そして値段が安い理由のひとつに、ブランドの独自化や流通の合理化だけではなく、店舗自体の「運営の合理化」が挙げられます。その1つが販売品の管理。競合店では商品を箱から一つひとつ出し陳列していますが、アルディでは箱から出さず棚に置いてあるので、陳列の工程が省けるうえ、箱数による在庫管理ができます。
さらに合理化をはかっているのが「レジ」。レジにある長いコンベヤーは、レジでの所要時間を減らし、スムーズに進むことができます。顧客は並んでいる間に、商品をコンベヤー上に乗せるようになっており、レジ担当者がトローリーから商品を出す時間が省けるのです。そのうえ、レジ通過後の袋詰めはパッキングエリアでセルフ。これも当然、時間の節約へつながります。ちなみに買ったものを入れる袋は有料なので、利用者は普段、買い物バッグを持参しています。
ただし、これだけでは他店でもよく見かけますが、アルディで一番大きく異なるのは、「毎週2回総入れ替え」となる日用品です。「毎週水曜日と土曜日に半分ずつ入れ替える」という言い方が正確かもしれません。毎回それぞれテーマを設けてあり、例えば、夏が近づくとキャンプ用品、新学期が始まるころであれば学用品といった具合です。
支持される「見える化」とフレンドリーな接客態度
アルディは、先に紹介した日用品における販売促進にはチラシを大いに活用しています。様々なところでコストカットしていますが、ことチラシに関しては、紙のチラシを大々的に取り入れ、顧客への視覚的訴求に力を入れています。チラシでは翌週分の販売品も紹介され、店へ行く人はこのチラシを見て、通常の買い物、そしてお買い得品を探すことを楽しみにしている人も多いのです。商品によっては早朝から行列になることもあるほど。
さらに顧客から支持を得ているのが「フレンドリーな接客態度」です。アルディでは社員が幸せでなければ顧客を喜ばせることはできないと考え、社員教育に力を入れています。日本では接客に関してすでに高いレベルに達していますが、オーストラリアではまだまだ。国が違えど、笑顔でフレンドリーに接してくれる店員がいるお店は気持ちがいいですね。