ホンダ「プレリュード」、スズキ「eビターラ」…2025年下半期、車のプロが注目する“マストバイ”なモデル

ink_pen 2025/9/26
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ホンダ「プレリュード」、スズキ「eビターラ」…2025年下半期、車のプロが注目する“マストバイ”なモデル
岡本幸一郎
おかもとこういちろう
岡本幸一郎

モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。年間に試乗する車両は300~400台におよび、軽自動車から高級輸入車まで幅広く市販車の最新事情を網羅する。プライベートではスポーツカーを中心に25台の愛車を乗り継いできた。2児の父。

令和の時代に復活したホンダ「プレリュード」、スズキ初のEV「eビターラ」など、2025年下半期、乗り物シーンに“マストバイ”な注目モデルが続々登場予定だ! 専門家が分析する激アツの新型車を徹底解説します。

【その1】電動感があるけどスタイリッシュで気持ちよく走れる「プレリュード」

ホンダ
プレリュード
617万9800円〜648万100円(税込)

若い人はご存じないかもしれないが、「プレリュード」はかつてデートカーとして一世を風靡した。そのプレリュードが2025年9月に復活した。

『電動化時代の「操る喜び」を体現する、新たな価値を持ったスペシャリティスポーツハイブリッド』として、ホンダ独自の2.0L直4アトキンソンサイクルエンジンに2モーターを組み合わせたe:HEVを搭載し、それをプレリュードにふさわしく、よりエモーショナルで操る喜びが感じられるように進化させている。

ポイントは、e:HEVでもマニュアルシフトを楽しめるようにと新たに開発された「Honda S+ Shift」の搭載だ。パドルシフトを駆使して仮想の8段変速を任意に選択できるほか、ドライブモードと連動して走りの特性やメーターの表示の変化、アクティブサウンドコントロールシステムによる音の演出が楽しむことができる。

シャシーの基本性能も極めて高い。あの量販FF車世界最速モデルとして知られる「シビックタイプR」用のアイテムを流用し、特性をプレリュードに合わせて変更することで、応答性の良いハンドリングとスムーズな乗り心地を両立させたときけば、どれほどのものか想像いただけよう。

名門ブレンボを用いた電動サーボブレーキも、回生を感じさせないほど自然なフィーリングとともに、剛性感が高いことも印象的だった。

価格は安くはないが、得られるものはそれなりに大きい。これほどスタイリッシュで気持ちよく走れて電動感も味わえるクルマなどなかなかない。

【その2】新型「デリカミニ」誕生! どんな天候でも安全・安心で快適な走行性能がアップ

三菱
デリカミニ
196万4600円〜290万7300円(税込)

日産と三菱の合弁会社であるNMKVによる軽スーパーハイトワゴンが新しくなった。NMKVには日産版の「ルークス」と、三菱版の「ekスペース」と「デリカミニ」があり、基本骨格や構成部品の共通性は高いが、それぞれにふさわしい個性が与えられている。

「かどまる四角」をモチーフとするエクステリアを、さりげなくスポーティに仕立てた主力のハイウェイスターを擁するルークスももちろん魅力的だが、ここではもっとも特徴的な新型デリカミニを紹介しよう。好評だった従来型に比べて、より力強くかつキュートなデザインとされているのは見ての通りだ。

走りのほうも、持ち味をより引き出すべくチューニングされている。デリカミニの4WD車には、「パワー」、「エコ」、「ノーマル」に加えて、「グラベル」、「スノー」の計5つものドライブモードが選択できる、普通乗用車なみの機能が採用されたのが特徴だ。

さらに、未舗装路での走行安定性を高めるとともに、摩擦力を低減するためのプロスムースという技術を用いた専用ショックアブソーバーが装着されている。そのほかは、ルークスやeKスペースと共通機能。

使い勝手においても、ほぼ直角まで開くフロントドアやクラスNo.1を誇る室内長とスライドドア開口幅などでライバルをしのぐ。さらに、車両に近づくだけでロックが解除、足の動きでスライドドアを開閉、離れるとロックされるなど、乗り降りがハンズフリー化されたのも重宝する。

軽No.1のサイズという大画面ディスプレイも見やすくて使いやすい。収納スペースがいたるところに設けられていて、カップホルダーも即座に数えられないほどたくさんある。

安全装備については、軽自動車初の後側方衝突防止支援システムをはじめいくつもの機能が追加されて、もはや高価格帯の乗用車と肩を並べるほどになっているのも素晴らしい。

【その3】「N-ONE e:」は日常の足としては十分! ちょっとした遠出でも不便に感じることはなさそう

ホンダ
N-ONE e:(エヌワン イー)

269万9400円〜319万8800円(税込)

