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2019/9/26 19:30

ワイヤレス化の勢い続く――オーディオテクニカ新製品発表会から見える市場トレンド

毎年秋に開催されるオーディオテクニカの新製品発表会は、オーディオ市場のトレンドを占う上で重要なイベントのひとつ。同社は、国内のヘッドホン・イヤホン販売台数で9年連続1位を獲得するナンバーワンメーカーなだけに、どのようなラインナップを展開してくるのか、その動向に注目が集まります。

↑オーディオテクニカは今年、ヘッドホン発売45周年を迎えました

 

今回の発表会では、全9製品(うち1つは既存製品のデザイン違いの限定モデル)が発表されました。内訳は、ヘッドホンが3モデル、イヤホンが6モデル。また、接続方式で分けると有線(ワイヤード)タイプの製品が4モデル、ワイヤレス製品は5モデルとなります。

 

発表会冒頭でデータが発表されたように、オーディオ市場におけるワイヤレス製品のシェアは年々高まっており、2018年4月~8月でワイヤレス62%:有線38%だったのに対し、2019年6月~8月ではワイヤレス74%:有線26%と、約4分の3をワイヤレス製品が占めるまでになっています(いずれも販売金額ベース/オーディオテクニカ調べ)。

 

特に注目なのは、トレンドアイテムである「完全ワイヤレスイヤホン」(True Wireless)が売り上げに占める割合の大きさです。2019年6月~8月のワイヤレス製品の販売金額における同アイテムのシェアは平均で67.5%となっており、有線タイプも含めた全体でも約50%を占めることになります。

 

これらのことから、昨今のオーディオ市場はワイヤレス製品が伸長を続けており、なかでも完全ワイヤレスイヤホンがその勢いをけん引していることがわかります。

 

ワイヤレスモデルはバラエティ豊かなラインナップを用意

オーディオテクニカは、すでに3つのブランドから完全ワイヤレスイヤホンを発売していますが、そのいずれもがおよそ2万円~3万円の価格帯に位置するミドル~ハイエンドモデル。一方で、完全ワイヤレスイヤホンのマーケットは、すでにイノベーターやアーリーアダプターだけでなく、オーディオのトレンドにそれほど敏感ではないマジョリティ層にまで広がりつつあり、より低価格でカジュアルなモデルが求められています。

 

その需要に応えるように、同社は今回、実売予想価格1万3000円前後(税抜)の完全ワイヤレスイヤホン「ATH-CK3TW」を発表しました。

↑11月15日発売予定の「ATH-CK3TW」

 

こちらは、4色のカラバリに、タッチセンサーによるシンプルな操作性が特徴のカジュアルモデル。クアルコムの「TrueWireless Stereo Plus」に対応し、対応するデバイスと組み合わせることで低遅延で通信安定性の高いワイヤレス再生が行えます。サイズもコンパクトで、女性や若い世代にもアピールするポップなデザインとなっています。

↑カラーはブラック、ブルー、レッド、ホワイトの4色を用意

 

このほか、今年の7月に発売され話題となったSOLID BASSシリーズの完全ワイヤレスイヤホン「ATH-CKS5TW」に、アーティストのbaanaiとコラボしたデザインの限定モデル「ATH-CKS5TW LTD」が登場。ストリート感のあるデザインで、ファッションにこだわりのある若い世代を中心に人気を呼びそうです。

↑「ATH-CKS5TW LTD」(実売予想価格1万8000円前後/税抜)11月15日発売予定

 

また、ワイヤレスジャンルでもうひとつのトレンドとなっている「ノイズキャンセリング」機能を備えたネックバンド式のワイヤレスイヤホン「ATH-ANC400BT」も発表されました。

↑「ATH-ANC400BT」(実売予想価格2万7000円前後/税抜)11月15日発売予定

 

こちらは“業界最高クラス”の静寂性をうたっており、「Airplane」「On the go」「Office/Study」の3つのモードを使い分けることで、それぞれの環境に応じた最適なノイズキャンセリング効果を体感することができます。ワンボタンでイヤホンを装着したまま周囲の音を聴ける「クイックヒアスルー」機能も搭載。より高音質なワイヤレス伝送が行えるaptX HDコーデックにも対応しています。

 

ほかにも、4GBのメモリを内蔵し、スマホなどのプレーヤーがなくても単体で音楽再生ができるスポーツ向けワイヤレスイヤホン「ATH-SPORT90BT」や、エントリークラスのスポーツ向けワイヤレスイヤホン「ATH-SPORT60BT」が10月11日に発売されます。

↑「ATH-SPORT90BT」(実売予想価格1万7000円前後)、「ATH-SPORT60BT」(同7000円前後)いずれも税抜

 

有線モデルはハイエンド特化へ

エントリークラスの製品からハイエンドなモデルまで、バラエティ豊かな製品を揃えたワイヤレスモデルとは対照的に、有線モデルは高級志向に特化したラインナップが用意されました。

 

注目は、世界初のドライバー機構を搭載したイヤホン「ATH-IEX1」。こちらは、9.8mm径のダイナミック型ドライバー、8.8mm径のパッシブラジエーター、超高音域用のバランスド・アーマチュア(BA)型ドライバー×2基を組み合わせたマルチドライバー構造(PAT.P)を採用していることが特徴。実売予想価格は14万円前後(税抜)と、超ハイエンドな製品となっています。

↑10月11日発売予定の「ATH-IEX1」

 

↑ATH-IEX1のドライバー構造。ダイナミック型ドライバーとパッシブラジエーターはプッシュプル方式となっています

 

↑ハウジングはフルチタニウムで重厚な雰囲気

 

この価格帯では、ソニー「IER-Z1R」(19万9880円)や「IER-M9」(12万9880円)、先日のIFAで発表されたテクニクス「EAH-TZ700」(国内販売未定/ヨーロッパでの販売価格1199ユーロ)などが相次いで登場しており、音質に強いこだわりを持ったオーディオファンを中心に人気となっています。このATH-IEX1も、そうした需要に応える超高級イヤホンとして話題を呼びそうです。

 

また、良質な木材を使用したウッドハウジングのヘッドホン3モデルも発表されました。希少性の高い黒檀(エボニー)を採用した「ATH-AWKT」と、アサダ桜を採用した「ATH-AWAS」はいずれも11月15日発売予定。

↑「ATH-AWKT」(実売予想価格20万円前後)、「ATH-AWAS」(同15万円前後)いずれも税抜

 

どちらも耳をすっぽり覆うアラウンドイヤータイプのインドア向けヘッドホン。それぞれの木材が持つ美しい木目と、ウッドハウジングならではの自然な響きが楽しめます。

↑アサダ桜を使ったATH-AWAS

 

ポータブル用の「ATH-WP900」は、ギターなどにも使われるメイプル材を採用。コンパクトなデザインで、外出先でもウッドハウジングの豊かな響きを楽しめます。

↑ATH-WP900(実売予想価格8万円前後/税抜)

 

今回のオーディオテクニカの新製品ラインナップからは、ワイヤレス製品はよりマス向けにラインナップを拡充し、有線モデルは高級路線に特化していく、という戦略が見えてきます。オーディオ業界のトップを走る同社の動きは、他社や市場の流れにも大きな影響を与えそうです。

 

↑発表会の会場には、ロックバンド「シーナ&ザ・ロケッツ」の鮎川 誠さんと、姉妹ユニット「チャラン・ポ・ランタン」のお二人が登壇

 

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