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カメラ
2017/11/1 16:15

【紅葉シーズン到来!】紅葉で「曇り」だったらどうする? 天候別・キレイな紅葉の撮り方

2017年の紅葉シーズンがやってきた。今年こそ、一眼カメラできれいな紅葉を撮ろうではないか! こちらの記事で紅葉撮影に必要な機材とカメラの設定をチェックしたら、次は最適な天候と光線状態、そして露出の選択を紹介しよう。天候や光によって、狙い方や露出の選択は変わってくる。

↑「これで万全! 風景写真家が教える、紅葉を鮮やかに撮る方法とは?-機材&カメラ設定編-」はコチラ

 

【天候&光①】晴天時は光線状態の見極めが大事

紅葉の鮮やかさを狙うなら、光の効果で輝きが増す晴天がベスト。ただし、晴天時は光線状態によって紅葉の見え方は変わるので、その見極めが大事だ。

 

太陽を背にした順光は、被写体に影が出にくく、平面的になりやすいので、あまり紅葉撮影には適さない。広い風景を狙うなら、適度な影によって立体感が出る斜光やサイド光が最適だ。サイド光では紅葉の色が艶やかになり、PLフィルターを使うと深みのある青空も表現できる。

↑サイドからの光によって、山の斜面に陰影ができている。サイド光は平面の写真で風景を立体的に描き出せるため、広い風景を撮るのに適した光だ
↑サイドからの光によって、山の斜面に陰影ができている。サイド光は平面の写真で風景を立体的に描き出せるため、広い風景を撮るのに適した光だ

 

太陽を正面にした逆光は、透過光により紅葉の鮮やかな色を引き出せ、紅葉をアップで狙うのに適している。この際、紅葉を画面いっぱいに捉えるならプラス補正、暗い背景が多ければマイナス補正が必要になる。

 

逆光時は、レンズに直接太陽光が当たることでゴーストが出やすいので要注意。フードだけでは防ぎきれないときは、厚紙などを利用してレンズに当たる不要な光をカットすることで、クリアな紅葉写真に仕上げることができる。

↑逆光を受けた紅葉の鮮やかな色を狙う。日陰の背景を選ぶことで明暗のメリハリが生まれ、紅葉が引き立ち、インパクトのある姿で捉えられた
↑逆光を受けた紅葉の鮮やかな色を狙う。日陰の背景を選ぶことで明暗のメリハリが生まれ、紅葉が引き立ち、インパクトのある姿で捉えられた

 

【天候&光②】曇天時は空をフレームアウトしよう

曇天時は、晴天時のような強い影が出ないので、紅葉本来の色を引き出しやすい。鮮やかさはないが、紅葉が持つ繊細な色あいを表現できる。

 

これを生かすには、曇り空を画面に入れないこと。白い空を入れてしまうと、その空間によって間の抜けた印象になってしまう。曇天時は広い風景として撮ることは諦めて、やわらかな光を生かして切り取りやクローズアップに徹しよう。

↑曇天の拡散光により、強い影が出ることなく、カエデの優しい質感を捉えることができた。紅葉といっても橙、緑、黄など、赤以外にもさまざまな色を持っていることが伝わってくる
↑曇天の拡散光により、強い影が出ることなく、カエデの優しい質感を捉えることができた。紅葉といっても橙、緑、黄など、赤以外にもさまざまな色を持っていることが伝わってくる

 

【天候&光③】雨天時はPLフィルターでテカリを取り除く

雨天時は、葉が雨にぬれることで紅葉の艶やかさが一段と映えるようになる。しかし、曇天時以上にテカリが強く、白っぽく写りがち。PLフィルターでテカリを取り除くことで、深みのある色を引き出そう。

 

アップめに捉えることで水滴を生かし、雨らしさを引き出すのもおすすめだ。雨天時の撮影は億劫になりがちだが、独自性を出せるチャンス。三脚に傘を取り付けるホルダーなどを活用すると、比較的快適に撮影できる。

↑雨にぬれたカエデを200ミリ相当の望遠レンズで切り取る。PLフィルターを使うことで、艶やかな赤色を捉えられた
↑雨にぬれたカエデを200ミリ相当の望遠レンズで切り取る。PLフィルターを使うことで、艶やかな赤色を捉えられた

 

【露出】紅葉の深みを出すときはマイナス補正、空が背景になるときはプラス補正をする

特に曇天時の紅葉は、露出補正なしで撮ると色が浅くなりがちだ。マイナス補正すると全体の濃度が上がり、色の深みを引き出すことができる。この際、マイナス0.3~0.7補正ぐらいを目安とするとよいだろう。

 

これは赤色の紅葉に有効な方法ではあるが、イチョウなどの黄葉ではマイナス補正で濁りが出やすくなるので不適である。黄葉の場合はプラス補正で華やかに仕上げるのがよく似合う

 

また晴天時の逆光で、背景が暗い場合もマイナス補正が必要になるシーンだ。背景が暗いと露出計が暗い被写体と判断するため、露出補正をしないと紅葉が露出オーバーになってしまう。

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↑上の写真は露出補正をしていない、「±0」の状態。下の写真はマイナス0.7補正したもの。補正なしだと紅葉の色が出ておらず、浅い橙色だ。マイナス0.7補正すると深みのある橙色に仕上げることができた
↑上の写真は露出補正をしていない、「±0」の状態。下の写真はマイナス0.7補正したもの。補正なしだと紅葉の色が出ておらず、浅い橙色だ。マイナス0.7補正すると深みのある橙色に仕上げることができる

 

天候に関わらず、空を背景に紅葉を撮影するときは、露出がアンダーになりやすいのでプラス補正が必要だ。青空を背景にしたときは補正なしで適正になることもあるが、多くの場合、プラス補正すると明るく爽やかな雰囲気を引き出せる。必要な補正量はプラス0.3~0.7補正程度なので大きな失敗をすることは少なく、RAW現像でも対応できる。

 

そして特に注意したいのが、曇り空を背景にして紅葉を見上げるように撮影するときだ。曇り空は見た目には暗いが、紅葉との明暗差は大きく、露出補正をしないと紅葉がかなりアンダーになってしまう。プラス1程度の補正ではなく、プラス2~3補正が必要になることもあるので、撮影後のモニターチェックは欠かせない。

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↑上の写真は露出補正をしていない、「±0」の状態。下の写真はプラス1.3補正したもの。曇り空を背景にしてブナの黄葉を撮影すると、補正なしではかなり暗く写ってしまった。プラス1.3補正すると明るく爽やかになった
↑上の写真は露出補正をしていない、「±0」の状態。下の写真はプラス1.3補正したもの。曇り空を背景にしてブナの黄葉を撮影すると、補正なしではかなり暗く写ってしまった。プラス1.3補正すると明るく爽やかになる

 

紅葉撮影における最適な天候&光と、露出の選択はわかっただろうか。次回は、ここまで学んできたことをトータル的に解説する実践編だ。より紅葉が映える構図や紅葉ライトアップなどの撮り方を紹介する。