筆者はときどき、海外から洋書の資料を取り寄せることがあるが、それを読みこなすのが毎回、ほんっっっっっとうに大変。英語の勉強がてら、画像翻訳は使わずやっているのだが、「あー、学生時代にもうちょっとマジメに英語やっときゃ良かった!」と心から思うばかり。なかなか進まないし、面倒くさいしで、げんなりしてしまう。
ウェブ上の英文はもう、翻訳サイトに突っ込んで丸ごと翻訳すればいいや、と開き直れるが、印刷物はそうもいかない。画像翻訳アプリを使うにせよ、スマホで撮影して、小さな画面上でチマチマ和訳を読むことになるので、それなりに手間がかかるのだ。
ところが、昨年末に強い味方をゲットしたおかげで、そんなつらい状況はかなり改善された。この連載でも以前に紹介した、スキャン式電子辞書「Yiida」である。書籍ページ内の分からない英単語を指さすと、瞬時にその単語の和訳を教えてくれるという、まさに魔法の杖かというレベルの超兵器。「この単語だけ分かったらあとは読めそうなのに!」みたいなとき、非常に助かるのだ。
【第1世代はどうだった?】
分からない単語を指差すだけ! 机上で高速翻訳する電子辞書「Yiida」をレビュー
https://getnavi.jp/stationery/446989/
おかげで、英文を読むのがかなりラクになり、「あー、Yiidaもう手放せないわー」と思っていたところへ、なんと早くもバージョンアップした新モデルが登場したというニュースが! おいおい、それは試さずにはいられないぞ。どうバージョンアップしたのか? 新機能が追加されているのか!?
翻訳する魔法の杖、待望のスタンドアローン化!
ということで手元に届いたのが、新しい「Yiida S1」。見た目は前モデルと変わらないお馴染みの“棒“スタイルだし、なにか変わったところがあるかと聞かれると、この状態では見分けが付かないというのが正直なところ。
GenHigh Tech
Yiida S1
2万1800円(税込)
早速使ってみるか、と本体をシャキーンとスライドさせてみると……おっ、内側に小さな液晶ディスプレイとスピーカーが追加されている!
前モデル(Yiida)は、本体カメラから単語を読み取り、Bluetooth接続したスマホの専用アプリで和訳表示+英語の発音をしてくれていたのだが、なんと「Yiida S1」ではスマホが不要。スタンドアローンで本体画面に和訳を表示し、発音発声もしてくれるというのだ。
もちろん、従来通りスマホとセットで使うことも可能なので、その辺は使うシチュエーションに合わせて自由に選べばOK(発声をイヤホンで聞きたい場合はスマホ経由でどうぞ)。
これは正直、予想以上の大幅バージョンアップだろう。今まで、何の不満もなくスマホ連携で使っていたのだが、確かに単体で使えた方が圧倒的にラクだ。一度スタンドアローンの「Yiida S1」を使ってしまうと、いちいちスマホのアプリを立ち上げてBluetoothでペアリングして……というのが手間に感じてしまうほど。
ちなみに本体内蔵の辞書は『新英和中辞典(第七版)』ということで、こちらは従来と同様。つまり、スマホなしでも、今までと同じ単語訳が得られるということだ。
では、早速使ってみよう。あらためて本体をシャキーンとスライドさせて伸ばすと、連動して電源オン。液晶画面の立ち上がりを確認したら、読みたい英文(書籍・雑誌・書類など)の上部に立てて、これで準備は完了だ。
本体底部には小型の吸盤があり、スライドさせると机上に吸着するので倒れにくくなる。背が高いのでいささか不安になるが、多少の揺れでは転倒しないので安心して使えるのだ。
あとは、意味を知りたい単語の下に指を当てると、本体上部のカメラが瞬時(メーカー公称で約0.2秒)にその動作を感知→指示された単語を読み取り→ネイティブ音声による単語の読み上げ+単語和訳の画面表示がなされる。
ユーザーは単語を指さすだけ。それだけで、きちんとそれを読み取って単語の意味を教えてくれるのは、何度やっても不思議なのだが……しかし読み取り精度は非常に高く、きちんと指さす限り、意図しない読み取りミスはまず発生しない。
一般的な電子辞書といえば、キーボードでいちいち知りたい単語のスペルを入力するもの、と相場が決まっているが、そういったレガシーな機械とは完全に別モノであり、別次元の使いやすさだと断言できる。
読み取り精度の高さ・スピードは従来と変わらない印象だが、そもそも前モデルの時点で充分すぎるほどに魔法クオリティだったので、そこは何の不満もない。それよりも新たに「Yiida S1」を使ってしみじみと感じるのは、スタンドアローン運用できる、その手軽さだ。
本体を起動してから知りたい単語の訳を得られるまでの速度は段違いだし、なによりスマホを占有されないのがありがたい。例えば、スマホでは英会話講座の動画を流しつつ、テキストを開いて分からない単語は「Yiida S1」で確認する、という使い方だってできるわけだ。
画面が小さいために、和訳や用例のボリュームが多いと自動スクロールされて最初の方が流れてしまうが、少し待つとあらためて文頭まで戻って再スクロールが始まる。これはささやかながら親切な仕様だと思う。とはいえ、やっぱり画面が大きいほうがいい、という場合は、スマホ連携に切り替えてアプリ画面で単語を表示させればいいのだ。
価格は前モデルよりも3000円余り高くなっているが、今から購入するのであれば、やはり軽快な「Yiida S1」を選んだほうが良さそう。というか、いま英語の電子辞書を買うなら断然これ! というほどオススメできる。ホント、スゴいのだ。
「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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