水出しグリーンティーをチョイスしました。豚の角煮丼はスモールサイズとのことなので、食後のデザートにぴったりなフィナンシェも追加。
こちらが豚の角煮丼。とろとろの角煮の上には大きなゆで卵。半分ほどいただいたら、天然昆布と老舗店のサバ・カツオ節を使って店内でひかれた一番だしをかけて味変! 無添加の塩昆布や北海道産の山わさびを加えれば、さらに深い味わいに。
こちらは、十勝の広大な大地でのびのび育った「どろ豚」のメンチカツ。ジューシーで食べ応え十分。ここまでで、かなりお腹がいっぱいになったので、フィナンシェはおやつにいただくことにしました。ごちそうさまでした!
気分転換に読書……寄贈者のメッセージに胸アツ
お腹も満たされ、仕事を再開。なんとも居心地が良い空間、何より一般的な図書館と違う点は、おしゃべりしてもまったく問題ないということでしょう。館内には、小上がりになったキッズスペースもあり、日中は小さな子ども連れのママさんの憩いの場にもなっているようです。
たしかに、我が家の子どもたちが小さい頃、本が読みたくて図書館に行っても、つい騒いだり愚図ってしまって、早々に退出したことは一度や二度ではありません。お腹が空いたと言われたら、子連れで入りやすい飲食店を探すのも一苦労です。でもここなら、ゆっくり過ごせて、大人も子どもも本を読めて、食事も可能。そして、多少うるさくしても誰からも咎められる心配がありません。
そういった環境なので、オンライン会議をするのも問題ないとのこと。ただし、周りに会話を聞かれる可能性があるので、秘密の会議には不向きではありますが……。
予定していた原稿はほぼ書き終えたので、先ほど残しておいたフィナンシェと水出しグリーンティーをいただきながら、数多ある本の中から気になるものを探すことに。ふと目に留まったものを数冊持ってきて、読書開始。本を開くと、なにやらメッセージカードが挟まれています。
実は、まちライブラリーにある本は、すべて寄贈書。寄贈する際には、オーナーからのメッセージを書きこむことになっています。そして、本を借りた(読んだ)人は、自由にメッセージを加えていけるのです。
かつての手書き図書カードのような懐かしさ。本を媒介として、知らない誰かと自分が繋がっていることを実感できるのも、魅力のひとつではないでしょうか。
また、管理栄養士がおすすめの健康レシピをまとめたノートだったり、近所の子どもが作った手書きの地図だったり、お手製の絵手紙集だったり、なかには、まちライブラリーの創設者である礒井純充氏の論文まで。市販されているもの以外の本もおかれているのが面白いですね。
筆者も、家にある「誰かに読んでもらいたい、おすすめの本」を寄贈してみようか、と一考。
仕事後に軽く一杯も! 大満足の一日に
そろそろ子どもたちが帰宅する時間なので、名残惜しいがおいとますることに。その前に、おつかれさまの一杯を。Cafe&Bar SaSaluには、アルコールも豊富に揃えられています。
クラフトビールにワイン、スパークリング、ウイスキー、そしてつまみにはチーズやナッツ、生ハムなど。
仕事帰りに一杯飲んで帰るビジネスマンが多い、というのも頷けます。写真左端の「北海道産 インカのめざめ 揚げじゃがバター」は、これがお芋……!? と疑ってしまうほど、甘くて美味でした。いけない、つい長居をしてしまう!
誰かと繋がっているあたたかさ。自分の居場所が見つけられる「まちライブラリー」
こうして、まちライブラリーで一日を過ごしてみて、図書館でもない、本屋でもない、新しい「本がある場所」だったと感じました。午前中はリタイヤ後らしき方、午後は子連れのママ、夕方からは学校帰りの学生が課題や自主学習をし、夜は仕事帰りに立ち寄るビジネスマン。まさに、老若男女が楽しめる場所です。
何より、寄贈書から繋がる人と人のご縁が素敵。そして、筆者もまちライブラリーを作ってみようか……そんな思いにも駆られました。
館内では不定期でイベントも行われています。また、個人でもちょっとしたイベントスペースとしても利用できるようなので、気になる方は問い合わせしてみては。
なお、この日は悪天候だったため、終日座席に余裕があったものの、もしも満席になるような場合は、長時間の席取りは控えましょう。その点だけご了承を。
全国に点在するまちライブラリー。ぜひ近くのまちライブラリーを訪れてみてはいかがでしょうか?
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