シャープペンシルというのは、意外と選び方が難しい。
例えばボールペンであれば、発色や書き味のなめらかさが自分好みのものを選べばいいのだが、シャープペンシルの場合、発色も書き味も基本的にはシャー芯由来のものだ。
本体に関しては、重量バランスや取り回しなどのような“実際に手になじんでみないと判断しづらい部分”が主な要素となるため、店頭で手に取るだけでは選びづらいのである。
しかし逆に言えば、書き味は芯によって安定させられるのだから、あとはそれ以外の機能の良し悪しで選んで問題ない、とも考えられる。
そこで今回は、最新シャーペンの中から、他にはないユニークな機能を持つ2本を紹介したい。

金属軸なのにグリップが効く高級シャーペン
昨今のリスキリング(学び直し)ブームなどもあって、資格の勉強をするのに久しぶりにシャーペンを使っている、という社会人はかなり増えているようだ。
その際、ちょっといいシャーペンを……ということで金属軸の高級品が選ばれることもあるのだが、金属軸シャーペンはグリップがツルツルしている製品が多く、長時間握り続けて勉強するにはあまり向いていなかったりもする。

その点、サクラクレパスの「INTAGLIO 0.5」(以下、インタリオ)は、スマートなアルミボディながら、手の中での収まりの良さ・グリップの握りやすさにスポットを当てた、なかなか面白いシャーペンだ。
まず収まりの良さに関しては、軸の中ほどから後ろにかけてうっすらと曲線的に細く絞った形状で、人差し指側面に軽くフィットする。加えて、重心が絞りの手前側にあるため、握った際に落ち着きがあり、しっくり収まるつくりになっているのだ。

手汗なんてへっちゃらのグリップ
加えて、筆者が個人的に気に入ったのが、非常に特徴的な切削グリップだ。
一般的に金属軸シャーペンのグリップは、ツルツルのフラットなものか、細かい刻み目のついたローレットグリップがほとんど。それでしっかり握れる人は問題ないのだが、手汗をかきやすいタイプの人は、ローレット加工でもかなり滑ってしまう。
安定感の不足した状況で重い金属軸の筆記具を握り続けるのは、正直言ってかなりのストレスなのだ。

対して、インタリオのグリップは、ローレット加工よりも深く広い溝が刻まれており、これが人差し指と親指の腹、中指の第一関節側面にグッと食い込むようになっている。
これによって、多少の手汗などではビクともしない摩擦が発生し、滑らずにしっかり握ることができるという仕組みだ。
筆者は季節を問わず手汗をかきやすいのだが、金属軸でここまでしっかりホールドできるシャーペンは初めてだった。これはなかなか感動的だ。

それ以外にも、先端視界を確保しやすい絞られた口金や、偏芯を防ぐために手の中で回転させやすいショートクリップといった基本的な部分も過不足なく揃っており、実用性も問題ない。
見た目にも落ち着きがあってビジネスの現場で使いやすく、社会人の日常筆記シャープとしてとても良いものだと感じた。

芯を40本も搭載できるシャーペン
一方、サンスター文具「シンドバット」は、元から重心自体が気にならない軽さのショート樹脂軸で、グリップも特に加工のないツルツル仕様である。
基本的には、握りやすさとか安定感といったものはそこまで気にしない方向の製品と言えるだろう。

では、「どこがユニークなのか?」というと、芯の搭載容量がものすごいのだ。なんと軸内の芯タンクに最大40本ものシャー芯を搭載することができる。
普通のシャープペンの芯タンクはだいたい2〜3本が適正量。これ以上入れるとノック時に芯詰まりを起こすなどトラブルの元となってしまう。それに対してシンドバットは40本だから、単純に考えれば通常の20倍だ。さすが製品名も「芯ドバッと」だけあって、これはちょっと圧倒的な数字である。

しかも、購入時点で最初から芯が40本入りというサービスっぷりだ。
試しにパッケージを開けたばかりのシンドバットのノックノブを引き抜いてみると、ご覧の通り中から芯がドバッと出てきた。他のシャーペンではまず見たことのないインパクトである。
こうなってくると、もはやシャーペンというよりも、“替え芯ケースに筆記機能が付いた製品”と表現するほうが正しいのかもしれない。

シャー芯を入れる手間が省ける
シャーペンが書けなくなって、まだ中に芯が入っていると思ってノックしたのに空っぽだったというのは、端的にかなりストレスを感じるシーンと言える。
その度に、替え芯ケースから芯を数本つまみ出し、シャープのノックノブを抜いて細いタンクから溢れないようにソッと芯を入れて、ノブを戻して……という作業が必要になるのだから、普通に考えても面倒くさい。なにより勉強に集中している最中にそんな事態が起きたら、それだけでもうやる気も空になってしまいそうだ。
当然ながら芯タンク容量40本なら空っぽになる頻度は通常の1/20。これは大きなメリットと言えそうだ。

ただし、これだけ太い芯タンクだと、搭載本数が少なくなってくると芯が中で暴れやすくなり、芯が折れる可能性もそこそこ高くなってくる。
残念ながら、中折れを防ぐ機構は特に付いていない(価格的にもそこまで期待するのは無理)ので、その辺りはある程度認識しておく必要はあるだろう。
とはいえ、これ1本で50万文字書ける(芯1本で平均1万2500文字)と考えれば、トレードオフとしても十分に価値はあると考えるべきだろう。
ちなみに、余談ではあるが、今回のシンドバットは復刻版というか2代目にあたるもので、初代は2005年頃に発売されていた。

