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2022/6/1 21:15

少しでいい。スマホに「人生の幸福」を奪われないための方法とは?

スマートフォンのおかげで、さまざまなことがとても便利になった現代。私たちはそこから多くのメリットを享受している反面、さまざまなデメリットがあることも広く知られています。最近の研究では、人生をもっと充実させて楽しむためには、スマホの利用を少し控えたほうがいいことが示されました。でも、「スマホがなかった時代」に戻る必要はありません。

↑スマホから少し離れると幸せがやってくる

 

これまでの研究では、SNSの利用を減らせば減らすほど、幸福度は上がることがわかっています。では、スマホ自体を使うことを減らすと、どんな効果が生まれるのでしょうか? ドイツのルール大学ボーフムの研究チームは、スマホの使用とそれによる心理的影響について調べるため、619人の被験者を対象にある実験を行いました。

 

実験では、被験者を無作為に次の3つのグループに分け、スマホを指示の通りに使いながら1週間を過ごしてもらいました。

 

① 1週間スマホを一切使わないグループ(200人)

② 1日の使用時間を1時間減らすグループ(226人)

③ これまでと同じようにスマホを使うグループ(193人)

 

そして、1か月後と4か月後に、運動の頻度、喫煙状況、不安やうつの兆候、生活満足度などについての質問に答えてもらい、スマホの使い方を変えることで生活にどんな変化をもたらすのか調べたのです。

 

その結果、スマホの使用時間を減らした①と②のグループはどちらも、うつ・不安の症状と喫煙量が減り、運動量と生活の満足度が向上。しかもこの効果の持続性は、完全にスマホを利用しなかった①のグループより、1日1時間だけ使用を減らした②のグループのほうが高かったのです。さらに②のグループは、4か月後でもスマホの使用時間が実験前より45分短くなり、その分運動する時間が増加。うつや不安の症状やタバコの喫煙量が減り、生活満足度が上がったことがわかりました。

 

今回の実験結果で特徴的なのは、スマホを完全に手放す必要はなく、利用を1日1時間減らすだけで生活に変化がもたらされたことにあります。スマホが生活に欠かせない存在になった現代では、スマホをまったく使わない生活だと、逆に「仕事のメールをチェックしないと」とか「SNSで取り残される」といったストレスや不安を感じる可能性があるでしょう。SNSと同様に、スマホの使用時間を意識的に減らせば、幸福度は上がりそうです。

 

【出典】Julia Brailovskaia, Jasmin Delveaux, Julia John, Vanessa Wicker, Alina Noveski, Seokyoung Kim, Holger Schillack, Jürgen Margraf: Finding the “sweet spot” of smartphone use: Reduction or abstinence to increase well-being and healthy lifestyle?! An experimental intervention study, in: Journal of Experimental Psychology: Applied, 2022, DOI: 10.1037/xap0000430