健康志向の高まりにくわえ、2020年の東京オリンピックを控えたいま、改めて見直されるウォーキングです。そして、それを傍らで支えるアイテム・万歩計。歩数を自分で把握できる古くからある便利アイテムですが、スマホなどで代用出来ると思ったら大間違い。近年、改めて万歩計が見直され、販売数をグングン伸ばしているようです。今回は、万歩計のトップメーカー・山佐時計計器・営業本部の山田譲二さんに万歩計の歴史と近年の支持の高さを聞きました。
万歩計は日本が独自に開発した商品だった!
――近年の健康志向の高まりと合わせて、万歩計の利便性も改めて見直されていますね。
山田譲二さん(以下:山田) はい。おかげさまでここ数年は特に販売が伸びています。背景には、やはり健康志向と高齢化で気軽にできる運動――歩くことが見直されたことがあると思います。
もともと万歩計を弊社が開発したのはいまから53年前、1965年のことでした。当時は、自動車社会になっていくだろうと予測された時代で、社会的に「歩け歩け運動」が起こるなど、歩くことが推奨されるようになりました。
そんななかで、弊社の創業者が医師の大矢 巌氏(のちの日本万歩クラブ創立者)から「歩数を計れる機械を作って欲しい」と依頼を受け、最初に完成させたのが万歩メーターでした。
――つまり日本独自のもので、山佐時計計器さんが最初に考えられたものだったんですね。
山田 はい。ですから他社さんから出ている歩数計も、「万歩計」と呼ばれてしまうこともありますが、この「万歩計」という呼称自体は、弊社の商標登録になっています。
一番最初の万歩メーター発売から1980年代中半までは機械のなかに振り子を組み込んで、それで歩数を計るタイプでした。これは弊社からOEMのカタチで提供し、東芝さん、日立さん、三菱さん、富士通さん、タニタさんなど、各社が歩数計を作られました。
後の1987年には初のデジタル式万歩計を発売。これによって歩数から消費カロリーが計れるシステムも搭載できるようになりました。
四足歩行の動物は、歩数を計ることができない?
――万歩計の振り子機能が様々な商品にも転じられたようですね。
山田 はい。ゴルフのスイング回数を計るもの、縄跳びの回数を計る物。あとはネクタイピンやベルトに万歩計を組み込んだものなど、様々な商品がありました。ベルト式万歩計は厚い支持をいただき、2008年まで約20年間、販売した商品です。
――あとは万歩計で歩数を計ることと、ゲームを合体させた商品もありますね。
山田 歩くことで日本地図を完成させる万歩計ですね。ほかにも、四国お遍路歩きをバーチャル体験できるような商品もあります。
あと、変わったところですと、ペット向きのものもありました。もともと弊社では、忙しい方のためにワンちゃん、ネコちゃんの餌の時間をタイマーでセットし、自動給餌出来る餌入れも開発しており、これが万歩計に次ぐヒット商品でした。
そういう経緯からワンちゃんの歩数を計るための商品も開発したのですが、四足歩行だと正確な数が計れないんですよ。
――どうしてですか?
山田 万歩計は振動によって、「本当に歩いたかどうか」をカウントするわけですが、四足歩行だと、それが不明瞭になるわけですね。ですので、これはやむを得ず運動量計測というカタチにして販売していました。