宇宙に番組スタジオが開設され、宇宙からライブで配信が行われる。一昔前だったら映画やアニメの世界でしかあり得なかった、そんな夢が実現に近づいています。
現在、地球の上空を周回している国際宇宙ステーション「きぼう」の船内に「きぼう宇宙放送局」を開設することを、デジタル衛生放送のスカパーJSATとコンテンツやサービスなどを提供するバスキュール、さらに宇宙航空研究開発機構(JAXA)の3社が11月上旬に共同で発表しました。
宇宙関連の事業はこれまで国が主導する公共事業でしたが、これを民主化してオープンにしていこうという動きが少しずつ起きています。そんな“宇宙の民主化”を促進するため、スカパーJSATとバスキュールは、JAXAの協力を得て、宇宙メディア事業を立ち上げました。この宇宙メディア事業では、宇宙放送局を開設し、宇宙と地上でリアルタイムの双方向ライブ通信を行い、宇宙と地上をつないだメディアを作るという世界で初めての試みを掲げているのです(詳しくは下記のイメージをご参照)。
宇宙メディア事業は2020年から3つのフェーズに分けて、プロジェクトが進められます。まず第一フェーズとして、2020年以降に、地上400キロ上空を秒速8キロで周回する国際宇宙ステーションの日本実験棟きぼうのなかに番組スタジオ「The Space Frontier Studio KIBO(きぼう宇宙放送局)」を開設。宇宙と地上をリアルタイムにつないでコミュニケーションができる、双方向ライブ配信が開始され、国際宇宙ステーションに長期滞在している宇宙飛行士も登場することもあるそう。また、きぼう宇宙放送局から届く番組は、スカパーJSATのほかBSスカパー!、YouTube、SNSなどを通して全世界にむけて無料で放送配信される予定です。
さらに2021年頃の第二フェーズでは、ARやVRを活用したこれまでにない映像が配信となる予定で、新たな通信システム構築で超高画質のライブ放送配信を目指す第三フェーズへと進められていく予定です。
宇宙研究のためだけじゃない! 民間ビジネスの創出も
きぼうの組み立てが完了してから、ちょうど10年がたった現在。この宇宙実験棟について、JAXA理事で有人宇宙技術部門長の若田光一氏は、「研究開発だけでなく、今後は様々な目的でより多くのプレーヤーが利用できる場にするための取り組みも積極的に進めています」とコメント。この宇宙メディア事業をきっかけに、民間事業の創出も後押ししていきたいと考えているそうです。
スマホやテレビを通して宇宙からの番組配信が当たり前に見れるようになる、この壮大なるプロジェクト。きぼう宇宙放送局では専用のオフィシャルサイトも開設され、きぼうの現在地のほか、このきぼう宇宙放送局での最新情報などを確認できますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。