各都道府県の日本酒を蔵元のコメント付きで紹介するコーナー。今回は、冷涼な気候、良質な酒米、豊富な雪解け水と、好条件が揃った秋田県をご紹介します。
秋田県は、杜氏集団、山内杜氏を擁し、鉱山労働者からの需要により、酒造業が盛んになった地。近年は若手の台頭で味は多様化しています。2010年には、新政、一白水成、白瀑、春霞など5つの若手蔵元が技術交流などを目的に有志団体「NEXT5」を結成。共同醸造を行うなど新たな活動を行い、注目を集めています。
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その1
若きスターが世に問うsuperior(=上質)な1本
新政酒造[秋田市]
新政(あらまさ)
No.6 S-type(なんばーしっくす えすたいぷ)
1700円(720㎖)
近代醸造の礎となった協会6号酵母発祥の蔵元が醸す酒。現社長の佐藤祐輔氏は、東大文学部を卒業後、ジャーナリストを経て家業を継いだ人物で、添加物を廃し、全量を伝統的な生酛造りに切り替えるなどの改革を断行。個性的な製品を次々と発表し、若きスターとして注目を集めています。本作は徹底した吟醸造り、氷温管理、氷温流通による通年完全生酒。S-typeのSは superior のSで、蔵元がシャープなキレと味わいの豊穣さをイメージして醸しました。フレッシュで上品な香りを持ち、米の旨みも十分。爽やかなのどごしと確かな余韻も魅力です。
【蔵元が語る地元との関わり】
原料米のすべてが県産で自蔵がルーツの酵母のみ使用
原料米のすべてが県産。その8割が契約栽培で、良質な米を得るため徹底的な栽培指導を行っています。酵母は自蔵で発見された協会6号酵母のみの使用です。
【地元に来たらこの料理と合わせて!】
◉ 比内地鶏の塩焼き
◉ 山菜のてんぷら
◉ じゅんさい
その2
ほどよい旨みが広がるバランスの良い味わい
福禄寿酒造[南秋田郡五城目町]
一白水成(いっぱくすいせい)
特別純米 良心 (りょうしん)
2484円(1.8ℓ)
元禄元年(1688年)創業の蔵元で、銘柄名は「白い米と水から成る一番旨い酒を」との思いに由来。「地の米・地の水・地の人」をテーマとし、酒米は地元農家10名と共同で発足した「秋田県五城目町酒米研究会」との契約栽培によって、4種の酒米を生産しています。本品は、ほどよい旨みが口の中に広がるバランスの良い味わい。フレッシュでフルーティな風味も堪能でき、キレ味も良し。2500円台の価格も酒銘と同様、良心的です。
【蔵元が語る地元との関わり】
酒米や前掛けの製作を通して五城目町の発信に努める
「秋田県五城目町酒米研究会」に酒米の生産を依頼するほか、地元に工場があるジーンズメーカー「EDWIN」と共同で前掛けも製作。Made in Gojomeの発信に努めています。
【地元に来たらこの料理と合わせて!】
◉ だまこ鍋(つぶしたご飯を丸めた「だまこもち」を入れた鍋)
◉ 比内地鶏の炭火焼き
◉ キイチゴのシャーベット
その3
フルーツをかじったようなジューシーな酸味
山本[山本郡八峰町]
白瀑(しらたき)
純米吟醸
3200円(1.8ℓ)
白神山地に湧き出る天然水を全工程で使用する全量純米蔵。2007年に杜氏制を廃止し、蔵元自らが製造責任者となって醸しています。本品は、柑橘系のフルーツをかじったようなジューシーな酸味と、キレ味が魅力の1本。
【蔵元が語る地元との関わり】
酒米は自社生産のほか県内の若手と契約栽培
白神山地の湧水を仕込み水に利用するほか、その仕込み水が流れ込む棚田で酒米を自社生産。酒米は、秋田県内の30~40代の若手専業農家との契約栽培も行っています。
【地元に来たらこの料理と合わせて!】
◉ きりたんぽ鍋
◉ じゅんさいの酢の物
◉ タラの白子
その4
さわやかな香りと米本来の旨みを堪能
栗林酒造店[仙北郡美郷町]
春霞(はるかすみ)
純米 赤ラベル
2484円(1.8ℓ)
仙北平野産の上質な米を使い、名水百選の水を用いて丁寧に醸す蔵。本作はさわやかな香りが鼻孔をくすぐり、口に含めば米の旨みが淡く広がります。つまみを選ばない食中酒タイプで、特に野菜の煮物との相性はぴったりです。
【蔵元が語る地元との関わり】
名水百選の水を使い美郷錦の生産に注力
蔵のある美郷町は名水百選の地で、水の良さが酒の味に大きな影響を与えています。また、秋田生まれの酒米、美郷錦の生産に注力し、美郷町などで契約栽培を行っています。
【地元に来たらこの料理と合わせて!】
◉ いもの子汁
◉ きゅうりやなす、大根、カブなどの季節の野菜の漬物
その5
やわらかな飲み口でどんな料理にも合う!
日の丸醸造[横手市]
まんさくの花
特別純米酒 うまからまんさく
2808円(1800㎖)
低温瓶貯蔵にこだわり、県内最大級の冷蔵庫を持つ蔵。本作は漫画「いっぽん!! 〜 しあわせの日本酒〜」で“どんな料理にも合う”と紹介され、一時在庫切れを起こした品です。適度な旨みがのったやわらかな飲み口が魅力で、まさに「うまから」の表現がぴったり。燗にしてもバツグンです。
【蔵元が語る地元との関わり】
地元農家とチームを組み多くの酒米を地元で生産
蔵人自らが酒米を栽培するほか、地元農家と酒米研究会のチームを組み、多くの酒米を地元で生産しています。亀の尾や星あかりなどの希少な酒米も栽培しています。
【地元に来たらこの料理と合わせて!】
◉ いぶりがっこ
◉ きりたんぽ
◉ 稲庭うどん