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ラーメン
2018/12/1 21:45

創業20年の老舗ラーメン「らーめん天神下 大喜」——和食出身の大ベテランによる絶妙な味わい

サニーデイ・サービス 田中 貴のラーメン狂走曲 らーめん天神下 大喜[仲御徒町]

 

2000年代前半のラーメンブームの絶頂期には、数百メートルの行列が出来たという大喜。そんな日本有数の名店が、昨年、道路拡張のため移転。駅からは若干遠くなったが、人気は変わらず、マニアからも絶大な支持を受けている。

 

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田中 貴

3月に発売したアルバム「the CITY」を18組のアーティストが解体/再構築したプロジェクト「the SEA」。本プロジェクトの曲をまとめたアルバムを8月8日より配信、29日にアナログ盤で発売している。

 

和食を20年、ラーメンを20年。大ベテランが作る一杯とは

中華、和食、イタリアン、フレンチなど、ほかの飲食業からラーメン業界に移る人は多い。ラーメンには、スープ、麺ともに、とてつもない数のバリエーションがあり、それだけを長年研究し続けている人が作るラーメンは魅力的だ。その一方で、ラーメン以外の料理の経験者は、ラーメンには普段使わない素材や技法を使うなど、生粋のラーメン職人にはできない独創的なラーメンを作り上げる。

↑麺、スープ、具材、夜の一品料理まで、すべて武川店主の手作り。常連客は、店主とのちょっとした会話も楽しみに店を訪れる

 

ここ「らーめん天神下 大喜」の武川数勇店主は和食出身。それも、20年に渡り日本料理店にいらしたというのだから、「和食経験者」なんて紹介は失礼にあたるほどの大ベテランだ。和食出身の人が作るラーメンといえば、こんぶやかつお節などの「出汁を引く」技法を使った美しく澄んだスープに、鯛など和のテイストをプラスした上品なものがイメージされる。しかし、大喜の人気メニュー「とりそば」は、器と盛り付けにこそ和のセンスを感じるが、見た目と裏腹などっしりとした鶏の旨味が満載で、これぞラーメンという醍醐味にあふれている。物事を突き詰めた職人は、そのスキルをわかりやすく出すことはしないのだろう。豊富な経験と技術に基づきながらも、武川さんの思い描く“ラーメン”を作り上げているのだ。

 

種類豊富な大喜のメニュー……迷ったときはこれしかない!

大喜は来年で創業20周年を迎え、武川さんにとって独学で一から始めたラーメンにおいても、大ベテランの域に入っている。ベーシックな塩の「とりそば」と「醤油らーめん」が年々研ぎ澄まされていくのに対し、大喜のもうひとつの名物である限定メニューでは、常に斬新なラーメンにチャレンジし続けている。

↑とりそば(細麺・850円)塩・細麺。詰め込み過ぎず、でもシンプル過ぎない、完成された一杯。鶏チャーシューと鶏そぼろの絶妙な味付けは、和食の経験があってこそ。しなやかな自家製麺も素晴らしい仕上がり

 

「納豆らーめん」や、濃厚鶏白湯の「純とりそば」など、定番化されているものもあり、 数あるメニューから何を食べるか毎回悩まされる。さらに夜は、武川さんのセンスが光る一品料理に合わせてお酒がいただける、「飲めるラーメン屋」となるため混乱の極み。スタンダードを素直に楽しむか、いまだけの一杯か。「メニューにないけど、納豆の冷やしもできるよ」と武川さんからさらに困らせる言葉が。こうなったら、解決策はひとつ。2杯いただくのだ。これで、大満腹、大満足、大喜びなのである。

 

<これも味わいたい!>

↑納豆らーめん(太麺or細麺・900円)。麺の太さを選べるが、僕は太麺をチョイス。納豆のネバネバとツブツブが絡んだビロビロの縮れ麺を一気にズルズルすする快感ったらもう

 

<この一杯からはこんな音色が聴こえてきた!>

LOUIS JORDAN「IT’S A GREAT GREAT PLEASURE」

ロックンロールの誕生に多大な影響を与えた斬新さを持ちながら、上品さとユーモアも感じさせるルイ・ジョーダン。聴く者にまさに大きな喜びを与えてくれる。

 

【店舗情報】

らーめん天神下 大喜

住所:東京都台東区台東2-4-4
営業時間:[月~金]11:00〜15:00、17:30〜22:00[土]11:00〜15:30、17:30〜21:00[祝]11:00〜16:30
定休日:日曜日

 

取材・文/田中 貴 撮影/黒飛光樹(TK.c)