蛍光マーカーと言えば、文字列の上に半透明カラー(主に蛍光色)のラインを引くことで、文字列を目立たせるための筆記具である。同じ「蛍光色のラインを引く」筆記具でも、メーカーの思想やユーザーニーズによって、製品ごとに機能はさまざまだ。「摩擦でラインが消せる」ものや「ペン先チップが半透明でラインを引く箇所が視認しやすい」もの、さらには「マーカーなのに淡色の地味なインクを搭載している」なんてものまである。
よくもまぁ次から次へとユニークな機能を考え出せるなぁ、と感心するのだが……つい先日入手した新しい蛍光マーカーも、「インクがめちゃくちゃたっぷり入ってる」というシンプルながらインパクトのある製品だった。
インク容量なんと6倍! 超盛りサイズの蛍光マーカー
正直な話をすれば、やはり蛍光マーカーの機能は「チップが柔らかく紙に密着するので線が引きやすい」などの方が、機能説明されたときに、素直に「へー!」と感心しやすい。それは間違いない。しかし、もっと正直な話、普段から蛍光マーカーを使っていて最も気になるのは、「書いているとインクがすぐになくなる」という部分だったりする。
エポックケミカル
ゴツ盛りインクの蛍光ペン
各340円(税別)
ピンク/オレンジ/イエロー 全3色展開
エポックケミカルの「ゴツ盛りインクの蛍光ペン」は、太い透明軸がそのままタンクになっており、インクが超たっぷり詰まった直液式(インクが液体の状態で軸に封入されている)のマーカーだ。「ゴツ盛り」という名前の印象から1mmもズレることのない、まさに大容量の製品である。軸を手に持って揺らすと、中のインクがジャブジャブと揺れて、重心が動くのがハッキリと感触で分かる。今までにも直液式マーカーは何本も触ってきたが、ここまでインクの揺れを感じたのは初めての体験だ。
ちなみに、インク搭載量は9.5ml。他の直液式マーカーのほとんどはインク搭載量を記載してないので、単純に液量で比較をするのは難しいが、メーカーによると「たっぷり6倍」(同社比)とのこと。筆記距離も従来製品が約80mなのに対して、ドンと桁違いの約570m。書ける距離もマーカーとしては常識外れである。これは、どれだけ書いてもインク減る感じがしない。
超たっぷりインクを贅沢に使う楽しみ
インク供給はバルブ構造。ペン先チップが乾いてきたかな? と思ったら、チップを紙に当てて1~2回グッと押し込む。すると、タンクからドバッとインクが流れて補給される仕組みだ。この吐出量がたっぷりしているため、補給後の書き出しはだいたいビシャビシャ。加減を間違えるとコピー用紙でも簡単に裏抜けするので、手帳や文庫本などの薄い紙には使いづらいかもしれない。ボールペンで書いた文字の上にラインを引くと、字がにじむこともありそうなのが心配なところ。
その代わり、使う度にチップを押し込んでやれば、線がかすれる心配はほぼ無い。紙の上で乾き気味のチップがかすれる、あの “カッスー……” という残念な感触を味わわずに済むのは、ありがたいと思う。ただし、「裏抜け・にじみ」と「筆記時のカスカス感」はどうしたってトレードオフの関係なので、そこは好みが分かれるところだろう。ちなみに、筆者はどちらかというと、多少裏抜けしようがカスカスしない方が好みだ。
使用感を左右するさりげない配慮も
ところで、一般的にマーカー類は、チップがカスカスに乾かないようキツめにキャップを閉める必要がある。そのため、開けるときに力を込めるので、勢いがつきすぎて手にインクがべったり付着する、なんてトラブルも起こりがち。「ゴツ盛りインクの蛍光ペン」なら、キャップを反時計回りに少しひねるだけで簡単に開けることができる。閉めるときには、キャップを被せるだけでパチッと勘合する。シンプルだが、これはなかなか良くできていて使いやすい構造だ。
先述の通り、蛍光マーカーを使っていて不満に感じるのは、結局のところ「書いているとインクがすぐになくなる」ことだったりする。それなら「インクがめちゃくちゃたっぷり入ってる」というのは、実はとてもユーザーフレンドリーな製品のようにも思う。力強い製品名の印象には、思わず「ウホ。オレ、インクタップリ、ツヨイ」と万能感あふれる気持ちになったりもする。実際、使ってみたらかなり強い(主に筆記距離とインク吐出量)ので、ぜひ使い勝手のよさにウホウホ言いながら使ってみて欲しい。