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2019/4/5 19:00

ペン先が乾かない、上書きしても滲まない!ゼブラのノック式水性マーカーが全色集めたくなる優秀さ

【きだてたく文房具レビュー】インクから新開発したクリック一発のノック式水性マーカー

メモやアイデアの書き出しなどに、サインペン(水性マーカー)を使う、という人はけっこう多い。メリットには「書き味がするっと気持ちいい」「筆圧をかけずに書けるのがラク」などがあるが、なにより「字が太くはっきりするので、後から読み取りやすい」というのがいい。特にアイデアの書き出しなんかは、チマチマ細かく書くと読みづらいので、サインペンの太い字でノート全面を使って、大きく書いた方がいいのだ。

 

また、テレビ・ラジオ業界では古くからカンペや台本のチェックに必須とされていて、特に放送作家がヘビーユースしていることから、通称“作家ペン”なんて呼ばれていたりもする。それぐらいファンが多い筆記具なのに、万人が認めざるを得ない大きな不満点がある。

 

キャップの開け閉めが面倒くさいのだ。

 

これは水性マーカー全体に言えることだが、ペン先チップが大きいのでインクの蒸発が早い。なので、使わないときは常にキャップをカッチリ閉めておかないと、簡単にドライアップしてしまう。また、ドライアップを防ぐためにキャップがしっかりとして固いので、開けにくいのも面倒だ。無理して引っ張ると勢いよく開いて、滑ったペン先が手についてインクべったり、なんてこともある。構造上どうしようもないこととはいえ、なんとかならんものか。

 

それを実際になんとかしてしまったのが、ゼブラの最新型水性マーカー「クリッカート」だ。

↑ゼブラ「クリッカート」全36色 各108円
↑ゼブラ「クリッカート」全36色 各108円

 

どのように“なんとかした”かというと、驚くべきことに、マーカーのキャップを廃してノック式にしちゃったのである。ゼブラ、マジか。

↑使い方は、ノック式ボールペンとまったく同じ。カチッと押すだけでペン先チップが出てくる
↑使い方は、ノック式ボールペンとまったく同じ。カチッと押すだけでペン先チップが出てくる

 

ボールペンだと、ノック式なんてごく普通の存在だ。それなのに、なぜマーカーでノック式が難しいかというと、先にも述べたとおりペン先チップの表面積が大きいため、ボールペンと比べてインクが蒸発する速さがケタ違いなのである。

 

ノック式でペン先が軸内に引っ込むとはいえ、先端の穴は開きっぱなしなので、そこから空気が通ってどんどんインクを乾かしてしまう。(実は油性マーカーにはすでにノック式があるのだが、それはノックに連動したシャッターで先端の穴を完全にふさぐ、複雑な構造をしている)

 

じゃあゼブラはどういう方法でノック式マーカーを作ったか?

↑空気中の水分を吸収して乾燥を防ぐ「モイストキープインク」
↑空気中の水分を吸収して乾燥を防ぐ「モイストキープインク」

 

なんと、チップがドライアップしにくいインクを新開発してしまったのだ。この新しい水性染料の「モイストキープインク」は、空気中の水分を自ら吸収する成分を配合。これによって蒸発した水分を取り戻すので、ノック式でも乾かずにいつでもサラサラ書ける、というのである。

 

メーカーのリリースによれば、ペン先を収納している状態なら52週間はドライアップせずに書けるとのことで、吸湿性能は間違いなく機能するようだ。

↑写真左(従来の水性マーカー)と右(クリッカート)では、同じ条件で色を塗ってもにじみの差が一目瞭然
↑写真左(従来の水性マーカー)と右(クリッカート)では、同じ条件で色を塗ってもにじみの差が一目瞭然

 

また、この新インクのもうひとつの特性として、濃色の上から薄色を重ね塗りしてもにじみにくい、というのがある。サインペンの場合、黒で主線を描いた上から他の色を塗ると、黒がにじんでせっかくの絵が汚れてしまう。ところがクリッカートであれば、主線はさほど待たずに塗ってもにじまず、きれいなまま。これなら単純に画材として使えるし、色分けしてグラフを書くのにも良さそう。

↑アイデアメモなどに使うと、ノック式の便利さが身に染みる。違う色を使うのも手間がないので、色数をたっぷり持ち歩きたくなるほど
↑アイデアメモなどに使うと、ノック式の便利さが身に染みる。違う色を使うのも手間がないので、色数をたっぷり持ち歩きたくなるほど

 

で、それが本当ならどれぐらいラクか、という話である。実は、発売前にゼブラから製品サンプルをいただいたので、現時点で3週間ほど持ち歩いて使ってみているのだが……正直、もう他のマーカーに戻ろうという気がまったくしない。

 

なにせ、まずペンケースから取り出して書き始めるまで異常に速い。そりゃまあ当然で、使うときはカチッとノック一発でペン先が露出するんだから、ノック式ボールペンと使い勝手は同じだ。戻すときもノックノブを押して戻す方式なので、動作はまったく慣れたものである。この部分はボールペンで書こう、とか、別の色を使おう、という場合もいちいちキャップを閉めるストレスがないので、気分的に本当にラクなのだ。

 

次に気になるのは、ペン先チップの性能だ。

↑3週間使ったペン先チップの比較。筆圧にもよるだろうが、あまり変化は感じられなかった
↑3週間使ったペン先チップの比較。筆圧にもよるだろうが、あまり変化は感じられなかった

 

サインペンをはじめとした水性マーカーのもう一つの不満点が、チップの耐久性。書き続けると次第にチップが潰れてしまい、描線が太ったり書きにくくなったりしてしまうのである。

 

クリッカートの場合、ひとまず3週間使った結果でしかないが、もっとも多用(A5ノート23ページ分にガシガシ使用)したペン先チップは「やや線が太ったかな?」という気もするぐらいで、ほぼ変化はなし。現時点ではまだ、「チップ強い!潰れない!」と断言するには至らないが、少なくとも、耐久性は充分に実用的と言えると思う。

↑雰囲気で分けられた12色セット×3タイプ
↑雰囲気で分けられた12色セット×3タイプ

 

↑最近のカラーペンのトレンド(ピンク・ブルー系の充実)をきちんと踏まえた印象のラインナップ
↑最近のカラーペンのトレンド(ピンク・ブルー系の充実)をきちんと踏まえた印象のラインナップ

 

インク色はいきなりドバッと36色ラインナップだ。セット売りは12色ずつ、基本色の「スタンダード」、明るくマイルドな「ライトカラー」、深めな色合いの「ダークカラー」でまとめられている。

 

個人的には、筆記用に目立って読みやすく、かつ他社製マーカーにあまりないダークカラー系統がとても好み。特にしっかりと濃いブルーブラックと、目に穏やかなライトブラウンは今後も日常筆記具としてヘビロテ確定である。