文房具
2022/1/3 18:00

文具ソムリエール・菅未里が振り返る2021年の「自腹買いアイテム」と「文房具トレンド」

イベントやメディアへの出演、新作文房具のプロモーションなどに引っ張りだこの文具ソムリエール・菅未里さん。文房具の新作からロングセラーまでを知り尽くした菅さんが、自腹を切ってまで手に入れた愛用の文房具を1品ずつ紹介する連載を毎月お届けしています。

 

2021年が終わったところで、この1年で紹介しきれなかった自腹買い文房具(の一部)を披露していただきながら、文房具トレンドを振り返ってみましょう。

連載「文具ソムリエール・菅 未里の自腹買い文房具」アーカイブ
https://getnavi.jp/author/misato-kan/

 

1.2つの要素がインクブームを後押し

↑自腹で買ったインクの数々。小瓶入りの商品が増え、気軽にさまざまな色を試せるようになりました

 

あらためて振り返ると、2021年はずいぶんたくさんの万年筆とインクを買いました。女性を中心としたインクブームが続いており、彼女たちが楽し気にSNSにインクをアップするので、その投稿を見るとつい買ってしまいます。

 

コロナの影響で、SNSを見る時間が増えたせいもあるかもしれませんね。これは私に限った話ではありません。インクブーム自体が、SNSに後押しされている感じがします。

 

印象に残っている商品には、「錦秋」(プラチナ万年筆)、「はちみついんく」(尚貴堂)、あとTono&Lims(トノアンドリムズ)によるインク、金木犀の香りがする「True Love~金木犀 香る街で~」などがありました。

 

さまざまな色を少しずつ楽しめるインクの“小瓶”が増えているのも、近年の特徴です。カナダ発の文具ブランド「Ferris Wheel Press(フェリスホイールプレス)」も選びきれないくらい魅力的なインクを出していますが、小瓶ですから場所をとりません。ということで、三色のセットを買ってみました(写真左上)。

 

気軽にさまざまな色を試せるようになったことで、インクブームはまだまだ続きそうです。

 

2.カスタマイズ文房具の盛り上がり

↑右上の片面バインダーは、ルーズリーフ専門店「ステッチリーフ」で好みの色のインデックスを入れてもらったもの。左のシャープペンは、グリップをカスタマイズできる「ドクターグリップCL プレイバランス」。右下はオリジナルのスタンプ台を作れる「いろづくり」(シヤチハタ)です

 

先日、前から行きたかったルーズリーフ専門店「ステッチリーフ」にようやく行けました。このお店は、ルーズリーフバインダーのカスタムを楽しめるのが特徴。私もしっかりオリジナルルーズリーフバインダーを発注してきました。

 

今は楽しみに完成を待っているのですが、ルーズリーフバインダーとは別に、その場で持ち帰れるプチカスタマイズとして、好きな色のインデックスを入れた片面バインダーも作ってもらいました(写真右上)。

 

カスタマイズの波は定番シャープペン「ドクタークリップ」(パイロット)にも及んでいます。私も、グリップの重さを好みにカスタマイズできる「ドクターグリップCL プレイバランス」を買いました。手の形は千差万別ですから、服のサイズを選ぶように、グリップも選べるのが理想ですよね。

 

3.ビジネスシーンでは「ハンコ離れ」でも……

↑左下に並んでいるのは、複数の色をグラデーションにした朱肉「わたしのいろ」。スタンプが、信じられないくらい美しくなります。右側に整列しているテープ「デコラッシュ」(プラス)も、手帳やノートのデコレーションに活躍してくれます

 

手帳デコレーションの需要が増したせいか、スタンプ関連商品も、今、熱くなっています。

 

カスタマイズの話題でも取り上げた、インクをパッドに垂らすことでオリジナルのスタンプ台を作れる「いろづくり」(シヤチハタ)もよかったですね。あまりに面白いので、専用インクは29色すべてを買ってしまいました。カスタマイズの波は収まるところを知りません。

 

同じシヤチハタから出た、複数の色をグラデーションにした朱肉「わたしのいろ」も、必ずチェックしてください。単色の朱肉では難しい、複雑な美しさを演出してくれます。ネットで即完売するだけあります。

 

実用から趣味、趣味からカスタマイズへ

さて、私が2021年に買った文房具を駆け足で見てきましたが、インクなどに見られる趣味性の追求と、カスタマイズ文房具の増加は、実は同じ現象の別の面を見ているだけなのかもしれません。

 

本来は実用品だった文房具がだんだんと趣味のアイテムに変化してきたのがこの10年ですが、どんな道具も、趣味性を追求すればするほど、個々人に合わせてカスタムするようになるからからです。自動車などの乗り物も、スポーツの道具も、服も、使い手によるカスタムが一般化しています。

 

遅ればせながら、文房具もその段階に入ったのかもしれませんね。この動きは2022年も続くに違いありません。