文房具
筆記用具
2023/12/16 23:00

クラファンで達成率5400%! コクヨのボールペン「WP」が“いい文房具”と断言できる理由

ふと「いい筆記具が欲しいな」と考えることがあるけれど、具体的に「いい筆記具」とは? と問われると、なかなか難しい。要素として、まず挙げられるのが、高級さだろう。金属軸のボールペンや漆塗の万年筆などを見ると、そのルックスだけでも端的に「いい筆記具」としての印象が強い。値段が高ければ所有欲を満たしてくれ、イイモノを持っている(こだわりがある)という周囲へのアピールもできる。

 

もちろん、性能的に優れていることも「いい筆記具」と呼べる。ここで言う「性能の良さ」とは、書き味の機能性であることが多い。書きやすくて、使うだけで少し字が上手くなった気がするようなものも、「いい筆記具」ならではだ。

 

一方で、筆記具においては価格と性能が必ずしも正比例しない、という問題もある。150円程度で買える、ごく普通のボールペンが、書き味では世界的に高評価を受けるトップクラスのボールペンだったりするから一見して判断しづらいのだ。では、「いい筆記具」を欲したときには何を買うのが正解なのだろうか?

 

そこで今回は、見た目の高級さと性能の良さを兼ね備えた、分かりやすく「すっごくいい筆記具」を紹介しようと思う。

 

コクヨから高級筆記具が登場

コクヨの「WP」(Writing Products)シリーズは、クラウドファンディング発の筆記用具だ。この夏、ペンジャンルとしては異例の達成率5400%超えを達成し、その好評を受けて10月から一般販売がスタート。実店舗販売は、東京・神戸各1店舗のみ(2023年10月時点)で、今後は徐々に取扱店舗を拡大していく。

コクヨ
WPシリーズ
WP-F200 ローラーボール(上)
WP-F100 ファインライター(下)

各4000円(税別)
各2色展開

 

同シリーズには「WP-F100 ファインライター」と「WP-F200 ローラーボール」の2種類がラインナップされており、それぞれ軸色が銀/黒の2色展開(インク色はどちらもブルーブラックのみ)となっている。キャップと軸はアルミ削り出しで、さらにブラスト加工を施したアルマイト仕上げ。シンプルながらしっとりとした品の良さがあって、4000円+税という価格以上の高級感と見栄えの良さがあると思う。

 

↑三角錐の角を削り込んだ、矢じりのような口金が特徴的

 

↑筆記時はキャップを後軸に装着したくなるが、重量バランス的にはキャップ無しが正解かも

 

キャップをはずすと、三角錐の口金と、そこから連続する丸みを帯びた三角柱の透明グリップが現れる。グリップ自体はツルツルとすべりやすいが、指の置き場がはっきりしている分だけ安定感があり、ゆったりと落ち着いて筆記をするには悪くない。グリップ下はリフィルが透けており、ファインライター(三角のパターン)、ローラーボール(四角のパターン)が識別できるようになっている。

↑ファインライターとローラーボールは透明グリップから見えるパターンで識別可能

 

細かいところだが、中央の黒いリングは実はグリップと一体の透明パーツ。キャップと後軸に挟まれて光が通らなくなることで、ツヤのある黒に見えるのだ。わざわざ別体のパーツを使わずにデザイン上のアクセントを生む面白い作りは、特に知らなくても問題はないが、気付いているとちょっと嬉しいポイントと言えるだろう。

↑軸に表情を加えていた中央の黒いリングが実は透明パーツだった、と気付いたときは地味に驚いた

 

書き味も上質で、文句なく “いい筆記具”

ファインライターは、細かな溝が刻まれた砲弾型の樹脂チップを使用。毛細管効果により染み通ったインクで筆記するという仕組みだ。筆線の雰囲気はサインペンに近いが、チップがなめらか、かつインクの流量がたっぷりしているため、書き味がとにかく軽い。筆圧をかけることなくサラーッと線が引ける気持ちよさは、他ではなかなか味わえないものだ。それでいて、ゆったり書けば筆先のコントロールも良く利くので、悪筆の人でも落ち着いて書けば、いつもより読みやすい字が書けそう。

↑細かな溝を通ってインクがたっぷり染み出してくるので、書き味はとてもサラサラ

 

また、筆圧の強さによって線幅の細太が自在にコントロールできるので、脳内でイメージしていた通りの線が引きやすい、というのも大きなポイント。書き味の軽さとコントロール性、描線の自由度の高さなど、ハマり要素が多いので、一度手に馴染むと手放せなくなる可能性は高そうだ。

↑個人的にも「今年ナンバーワンかも!?」思うほどに気に入った、気持ちの良い書き味

 

↑軸内部のバネでリフィルを支える構造もあり、筆圧のコントロールがしやすく、文字にしっかりメリハリがつけられる

 

ローラーボールも、粘性の低いシャバシャバとした水性インク+高フローの組み合わせによって、書き味が非常に軽くなっている。加えて、ペン先が紙に触れているだけでインクが出る(インクスキップが発生しない)というローラーボールの特性もあって、こちらは聞き書きメモのようにダーッと書き続けるような使い方にマッチしやすいように感じた。

↑ローラーボールは、長時間書き続けたいと感じさせる、颯爽とした書き味が特徴的

 

試した感じは、とにかくどちらもサラサラ感を重視しており、さらにそれを楽しめるように味付けされているな、という印象を強く受けた。単に書き味がサラッとしているだけでは今さらだが、チップの工夫でコントロールしやすく作るなどの技巧をこらした結果、ずっと書き続けていても飽きにくいペンが生まれたと言えよう。

 

見た目の高級感も見ての通りなので、これは万人にとって間違いなく「いい筆記具」と言って良さそうだ。筆記具に関心の薄い人でも、使えばすぐに「あっ、なんか違うな?」と感じ取れるはずなので、この年末にかけてプレゼントにすれば「イイモノ分かってんじゃん」と、家族や友人からの見る目が変わるかも。