ブリヂストンは、SUV向けプレミアムタイヤ「ALENZA(アレンザ)LX200」と、乗用車用スタンダードタイヤ「FINESSA HB01」の2つのタイヤを発表し、そのメディア向け試乗会を神奈川県大磯町で開催しました。新たに登場したタイヤは、それぞれどんな乗り味を見せてくれたのでしょうか。試乗した率直な感想をいち早くレポートします。


価格はALENZA LX200が1本26,510円~73,370円(税込)、FINESSA HB01は1本約17,490円から約4〜6万円前後(税込)。いずれも購入店舗や時期によって価格は変動します。
SUVの走りに静粛性と滑らかさをもたらすプレミアムなALENZA LX200

「アレンザ」はもともと運動性能・ウェット性能重視のスポーツ系「001」と、静粛性・乗り心地を重視したSUV向けコンフォート系「LX100」の2タイプがラインアップされていました。その中で今回発表されたLX200は、文字通りLX100の後継タイヤとして、その能力をさらに進化させて登場したものになります。
参考までに、ブリヂストンにはコンフォートタイヤとしてサルーン向けの「REGNO(レグノ)」もラインアップされていますが、アレンザはSUV特有の車体の揺れを抑えるための剛性を特に高めていることに違いがあります。
もともとSUVは車体重量が重く、一方で重心が高めです。これに合わせた運動性能を実現するにはサルーン向けタイヤと共用するのではなく、専用タイヤの開発が必要になったというわけです。
ではLX200はどこが変わったのでしょうか。具体的にはSUVに「静かでなめらかな走り」を提供するため、構造・形状の最適化と新パターンを採用して、乗り心地・運動性能・静粛性を向上させています。その結果、LX100と比べると、静粛性が16%向上、ウェットブレーキ制動距離が15%短縮、転がり抵抗係数が18%低減したとのことです。


試乗では、駐車場にスラロームや凹凸を体験できる特設コースが設けられ、指定された速度域で走行。その後、公道へ出て湘南バイパスを高速で走行し、一般道ではステアリングの切れや荒れた舗装路での応答を体験しました。
試乗車はレクサスNX350hとトヨタ・ハリアーが割り当てられ、駐車場内ではLX100を装着した車両との比較試乗もできました。

高い静粛性はもちろん、優れた直進性で大幅なレベルアップ
そこで実感したのはLX100とLX200との明確な違いです。LX100が全体にマイルドで乗り心地重視の特性を示したのに対して、LX200はトレース性の能力をしっかりと高めた操縦性を重視したものとなっていました。前輪の舵角に後輪もしっかりと追従してくれるため、ステアリングを切っても車体全体の動きに一体感が得られたのです。
その結果、狙い通りのコースをそのまま走り抜けることができ、これは軽快な操舵感に大きなメリットをもたらすものといえるでしょう。
一方で突起の乗り越えではややLX200に堅さを感じました。しかし、ショックそのものは丸みのある穏やかなもので、乗り心地を損なうような不快な印象はありません。

一般道での試乗は、西湘バイパスから小田原厚木道路を経由するルートを使いました。一般道は道路の継ぎ目や荒れた路面が多く、より日常使いでの特性を検証できます。とりわけ快適性をうたうアレンザにとって、ここでの対応能力は重要な要素となるはず。
走行結果は予想を超える快適なものでした。特に荒れた路面でのノイズの少なさは相当なもの。ざらついた路面に入っても不快さを感じることはほとんどなく、まさにプレミアムSUVらしい、ひとクラス上の走りにレベルアップしたように思えたほどです。
ステアリングへの振動もしっかりと抑えられており、これも快適なドライブフィールにつながっていました。
西湘バイパスは轍も多めで路面状況があまりよろしくありませんが、それでも直進性が損なわれることはなく、ステアリング修正もほとんどなく快適な走りを楽しめました。しかも高速域に入っても静粛性も高い。
これなら長距離走行した際の疲労軽減につながるのは間違いありません。プレミアムSUVで快適な走りを楽しむのにALENZA LX200は最適なタイヤとしてオススメできるでしょう。

振動や静粛性を高め、ウェット性能が長持ちするFINESSA HB01
続いて試乗したのは、幅広いユーザーに向けて “バランス領域”という位置づけで開発された乗用車用スタンダードタイヤFINESSA HB01です。

フィネッサという新たなブランド名は「FINE(快適)」と「SAFETY(安全)」を組み合わせた造語。エントリー向けタイヤながら、ワンランク上の安心感と心地よい車内空間を提供し、そのうえでサステナビリティへの貢献も意識して開発されたということです。
試乗はトヨタのプリウスを使い、一般公道でブリヂストンのエントリータイヤとして好評を得てきた「NEWNO(ニューノ)」と比較しました。
両者の比較で実感したのは、NEWNOよりもフィネッサの方が明らかに路面から伝わる振動が軽減されていたことです。その結果、静粛性も高まっており、まるで車体に使う遮音材が強化されたような印象を受けるほどでした。

これもENLITENによる、タイヤのプラットフォームを新しくしてチューニングした効果が発揮されたからにほかなりません。スタンダードタイヤでもここまでレベルアップできたことはうれしい限りです。
また、フィネッサでもうひとつ伝えておくべきは、ウェット性能の向上です。
発表によれば、高い排水技術「スプラッシュラグ」と「スクエアグルーヴ」を採用したことで、既存の「ECOPIA NH200」と比較してウェットブレーキ制動距離は15%短縮。加えて、摩耗後(2万km走行後)でも新品のNH200より12%短くできるため、高い安全性能が長期間にわたって維持されるそうです。

試乗した日は天候もよく、実際にウェット性能を試すことはできませんでしたが、この効果が発揮できるなら安心感が長期にわたって継続されることになります。これはうれしいポイントです。
聞けば、フィネッサは軽量なSUVに対してもマッチングは良好とのこと。お手頃価格を実現しながらも、安心と快適性を発揮するフィネッサはエントリータイヤとして新たな選択肢となってくれることでしょう。
撮影/松川忍(一部ブリヂストンから提供写真を使用)