ペン角度30度でも書ける衝撃。インク切れじゃないのによくかすれる人は「モノグラフライト」使ってみて!

ink_pen 2025/12/28
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ペン角度30度でも書ける衝撃。インク切れじゃないのによくかすれる人は「モノグラフライト」使ってみて!
きだてたく
きだてたく
きだてたく

1973年京都生まれ、東京都内在住。フリーライター/デザイナー。 小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の子がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文房具を持ち込んで自慢すればいい」という結論に辿り着き、そのまま数十年、何一つ変わることなく現在に至る。自称世界一の色物文具コレクション(3000点以上)に囲まれながらニヤニヤと笑って暮らす日々。ウェブサイト「デイリーポータルZ」では火曜担当ライターとして活躍中。

自分好みの書き味のボールペンを見つけるというのは、実のところなかなかに難しいことである。

なにせ実際に書いてみないと自分の手に合うかどうかの判断は付かないし、かといって文具店の店頭で片っ端から試し書きをするというのも、手間を考えるとあまり現実的とは言いがたい。

で、結局のところは、手堅く万人に人気のメジャーなペンを買って「なるほど、こういう感じかー」と納得する、ということになりがちなわけだ。

それでも十分に満足できるのが日本のボールペンのクオリティの高さなのだけれど。

しかし、その場合「そんなにメジャーじゃないけど、すごくいいペン」を取りこぼしてしまう可能性も高くなってしまう。それはものすごくもったいない。

例えば、今回紹介する新しい「モノグラフライト 水性ゲルボールペン」。やや地味な雰囲気で万人ウケ系ではないのだけど、「これはちょっと取りこぼしてしまうのは本格的に勿体ないぐらいに良いペンだ」と、試用しながら感じたのである。

新設計のペン先構造

「モノグラフライト 水性ゲルボールペン」(以下、モノグラフライトゲル)は、トンボ鉛筆の筆記具ブランド「モノグラフ」のシリーズとして登場した、ゲルインク搭載のボールペンだ。

ラインアップはボール径が0.5mm/0.38mmで、0.5mmのみ黒・赤・青のインクが揃っている(0.38mmは黒のみ)。

トンボ鉛筆

モノグラフライト 水性ゲルボールペン

市場想定価格: 0.5mm/0.38mm 各220円(税込)

書いてみてまず「おっ」と感心したのが、ペン先チップの精度だ。

筆者は握りグセとしてかなりペンを寝かせ気味に握ってしまうため、ペンによっては書き出しがかすれたり、線が細くなってしまうことがわりとある。

しかし、モノグラフライトゲルはかなり寝かせて書いても、かすれや線の細りが起きにくかったのだ。

↑35〜40度まで寝かせても、かすれなくしっかり書けるのが驚きだ。

これは新設計のペン先構造によって、寝かせて書いた際に先端のボールがズレにくく、結果としてインクの流量が変わりにくいというもの。

試してみると差は歴然で、他のゲルインクボールペンだとインクが出なくなるような筆記角度でも、モノグラフライトゲルは当たり前のようにサラーッと書ける。

↑他社製ゲルが45度あたりから線が不安定になってくるのに対して、モノグラフライトゲルの安定感はかなり高かった。

「しょっちゅうインクがかすれて書けなくなる」という体験をしている人(ちなみに、筆者と同様にペンに良くない握りグセをしている可能性がある)の場合、いちいち正しい握りに矯正するよりは、それでも書けるペンに変えてしまったほうが手っ取り早いのかもしれない。

