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2019/5/9 21:00

エコな世界を「お米」から。ベトナムの「米粉ストロー」に注目

今日、ベトナムは地の利を活かして、隣国タイにも迫る勢いで経済発展しています。しかし、問題視されているのがやはり環境問題。経済発展と環境問題は対のような関係で、日本においても高度経済成長環期には同様に悩みました。そんなベトナムでいま注目を集めているのが「米粉ストロー」。環境問題に取り組むベトナムの象徴になりつつあります。

 

米粉ストローとは?

ハノイ市内のとあるスーパーマーケットを訪れると、日本では見かけないストローが販売されています。一見、黒や緑のストローに見えますが原料は米粉。半年ほど前から、ベトナム南部のドンタップ省にある「フンハウ食品有限会社」という食品会社が作っています。徐々にハノイ市内でも見られるようになってきたこの米粉ストローは、水やお湯に浸しても1時間以上は使用可能で、食べることもできます。市内のスーパーマーケットにはプラスチック製は扱わず、このストローだけの店舗もあり、国内の環境汚染に対する意識が変わりつつあることを示唆しています。

 

そもそも、ストローになぜ米粉を使うのでしょうか? ベトナムは、1945年にフランス植民地から独立以来、現在のドイモイ政策に至るまで計画経済の柱として「農業政策」を進めてきました。特に、国内の米の生産量は多く、外務省のデータによれば、年間4242万7229トンの生産で世界第5位となっています。ベトナムでは米粉を使った食べ物が多く、日本人にも広く知られている「フォー」以外にも、「ブン(フォーに似た米粉製の麺)」や「バインガオ(米粉製のケーキ)」と呼ばれる米粉製品も存在し、米農業に重きを置いている理由がわかります。

 

また、各製品によって国内の特産地が異なる点も特徴。以前、筆者はハノイ郊外にあるバクニン省をブンの特産地として取材したことがあります。同省は米農業のなかでもブン(米粉製の麺)の生産で有名で、広大な田園もほとんどがブンのためでした。これと同じように、米粉のストローも特産物化し、世界に広げていく可能性は十分にあります。米製品の数による独自の生産体制を活かし、その地域の特産物として販売に成功すれば、今後都市での販売の立ち位置や商品価値も変わってくるでしょう。

↑バクニン省の田園風景

首都ハノイの深刻な環境問題

現在、首都ハノイの環境問題は悪化の一途を辿っています。なかでも大気汚染は深刻であり、ハノイ滞在中の日本人も喉をやられたと言った話もあるようです。バイク社会による排気ガスもこの要因の一つですが、もちろんそれだけではありません。工場や家庭から出る廃棄物やゴミ処理にも大きな問題があります。家庭規模でのゴミ問題の現状として、まず、ハノイ市内にごみの分別は存在せず、さらにゴミ収集所という場所でさえ定かではありません。

 

しかし、状況は少しずつ変わりつつあります。ハノイ市内では、米粉のストローだけではなく、鉄製や紙製、竹で作られた製品の種類も増えつつあります。相対的に見て、個人や企業単位における環境問題への関心は比較的高いと言えるでしょう。今後、政府による環境保護に関する政策や規制以上に、自発的に環境問題に取り組む企業が目立つかもしれません。

↑ハノイ市内の様子

 

米粉ストローは少しずつ地元のカフェにも広がりつつあります。ハノイ市内の有名な観光地、ホアンキエム湖周辺のカフェを調べてみると米粉ストローが使われていました。そのカラフルな色合いから、SNSへの投稿を目当てに来る若者も少なくないようです。アメリカのスターバックスが2020年までにプラスチックストローの廃止を発表したことの影響もあるでしょう。

 

自国の農産業を生かした環境汚染対策が国内で広まっているベトナム。その象徴となっている米粉ストローは、環境問題対策への機運をさらに高めることができるのでしょうか? 今後の発展に注目です。

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