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2018/9/27 11:00

この夏の猛暑でビールの売上が大幅増! 好調のワケをキリンビールに聞いた

猛暑が続いた今年の夏。日中にちょっと出歩いただけでも大量に汗をかいてしまうので、熱中症対策に水分をこまめに補給するよう心がけていた方も多いでしょう。そして、暑い夏に飲みたくなるものといえば、やっぱりビール! これだけ暑いと、さぞビールの売れ行きもよかったのでは……? ということで、この夏のビールの売れ行きについてメーカーにお話しを伺いました。

 

今回お話しを伺ったのは、キリンビールのマーケティング本部 ビール類カテゴリー戦略担当の原 英嗣さん。新ジャンル(第三のビール)のブランドである「のどごし〈生〉」を担当されています。

↑キリンビールのマーケティング本部 ビール類カテゴリー戦略担当 新ジャンルチームでブランドリーダーを務める原 英嗣さん

 

――この夏のビールの売上はいかがだったのでしょうか?

原さん(以下、敬称略):ビール市場は13年連続で減少が続いていたのですが、キリンビールではこの6-8月は112%の増加となりました。メインブランドである「一番搾り」が好調なほか、今年の春から立ち上がった新ジャンルの「本麒麟」も予想を超える売れ行きになり、6月は前年比111%、7月は115%の伸びとなっています。わたしの担当する「のどごし〈生〉」も5月にリニューアルを行い、おかげさまで好調に推移しています。

 

――やはりこの暑さでビール需要が伸びた格好ですね。大ヒットとなった「本麒麟」も「のどごし〈生〉」もいわゆる新ジャンルの商品ですが、こちらはどのような違いがあるのでしょうか?

原:「本麒麟」はビールに近い味を追求し“力強いうまさとコク”を訴求しているのに対し、「のどごし〈生〉」は“ゴクゴク飲める爽快なうまさとキレのよさ”が特徴となっています。

 

――「のどごし〈生〉」は5月のリニューアル以降好調ということですが、どのように変わられたのでしょうか?

原:「のどごし〈生〉」は2005年に誕生したブランドですが、2011年をピークに近年は前年割れが続いていました。立ち上がりからこれまで10回以上のリニューアルを図ってきましたが、今回はユーザーの嗜好を徹底的にリサーチし、ユーザーが求めるものを前面に打ち出す方針に思い切って舵を切りました。

 

原:「のどごし〈生〉」の強みは、“生ビールのおいしさを追求した味わい”、“ゴクゴク飲める爽快なうまさ”、“サッと消える後口のキレのよさ”ですが、今回のリニューアルにあたって試醸を繰り返し、のどごし〈生〉史上、最高のキレ味を実現しました。イメージキャラクターに俳優の桐谷健太さんを起用した新CMでは、スッキリしたキレ味をストレートに伝えるような内容になっています。

 

また、新しくなったことをパッケージでもアピールすべく、「新」という文字を目立たせたデザインを採用しています。これは結構なチャレンジでして、社内でも賛否ありました。この新デザインでは麒麟の意匠も従来より大きくなっているんですよ。

↑「新!」の文字を強調した斬新なデザイン

 

――「新」という字が大きくて斬新ですね。ところで、最近は特に20~30代の若い世代を中心にビール離れが起きていると言われていますが、そういった層にはどのようなアプローチをされているのでしょうか?

原:40~50代に比べ、20~30代といった若い世代ではビールよりもチューハイが好まれる傾向はありますが、最近ではクラフトビールのような個性のあるビールを料理に合わせてペアリングを楽しむ、といった提案もしています。その一方で、「のどごし〈生〉」は、気軽に飲んで頂けるデイリービールとして訴求しています。

↑クラフトビールの「スプリングバレーブルワリー」シリーズ

 

――確かに平日の晩酌ではお手ごろな新ジャンルや発泡酒を、ゆっくり飲める週末にはクラフトビールを、というように飲み分けているといった話しをよく耳にします。そういえばアルコール飲料では高アルコールがトレンドになっていますが、「のどごし〈生〉」がアルコール度数を高めるといったことはありえるのでしょうか?

原:のどごしブランドではアルコール度数7%の「のどごし STRONG」をラインナップしていますので、高アルコール需要にはそちらで対応したいと考えております。ほかにも、糖質ゼロ・人口甘味料ゼロ・プリン体ゼロの「のどごし ZERO」という商品もあり、幅広いニーズに応えられるようにしています。

 

 

――のどごしブランドもどんどん拡大しているんですね。次はどのような商品が出てくるのか楽しみです。本日はありがとうございました。

 

この夏、大きく売り上げを伸ばしたビール市場ですが、好調の理由は“暑さ”だけでなく、変化するニーズに合わせた商品開発やシーン提案にもあるようです。いつも「何となく」ビールを選んでいる方は、料理や気分に合わせて商品を選んでみてはいかがでしょうか?

 

撮影/我妻慶一