↑ペン先チップは、通常の1.3倍という長さのロングニードルチップ。強く筆圧をかけても変形しない強度の高さも優秀だ。

視界の広いニードルチップ

↑ペン先が文字を覆い隠すことがないため、細かい文字も非常に書きやすい。

ペン先に関しては、視界の広いニードルチップもポイントだ。

針のように細いニードルチップは、筆記時にチップ自体が文字に被さってしまう率が低いため、特に手帳などに細かい字を書きたい用途にとても向いている。

しかも、一般的なニードルチップが長さ約4mmなのに対して、モノグラフライトゲルは5.2mmと非常に長い。

もちろん長ければその分だけ筆記の邪魔になりにくいので、ちまちまと文字を埋めるのにこのロングニードルは使いやすいわけだ。

にじみにくいサラサラのインク

実際の書き味に関しては「たっぷりとインクを流してサラサラ感を強める」という、昨今のゲルインクボールペンらしいテイストになっている。

ただ、そこで重要になってくるのが、このペンのために新開発されたゲルインク「モノドライインク」だ。

このインクは“速乾性”と“にじみにくさ”という相反する要素を成立させたもので、特ににじみにくさの点でかなり良くできている。インクはたっぷり出るのだけど、それが紙にジワッとにじむことが少ないので、線の太りが抑制されているのだ。

↑インクだく感のある書き味に対して、描線は思ったよりシャープ。にじみにくいインクの性能を実感した。

なので、描線はきちんとシャープなのに、書いている手応えは「インクたっぷり出てるなぁ」という感じ。

0.5mmはその辺りが強調されてサラサラ感が非常に強く、いかにも“気持ちいいゲルインクボールペン”という印象だ。

対して0.38mmはインク流量が抑えられている分、サラッとしつつも程良いカリッとした引っかかりが手応えに残る。ペンが走り過ぎず、しっかりとコントロールが効き、丁寧に文字を書くのに向いたタイプと言えるだろう。

↑0.5 mmと0.38 mmは、単にボール径の差だけではないテイストの違いを感じる。

グリップが惜しい!

気になった点……というか、残念に思った部分もある。

モノグラフライトには、先行して「モノグラフライト 油性ボールペン」「モノグラフライト シャープペンシル」が発売されており、共通して摩擦の極めて強いパターンを刻んだゴムグリップが搭載されていた。

当然、ゲルでもそのゴムグリップを期待していたのだけど、なぜか半透明の樹脂製グリップ(刻まれたパターンは同じ)に差し替えられていたのだ。

それでもしっかり握れるのは間違いないのだが、とはいえグリップ力の低減は否めない。

↑ゲルのみ、柔らかいゴムグリップから硬い樹脂グリップに変更されている。コストダウン目的だろうか?

「油性よりゲルのほうが筆圧が少なく書けるから」など樹脂グリップ採用の理由はあろう。しかし冬でも手汗をかいてグリップが滑りがちな筆者は、従来モノグラフライトシリーズのゴムグリップが非常に気に入っていたため、この変更はかなり残念だ。

で、ここからはメーカーおよび関係者各位にちょっと読み飛ばしてもらいたいところなんだけど(スイマセン)、グリップの欠点を補うちょっとしたトリックを記しておきたい。

「モノグラフライトゲル」と「モノグラフライト油性」はリフィル形状が共通なのである。つまり入れ替えが効く。油性の軸にこっそりゲルのリフィルを入れても支障なく書けるのである。

「ゲルの書き味は気に入ったけど、樹脂グリップが釈然としない!」という人には試してみる価値はあると思う(あくまでも自己責任でお願いします)。

↑リフィルの入れ替えで、ゲルもゴムグリップ化は可能。やはりこのゴムグリップの摩擦力は素晴らしい。
↑モノカラー軸は「間違い探しか!」と言いたくなるほどそっくり。特に油性とゲルは間違う可能性が高いので要注意だ。

正直、油性・ゲル・シャープがほとんど同デザインという辺りがややこしく、購入しづらさを感じる(特に通販では、製品名をしっかり確認するべき)ことはあると思う。

とはいえ、ここしばらく出ていなかったゲルインクボールペンの新製品であり、高精度ニードルチップの優秀さや書き味の良さなど、評価すべきポイントは多い。

ゲル好きならスルーせず、試す価値はかなり高いと思うので、一度は手に取ってみてほしい。

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