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2018/4/27 13:30

『凪のお暇』――主人公の人生のリセットが、「普通」に疲れた女性たちの共感を呼ぶ

リセット疑似体験

凪子の潔いところは家具一切を捨て、身一つで暮らし始めるところだ。彼氏も友人も切り、ある意味究極の断捨離を実行してしまったところは、うらやましくさえある。そして何もないからこそ、スーパーで分けてもらったエノキや、上の階にすむ年配女性からもらったパン耳スイーツがまるで宝物のように輝いて見える。こんな風に一旦ゼロになりリセットすることは、普通の女性にはまずできない。だからこそマンガでリスタートを擬似体験する新鮮さがウケているのだろう。

 

先日、ハリの先生がダイエットしたいのなら、一旦24時間断食して胃をリセットすると早いと言っていた。そして余計なものが入っていないまっさらな胃袋に、まずは野菜スープ、次は豆腐、などと少しずつ食材を足していくと、断食しなかった人よりも効率的に痩せられるのだとか。凪子もこれと同じで、一旦部屋をからっぽにして、吟味し、少しずつ部屋に入れていくことで本当に必要なものはなんなのかがはっきり見えてくるのだろう。そのミニマリストぶりは、うらやましくなるほどに潔い。

 

 

スレスレのファンタジー

もちろんこれは女性向けマンガなので、モテというファンタジー要素がある。だからこのような状況に陥ってもなお凪子には男性が近づいてくる。元彼が追いかけてきたり、隣に音楽やってるイケメンが住んでいたりしてそれなりにリア充だし、絶望的なほどの日照りには見舞われていない。これもまた“もし私が何もかも捨てたら、どんな男性と出会えるのだろう?”と思い描きながら楽しく読み進められる一要素だ。そして多くの女性はこのマンガでこうした妄想をしてウサを晴らし、また理不尽な日常に戻っていくのだろう。

 

おそらくこのマンガはドラマ化され、多部未華子さんあたりがヒロインを演じられるのではないだろうか。ちなみに私の妄想の中では追いかけてくるイケメンの彼は坂口健太郎さんで、隣に住む音楽やってる彼は桐谷健太さんだ。脳内キャスティングできるくらい熱くなれるマンガは『東京タラレバ娘』以来(そういえばこれもプチドロップアウトコミック)なので、ドラマ化を心から願っているこのごろだ。

 

【書籍紹介】

凪のお暇

著者:コナリミサト
発行:秋田書店

場の空気を読みすぎて、他人にあわせて無理した結果、過呼吸で倒れた大島凪、28歳。仕事もやめて引っ越して、彼氏からも逃げ出したけど…。元手100万、人生リセットコメディ!!

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