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筆記用具
2021/4/25 19:30

なめらか筆記はもう常識! 最新ボールペンが「モノグラフライト」「イルミリー」で遂げたさらなる進化とは?

ペールトーンオンリーのうっとりゲルインク「イルミリー」

さて、一方のゲルインクだが、こちらは油性にはない“発色性”を武器に、より斬新なカラー展開が主戦場となっている。ゲルインクボールペンの“インク沼化”とも呼ばれる現象だ。

 

昨年末にも、サクラクレパス「ボールサインiD」が全6色カラーブラックという、特殊すぎるラインナップで注目されていたが、対して3月発売のパイロット「イルミリー ゲルインキボールペン」は、ラインナップ12色がすべてペールトーン(高明度・低彩度の淡色)である。うーん、極端!

パイロット
イルミリー ゲルインキボールペン
全12色
各150円(税別)※期間限定販売

 

ペールトーンといえば、それこそ数十色のラインナップ中にちょっとだけ混じっている程度のカラーである。まさか、ペールトーンオンリーなシリーズが出るなんて、さすがに予想外だ。

 

ちなみに色名は「夢に見たブルーローズ(ペールトーンブルー)」や「しとやかなスミレ(ペールトーンバイオレット)」など、うっとり成分が非常に強くなっている。ただでさえすべて頭に「ペールトーン」と付くために色表記が長くなるのに、そこに加えてこのうっとり成分配合。正直、ライターという立場としては「勘弁してくれ」とも思うのだが。

↑色見本を作ってみたが、あまりに淡過ぎてきれいにスキャンできなかった!

 

そんな思いをしてまで、なぜ取り上げているかというと。「イルミリー」、すごくいい色が揃っていて……めちゃくちゃ好みなのだ。筆者の心の奥に潜む野生の乙女がキュゥゥゥゥン! と遠吠えしちゃうぐらい、好き。

 

淡い色をしっかり発色させるのは難度が高いのだが、それでも白みを含んだ美しい色合いに仕上がっている。方向性としては、1990年代にヒットしたぺんてる「Hybrid ミルキー」に近いが、より淡く、儚い色合いと言えるだろう。

↑インクの隠蔽力は強くないので、黒地での発色はいまひとつ

 

なにより色名がいい。いや、ライターとしては勘弁して欲しいけど、乙女おじさんとしては好きなのである。

 

カラーを想起させるワードとうっとり成分が濃厚に混ざりあって、ドラマチック。色名を見るだけで、なにかうっとりしたシーンを夢想するほどのパワーを感じてしまうのだ。だってほら、ペールトーンマゼンタが「真夜中のハーブティ」だぞ。しかも、実際の色もまさにイメージ通りで、ブレのない「真夜中のハーブティ」色なのも、お見事。

 

パイロットという生真面目なメーカーが、ここまでのうっとり力(うっとりりょく)を発揮するとは……申し訳ないが、予想外だった。

↑軸の印刷もほんのりと夢々しくて、うっとりする

 

実際のところ、筆記色としては淡すぎて使いづらいところもあるのだが、それはもう放っておいてかまわないと思う。

 

例えば手帳用の赤字として「ごきげんチーク(ペールトーンコーラルピンク)」を使えば、うっとりとテンションが上がりそうだし。多少は読みづらいかもだが、気にしない。さらに言えば、ただ色と雰囲気が素敵だからまとめて買っちゃう! なにに使うかは想定してないけど! という買い方でも、たぶんまったく問題ない。

 

 

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