ソニーが発表した「LinkBuds(リンクバッズ)」はドーナツ型の本体を耳に装着して、音楽などを再生しながら周囲の音も同時に聴ける“ながら聴き”に最適化した、新しいリスニングスタイルを提案するワイヤレスイヤホンです。
今回は、発売前に筆者が体験したLinkBudsの便利な使い方、注目の機能をレポートします。
ドーナツ型の形状が斬新な完全ワイヤレス
LinkBuds(型番:WF-L900)は見た目にも一風変わったガジェットですが、同じソニーが発売している人気のイヤホン「WF-1000XM4」や「WF-XB700」のような左右独立型のBluetooth対応ワイヤレスイヤホンです。音楽再生や動画の音声を楽しめるほか、マイクも内蔵しているのでハンズフリー通話にも使えます。
WF-1000XM4と機能面で大きく違うところは、LinkBudsにはリスニング環境周辺の雑音を消すためのノイズキャンセリング機能がありません。またシリコンや低反発フォーム素材のイヤーピースを使わずに、耳に直接本体を挿入するLinkBudsの装着スタイルがとても個性的です。
ソニーストアの販売価格は税込2万3100円。同価格帯の完全ワイヤレスイヤホンには、税込2万3800円で販売されているアップルの第3世代のAirPodsなどがあります。
スマホアプリ連携で様々な機能が使える
LinkBudsはiPhoneやAndroidスマホ、タブレット、ソニーのウォークマンのようなBluetooth対応のオーディオプレーヤーにワイヤレスで接続して使用します。ソニーの「Headphones Connect」アプリがあればLinkBudsの特徴を引き出す様々な機能も一緒に楽しめます。
Bluetoothのオーディオコーデックは標準的なSBCとAACをサポートします。ソニー独自の高音質化技術であるDSEEにより、SpotifyやAmazon Musicなどストリーミングサービスが高音質で楽しめます。DSEEはアプリからオン/オフを切り換えられますが、基本的には常時オンで問題ないでしょう。
筆者は最初にLinkBudsの実物を見た時に、とても小さくて軽いその姿に驚きました。常時耳に装着したまま“ながら聴き”が楽しめるように、サイズをコンパクトにして装着感を高めることにソニーの開発者は注力してきたそうです。イヤホンが耳から飛び出て見えない装着スタイルも好感触です。
イヤーピースを使わないのに、耳から落ちないのか心配になるかもしれません。LinkBudsには、本体を外耳のカベに密着させるためのシリコン製の「フィッティングサポーター」が備わっています。着脱可能なサポーターはXS/S/M/L/XLの5種類のサイズを選んでフィットを調整可能。ただ、フィッティングサポーターにより調整できる幅があるとはいえ、やはり購入を決める前には試着した方が安心だと思います。
ヘッドトラッキング機能を活かしたARとの親和性にも注目
LinkBudsの本体にはボタンがありません。丸いドーム型の本体側にタッチセンサー式のリモコンを内蔵しています。Headphones Connectアプリから音量コントロールや音声アシスタントの呼び出しなど、左右のイヤホンにそれぞれの操作を割り当てることができます。
Headphones Connectアプリから、イヤホンと充電ケースのバッテリー残量を確認したり、イコライザーを選んで好みのサウンドにカスタマイズもできます。360 Reality Audioの音源をより気持ちよく聴くために、立体音響の最適化設定にもLinkBudsは対応しています。
立体音響に関わる機能として、LinkBudsにはイヤホンに内蔵するセンサーでユーザーの頭の向きを検知する「ヘッドトラッキング機能」もあります。
ヘッドトラッキング機能はソニーが開発した、現実世界と音をリンクさせて楽しむ「音のAR」エンターテインメントアプリ「Locatone(ロケトーン)」と連動します。例えばあるオブジェクトから聞こえてくる音が、顔の向きを変えてもその方向から聞こえてくるようなリスニング体験が没入感をいっそう深めます。筆者はまだ試せていませんが、現在好評につき期間を延長して開催されている「YOASOBI SOUND WALK」が、LinkBudsとLocatoneによる音のARを体験できる良い機会になりそうです。
ソニーは今後、ナイアンテックのゲーム「イングレス」や、マイクロソフトの3Dオーディオマップアプリ「Soundscape」などパートナーのサービスとも連携しながら、LinkBudsのヘッドトラッキング機能を楽しむ環境を増やしていくそうです。