秘訣は「氷温熟成」
さて、ここからが本題です。今回の新製品「トアルコ トラジャ KEY Post-Harvest Processing」は、使っているコーヒー自体は、もともとのトアルコ トラジャと同じ果実です。その価値を大きく引き上げているのは、加工技術にヒミツがあります。
キーコーヒーが着目したのは、コーヒーの赤い果肉。この果肉は腐りやすく、これまでのコーヒー生産の方法では、真っ先に捨てられてしまうというのが常識でした。
今回、キーコーヒーは特殊な手法を用いてコーヒーの果実を腐らせずに熟成することに成功。その手法が「KEY Post-Harvest Processing」と呼ばれるものです。
雪下にんじんをご存じでしょうか? にんじんを雪の下に埋めて冬を越すことで、フルーツのような甘みが引き出す製法です。
「氷温熟成」は、雪下にんじんの仕組みを利用した加工技術です。水は摂氏0度で凍りますが、野菜や果物は0度をわずかに下回る温度までは凍りません。その差にあたる温度「氷温域」で保管しておくと、食材の熟成が進み、甘みやコクが出るとされています。すでにリンゴやキウイような果物では氷温熟成を用いて味を向上させた商品が登場しており、キーコーヒーでも、「生豆」を氷温熟成させた「氷温熟成コーヒー」を販売しています。
「KEY Post-Harvest Processing」では、この氷温熟成の技術をコーヒーの“果実”に応用。同社の運営する農園で収穫後、氷温庫で一定期間保存することで、果実を腐らせずに熟成させる技術を開発しました。
氷温熟成を経たコーヒーの果実からは、甘みやコクが増した独特の味わいのコーヒーが完成。成分分析の結果、香りの要因となる「香気成分」が増していることが確認されたそうです。
では、その味わいはどのようなものなのでしょうか。次のページでは試飲した印象をレポートします。