パイロットが学生を対象としたアンケートで「ボールペンを購入する際に重視すること」を調査したところ、一番大きいのが「書き心地」で、購入価格帯は「100円台」が多かったという。
書き心地は筆記具のアンケートで当然選ばれるべき部分なのでひとまず置くとして、ここで注目すべきはやはり価格の面である。
「ボールペンが100円台なんて当たり前では?」と疑問に思っているのは、おそらくアラフォー以上の世代だろう。確かに20年ぐらい前はボールペンなんて100円台が当たり前だったが、実際、昨今のボールペンは200円台が一般的なのだ。
社会人ならそれぐらい気にならなくても、ペンを消耗品として大量消費する学生にとって価格はわりと大きな問題だろう。
そこでアンケート結果を受けてパイロットが展開したのが、既に人気の高い(しかし価格は200円台の)ボールペンのコスパモデルというわけだ。

名作にコスパを“プラス”
今回発売されたパイロット「ジュースプラス」は、高インクフローによって滑らかな書き味を生み出すパイロット独自のシナジーチップを搭載したゲルインクボールペンだ。 文房具好きの方ならこの時点でピンと来ているだろうが、こちらは2016年に発売されて、いまだに人気の高い同社のゲルインクボールペン「ジュースアップ」がベースとなっている。

アンケートを受けて、価格は150円+税。昨今のボールペンの新製品としては、やはり100円台はちょっと目を引く感じだ。
元となったジュースアップは200円+税なので、端的に25%OFFのお手ごろ価格と言えるだろう。
従来品との違いはどこ?
じゃあ性能的にどこか落ちるのかというと……実のところ、大きな変化はなし!と言っても過言ではない。

なにせ、書き味の上で最大のポイントとなるシナジーチップを含むインクリフィルは、ジュースアップとジュースプラスで共通のものを使っているのだ。
シナジーチップから供給されるたっぷりしたインクフローと、粘り気のないサラサラの書き心地の快適さも、もちろん変わっていない。
ちなみに、ジュースプラスは現時点でボール径0.4mmのみというちょっと珍しい展開だが、これは学生のノート需要(細かくみっちりと紙面に書き込みたい)に合わせたものだろう。

新旧の最大の違いは口金
一番の変更点はジュースアップが金属製の口金なのに対して、ジュースプラスが樹脂製の口金になっているところ。
基本的には金属口金のほうが低重心でペン先を動かしやすいのだが、そもそもジュースプラスは全体重量が約9.7gと比較的軽めな分、重心を気にするまでもなく動かしやすいのだ。
もちろん、繊細な人ならジュースアップの低重心に価値を感じるだろうが、大部分のユーザーにとっては、どっちも書きやすいという認識になるのではないだろうか。

キリッとした発色の良さ
ジュースプラスはローンチ時点でインクカラー8色がラインアップされている。
なかでも今回初登場となるラベンダー・ミント・ネモフィラ・サクラの4色は、優しげなニュアンスカラーでありながら可読性も十分。ノートをカラフルに書き分けたい派には特に注目されそうだ。
また、既存カラーからラインアップされているブラック・ブルー・レッド・オレンジも、非常にキリッとした目立つ発色で人気があり、とても使いやすい。

シナジーチップによる書き心地の良さと、ジュースアップ系ゲルインクの発色の良さは、書いてみるとシンプルに「良いペンだな」という印象を受ける。
ただ、元のジュースアップが200円+税という価格だけで学生から「ちょっと高いな」と忌避されていたのだとしたら、それはやはりもったいない話だろう。
そういう意味では、ボディをコストダウンさせつつ書き心地を上手に維持し、優れたペン先であるシナジーチップを若い人に試してもらうためのジュースプラスは、なかなか意義のある製品だと思う。

熾烈になる100円台ボールペン争い
現時点において100円台のゲルインクボールペンといえば、ゼブラ「サラサクリップ」(100円+税)と三菱鉛筆「ユニボールワン」(120円+税)の2本が圧倒的強者となっている。
今回のパイロットの取り組みは、ここに自社製品を食い込ませていくためのものと考えて間違いないわけで、「同じ100円台の土俵に立てば、あとはシナジーチップの実力で勝負していける」という判断なのだろう。

サラサとユニボールワンともにカラーラインアップの幅広さという先行有利を持っており、これもなかなかに要素として大きそうだ。とはいえ、共通リフィルであるジュースアップにも、すでに30色近いラインアップがある。
さらにフローの良さを活かしたラメ系インク(クラシックグロッシーシリーズ)まで持っているわけで、実際問題として、追いつくのはさほど難しくないのかもしれない。
これからしばらくは100円台ゲルインクを舞台とした3社の争いが熾烈になりそうで、目が離せないところだ。
