ワールドカップ一色となっているロシア。テレビには朝から晩まで参加チームの動向や試合結果が映し出される一方、公共交通機関ではワールドカップの巨大広告があちこちで見られます。実際にロシアにおいて大手グローバル企業はワールドカップでどんな宣伝を行い、ロシア国民や世界中のサッカーファンにブランドや製品・サービスを伝えているのでしょうか? 本稿では5つの企業の取り組みをご紹介します。
1: アルファバンク
ロシア最大の民間銀行の「アルファバンク」は2018FIFAワールドカップロシアの公式銀行でもあります。同行は広告モデルにアルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手(FCバルセロナ所属)を起用。アルファバンクを利用すると、ワールドカップのシンボルを含む5000種類の記念品と3000枚の観戦チケットが当たるプレゼントキャンペーンを展開しています。
また、同行は開幕の220日前にモスクワ中心地に壁画を公開したことでも話題になりました。5階建てにもなる建物の壁全体を使ってメッシ選手を描いたのです。短期間のうちに突如として現れたアートにロシア国民が仰天。この壁画はモスクワ中心地にいくつか描かれているので、探しているロシア国民もいます。
2:ヒュンダイ/キア
FIFAのパートナー企業の韓国自動車メーカーの「ヒュンダイ/キア」は、ロシアで著名なユリ・ダッド氏 ブランド大使として起用。彼は有名なブロガー兼ジャーナリストで、ロシアのスポーツサイト「Sports.ru」の編集長でもあります。彼のYouTubeチャンネルは 2018年6月現在、320万人の視聴者を抱え、3億回以上の再生回数も叩き出しています。
ワールドカップの期間中、ダッド氏の強力な情報発信力によってブランド力の向上を図り、ワールドカップ開催に合わせて、車体の屋根やトランク、足のマットにエンブレムが刻印された「ワールドカップ限定モデル」を約1万台販売。限定モデルやキャンペーン対象車を買うとチケットが当たるキャンペーンも展開中です。
また、モスクワの中心地にある販売店では、店舗のガラス窓にもワールドカップにまつわる仕掛けが施されているのです。この販売店は横8mにもなる大通りに面しているのですが、なんとワールドカップ期間中は店舗のガラス面が「インフォメーションボード」に変身。画面にはワールドカップのスケジュールや対戦表などが24時間映し出され、旅行客などを含めた道行く人々に情報を提供しているのです。
3:Visa
FIFAのパートナー企業の「Visa」はオンラインでコンテストを展開しています。Visaカードの利用者が「FIFAワールドカップVisa!」プログラムに登録すると、大会最終日に「選手とともにピッチに入れる」というキャンペーンを実施しています。2018年4月から7月までの期間中、1回の買い物などで500ルーブル(約1,000円)以上、さらに15回以上Visaカードで支払いをすれば応募権利が与えられます。当選者は5名という少ない枠ですが、熱狂的なサッカーファンにとって、たまらないこのプログラム。近年になって、ようやくクレジットカード決済が定着してきたロシアですが、このキャンペーンに釣られてさらに使用者が増えそうです。