本・書籍
2023/3/15 21:30

知っていると旅がさらに楽しくなる”道”にまつわるトリビア満載!『日本の道・道路がわかる雑学』

関東では今、梅の花が満開だ。そしてまもなく桜も咲き始める。日本がもっとも美しいこれからの季節、国内旅行を計画している方が多いだろう。そんな今、読んでおきたい一冊を紹介しよう。『日本の道・道路がわかる雑学』(浅井建爾・著/三笠書房・刊)は日本各地の道にまつわる、知っているようで知らなかった歴史や裏話を集めた雑学本だ。道はどのようにして生まれ、どう発展してきたのかがとてもよくかわる。

 

どの道にもドラマとストーリーが隠されている

まずは章立てから見ていこう。

 

1章 江戸時代より前、東海道は山陽道より格下だった!?
━道から歴史を読み解く!「古道・街道・幻の道」

2章 道路標識の「東京まで50km」、東京のどこまでの距離のこと?
━「現代道路」の知られざるトリビア

3章 国道にも欠番がある! その驚きの理由とは!?
━マニアもびっくり!「国道・高速道路」は謎だらけ

4章 これは目の錯覚? 高層ビルの中を貫通する道路!?
━一度は見ておきたい、日本全国の「絶景道、珍道路」

5章 「レンコン町」と称される、トンネルだらけの町がある!?
━世界一も目白押し!「橋とトンネル」おもしろ雑学

 

一項目2~3ページのネタが全部で84あり、すき間時間にさっと読めるのがいい。最初から読み進めなくても、目次を見て気になるページから開いていけばいいだろう。

 

徳川家康による「五街道」整備

では、数あるネタの中から、各章ひとつずつ抜粋してみよう。

 

まずは1章から。今年はNHKの大河ドラマ『どうする家康』の影響で、徳川家康に関心を寄せている人が多い。本書にも家康にまつわるネタがある。家康は江戸幕府を開くよりも早く五街道整備に着手していたそうだ。織田信長は道路の大改修を行い、その後を引き継いだ豊臣秀吉も道路整備に功績を残した。が、広域にわたって本格的な道路整備に着手したのは徳川家康だ。

 

秀吉によって関八州への国替えを命じられた家康は、江戸の街づくりと並行して江戸に通じる街道と宿場の整備に着手した。それが、東海道、中山道、日光街道(日光道中)、奥州街道(奥州道中)、甲州街道(甲州道中)からなる五街道である。

(『日本の道・道路がわかる雑学』から引用)

 

東海道や中山道は1590年前半からルート設計や宿場町の整備が始まり、東海道は1601年に、中山道はその翌年に宿駅伝馬制が敷かれた。朱印状により、各宿場に伝馬(公用に使わせた馬)の常備を義務付けたのだ。日光街道、奥州街道、甲州街道についても江戸幕府が開かれる前の1602年には整備が開設されていたそうだ。ちなみに、徳川幕府が300年近くも続いたのは、参勤交代の制度があったからで、それが宿場や街道筋を発展させ大きな経済効果をもたらしたのだ。そして五街道は庶民の寺社巡りや温泉旅行にも利用され、街道筋はますます栄えることとなった。

 

国道には欠番がある

現在、日本国内には国道は1号線から507号線まである。しかし、実際には459の路線しかないそうだ。欠番ができた最大の原因は1965年の改正道路法により、一級国道と二級国道が一般国道として統合されたこと。さらには市町村の合併のように国道においても統廃合が行われ、これによっても欠番が出ることになったという。

 

1965年の改正道路法で一級・二級が廃止されてからの新たな国道指定は、3桁の続きから番号を振ることした。こうして、残りの2桁番号は欠番となったのである。ただし、その後の1972年、沖縄本土復帰に伴い、特例的に58号線が指定された。(中略)まとめると、59~100号までの42路線、109~111号、214~216号の各3路線を合わせた48路線が欠番となっている。

(『日本の道・道路がわかる雑学』から引用)

 

太平洋と日本海を桜でつないだ人物とは?

3月後半から4月にかけ、日本各地で桜が見ごろとなる。美しい桜並木はそこかしこにあるが、ここでは1人の情熱が生んだ「さくら道」を紹介しよう。その人は、岐阜県出身のバスの車掌、佐藤良二さん。彼は太平洋と日本海を桜でつなぐという壮大な夢を抱いた。

 

名古屋と金沢を結ぶ長距離バス路線の名金線に乗務していた頃、この道を桜の木でつなぐことを思い立ち、1966年(昭和41年)から12年間かけて、たった1人でコツコツと約2000本の桜の苗木を植えていった。

(『日本の道・道路がわかる雑学』から引用)

 

しかし、佐藤さんは志半ばにして病に倒れ、47歳の若さでこの世を去った。それでも、彼が植えた苗木は育ち、毎年春になると見事な花を咲かせるようになった。彼の意思は地元の有志たちによって引き継がれ、今も桜の苗木が植え続けられているそうだ。この話は『さくら道』という本になり、映像化もされ、さらには教科書にも採り上げられた。

 

トンネルだらけのレンコン町はどこ?

トンネルの最も多い都道府県はどこかご存じだろうか? 広大な北海道、あるいは山岳地帯の長野県あたりを思い浮かべる人が多そうだが、実は以外にも1位は大分県だ。トンネル数ランキングトップ5は以下の通り。

 

1位 大分県 557本
2位 北海道 489本
3位 千葉県 461本
4位 高知県 413本
5位 広島県 385本

 

大分県には「レンコン町」とも称される竹田市がある。ここは周囲を山に囲まれた盆地に開けた城下町で、どこへ行くのにもトンネルを潜り抜けなければならないため、その異名があるそうだ。

 

ちなみに、上記のランキングはトンネルの数で、長さではない。長さは北海道が36万7670m、大分県が16万2098m、3位の千葉県は数は多いものの総延長は6万3366mしかなく、ほかの上位の県と比べて非常に短いのだ。

 

この他にも、あの道、この道の話が満載の本書、随所に地図や写真もあり、とてもわかりやすい構成になっている。行き先に合わせた旅行ガイド本とは別のもう一冊としておすすめしたい。

 

【書籍紹介】

日本の道・道路がわかる雑学

著者:浅井建爾
発行:三笠書房

道をたどれば、歴史と文化が見えてくる!写真・地図つきで、奥深い世界を楽しめる本!旅行や外出がもっと楽しみになるネタ満載!誰かに話したくなるスポットから、歴史の裏話まで、ワクワクがとまらない!

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