すでに軽商用BEVの「N-VAN e:」を販売しているホンダから、新型軽乗用BEVの「N-ONE e:」が発売された。内容的には先発の「N-VAN e:」との共通性が高く、バッテリー容量(総電力量)は29.6kWhのバッテリーを搭載しており、WLTCモードの一充電走行距離は、N-VAN e: が245kmだったのに対し、軽量で空力に優れることから295kmまで伸びた。

先発の他社の軽乗用EVと比べるとバッテリーは1.5倍近い容量で、走行距離は約1.6倍に増えている。これなら日常の足としては十分であり、ちょっとした遠出でもあまり不便に感じることはなさそうだ。

充電性能についても、急速充電は最大50kW、普通充電は最大6kWと、こちらも他社の軽乗用EVよりも進化している。

さらに、N-ONE e:の発売とともに、日本のメーカーで初めて、充電プラグを車両に接続するだけで自動的に認証、充電、決済まで行なうシームレスな充電サービスであるプラグアンドチャージ(PnC)を実現した「Honda Charge」がスタートしたこともお伝えしておこう。

また、専用の機器を接続して充電口から車両のバッテリーと家庭の電気をやり取りするV2H(Vehicle to Home)や、車両のバッテリーに蓄えた電気を外出先で給電するV2L(Vehicle to Load)など、BEVならではの「走る蓄電池」としての機能もぬかりない。

スタイリングは、内燃エンジンを積む「N-ONE」と同じく、1967年発売のホンダ初の量産軽自動車である「N360」に由来する、「まる・しかく・台形」を特徴とする「タイムレスデザイン」を継承している。

【その4】BEVの先進感とSUVの力強さを併せ持つ「eビターラ」

スズキ
eビターラ
399万3000円〜492万8000円(税込)

ボディサイズは4275mm×1800mm×1640mmと比較的コンパクト。これぐらいの手頃なサイズで電気自動車のSUVで、できれば4WDがあったらぜひ欲しいという人は少なくないはず。スズキ初となるBEVの量産モデルとなる「eビターラ」は、まさしくその思いを叶えるクルマといえそうだ。

BセグメントのBEVでありがらも2WDだけでなく4WDもラインアップすることや、日本勢では珍しく安全性やコストや調達を考慮してリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載することもポイントとして挙げられる。バッテリー容量は61kWhがメインで、システム最高出力およびWLTCモード航続距離は、2WDが128kWで520km、4WDが135kWで472kmと十分だ。

前後に独立したモーターを配置した電動4WD「ALLGRIP-e」により、ドライブモードの選択に合わせて、道路状況や走行状態に応じて前後のトルク配分を自動制御し、高い旋回性能とハンドリングの安定性や登坂性能、悪路からのスムーズな脱出を実現している。最低地上高は185mmを確保している。

BEVの先進感とSUVの力強さを併せ持ち、冒険心を刺激する力強さを表現したというスタイリングは存在感があり、実寸以上に大きく見える。

インテリアの質感もなかなか高く、インテグレーテッドディスプレイのような先進装備も設定されている。

【その5】日産「アリア」のコンパクト版のような3代目「リーフ」!

日産
リーフ

価格未定

量販BEVのパイオニアであるリーフの3代目となるニューモデルは、すでに6月に世界公開されており、日本にも2025年内に発売される見込みだ。

これまで内燃エンジン車に慣れ親しんだユーザーがとっつきやすいようにと、あえてデザインも近いルックスにされていたところ、3代目は一転して「アリア」のコンパクト版のような先進的なクロスオーバースタイルとなる。アリアのデザインは非常に好評だが、「もう少し小さいといいのに」という声もよく聞かれた。

3代目リーフはまさしくアリアのようなデザインになり、アリアに対して235mm短く、40mm狭く、105mm低い、全長4360mm×全幅1810mm×全高1550mmというボディサイズとなる。機械式立体駐車場に対応する車高を維持してくれるのも助かる。

基本骨格もアリアと共通のCMF-EVプラットフォームに刷新されることで、サスペンション形式がリアはマルチリンク式となりドライバビリティの向上も期待できるほか、車内の居住性も大幅に向上する。

パワートレーンも進化し、バッテリーは52.9kWhと75.1kWhという2種類の容量が用意され、動力性能も差別化される。航続距離は最大でWLTCモードで600kmを超える見込みだ。また、熱対策が施されることで充電性能は最大で150kW級に達するという。

最新のインフォテイメントシステムにはGoogleビルトイン機能が搭載されるとともに、カーナビとの連携も強化される。運転支援についても新たに機能が設定され、日本向けにはプロパイロット1.0および2.0が用意される。日産のBEVとして初めて最大1500Wのコンセントが設定されるのもうれしい。

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