桜満開の季節がやってきました。今年のお花見は密を避け座り込まず、歩きながら桜を撮って自宅の大画面TVで撮影した桜を愛でながら家族団らん、または1人酒を楽しんでみてはいかがでしょう。
今回は写真家の小平尚典氏に、標準ズームレンズでカッコよく桜を撮る方法を教えて頂きます。桜を撮る記事では、大口径レンズのボケを生かすのがありがちな方法ですが、なるべくカメラキットの標準ズームでも撮れる方法を選びました。
五角形を意識した構図を考える
「桜の花を撮るポイントは、花の形が五角形であることを意識すること。五角形の中にある五芒星は、平安時代から陰陽道で魔除けの護符として知られていました。日本人に親しみやすい形ですね。この形が集まって桜を作っています」と小平さん。そんなに近寄らないので意識していなかったが、言われてみれば桜の花は五角形、1970年の大阪万博のシンボルマークも五角形で桜でした。
露出はMが基本になる
「カメラのセッティングですが、露出モードはM(マニュアル)がオススメです。ミラーレスは液晶ファインダーを見ながら桜の明るさを確認できるので、自分で絞りを調整しましょう。空や背景でなく花の明るさを基準すればイメージ通りの画像になります」(小平さん)
小平さんのようなプロカメラマンは普段からマニュアルモードを使われていますが、自分の判断に自信を持てない場合はどうすればいいのでしょうか。
「その場合はオートブラケティング機能を使いましょう。自分が設定した絞り値より、アンダーとオーバーのコマを自動的に撮影してくれる機能です。設定の仕方は機種によって異なるので説明書を参照してください」(小平さん)
X-E3の場合は撮影設定のAEブラケティング設定から、コマ数とステップ数、補正の順番を指定できます。小平さんの設定は3コマ、1/3ステップで撮影順番はゼロ、+、−の順でした。撮影時はドライブモードでAEブラケティングを選択します。これでシャッターを1度押せば、指定された枚数で露出の異なるカットが連写されます。
逆光で撮ろう
これで明るさに関しての問題は解決しましたね。次に気になるのはどの方向から桜を撮るかです。小平さんのオススメは逆光だそう。
「逆光で撮影するとまず嫌な影が出来ません。そして太陽光線がムラなく花に当たり、透過光の効果で花びらが明るく透けて見えます」(小平さん)
記念写真では、背景が明るく、人物が暗くなるため逆光を避けます。しかし、今回の撮影はマニュアルモードが前提で、明るさは自由に調整できるため問題ありません。逆光と言っても直接太陽が画面に入るとゴーストやフレアーが出やすいので、最初は太陽を画面に入れない構図から試してみるとよいでしょう。
曇りの日は背景を黒くする
青空が背景なら白い桜が鮮やかなコントラストで映えますが、曇り空だと白と白が被ってしまいますね。このようなときはどう撮ればいいのでしょうか。
「曇り空や背景のヌケが悪いときは、桜の白が引き立つように黒い背景を探します。露出を切りつめてアンダー気味にしてもいいですね。それが無理な時は枝を入れるだけでも黒が入って画面が引き締まります」(小平さん)
空を青くするベストの方法は?
最後に桜の背景に欠かせない、空を青くする方法について検証してみました。1番カンタンなのはカメラのピクチャーモードをビビッドなどの鮮やか系にすることです。空だけでなく桜の花の色も鮮やかになります。カメラが自動的に補正してくれるので、何もしなくていい反面、補正が効きすぎてわざとらしい発色になる恐れもあります。
露出をややアンダーにすると青空の色に深みが出ますが、やりすぎると肝心の桜の色が冴えなくなります。最後にPL(偏光)フィルターを使う方法があります。これは太陽光線の不要な反射をカットするフィルターで、青空の色を濃くする効果も期待できます。
フィルター枠を回転させて、液晶ファインダーで効果を確認しつつ最大に効いた所で撮影してみましょう。夏に使うと効果抜群なのですが、今回は春だったせいか思ったほど効果はありませんでした。今回の比較撮影では、桜の色に影響を与えない、ピクチャーモードの変更、またはPLフィルターの使用が効果的でした。
手軽な標準ズームレンズでも、光の向きや構図などにこだわれば美しい桜を撮ることができます。この週末は、密にならないように桜の撮り歩きなどしてみてはいかがでしょうか。
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