朝の味噌汁の効能
ーー先ほど、「毎朝味噌汁を飲んでいる」とおっしゃいましたけど、日本人の間では古くから「朝、味噌汁を飲むと元気が出る」という言い伝えがあります。この根拠はどんなことですか?
エドワード やっぱり腸内環境が整うからじゃないですか? さっきも言った「発酵」の効果の一つが腸内環境が整うことなんですけど、味噌は特に効果があると思います。現に僕は毎朝飲んで健康だから。これに加えて、味噌汁で多くの食材を採れれば良いと思います。MISOJYUでは、朝ごはんセットというものを午前8時30分から午前10時まで出していて、これもすごく人気があります。やっぱり「朝食に味噌汁をいただく」というのは日本人はもちろんだけど、人間にとって理にかなっていると思います。
角煮、トマト、しめじ……手間をかけた斬新味噌汁を紹介
ーーそれではいくつか試食させていただきます。まず、「ごろごろ野菜と角煮のすんごいとん汁」。豚汁の豪華版のような位置づけですかね。
エドワード まぁ豚汁と言えなくもないけど、これはかなり手間暇をかけたもので、味噌汁に角煮を乗せたものです。角煮はフランスの赤ワインと、中国の角煮のフレーバーを合わせて、3時間くらいかけて煮込んでます。「味噌汁にそんなに時間をかけていいの?」っていうくらい贅沢に作った味噌汁です。
ーーそして特に気になっていた「まるごとトマトとほろほろ牛スネのみそポトフ」。
エドワード トマトってフランス料理、中国料理でよく使われるイメージがあるけど、味噌汁に使っても美味しいです。これに加え、柔らかくなるまで別鍋で煮込んだ牛のスネ肉を入れた味噌汁ポトフです。
ーーそして、特に今の季節は美味しいきのこを使ったお味噌汁。「森のいろいろきのこのおみそ汁」。
エドワード これは一見普通ですけど、様々なきのこを使いながら、大ぶりの丹波の大黒本しめじを一度焼いて乗せています。これも結構手間とコストがかかっています(笑)。
日本が誇る発酵食品「味噌」を世界に知らしめたい
ーーごちそうさまでした! どのメニューも美味しく、料理の主食としても十分すぎるほどです。エドワードさんがおっしゃる通り、「味噌汁って確かになんでもアリだな」と思いましたが、失敗したメニューはなかったのでしょうか?
エドワード 創る前に自分の中で味の想像がつくので、すごく失敗だったという味噌汁はないですけど、ただメニューに採用できなかったものはもちろんあります。それはですね、原価がものすごく高くなる料理(笑)。カニは本当に良いお出汁が出るし、本当はガンガン使いたいんですけど、コストがかかりすぎてダメです。
それと、昆布にしてもこだわればこだわるほど良いものが手に入りますけど、そうなると原価に見合わなくなります。MISOJYUの味噌汁は、すごく新しいモノばかりのように感じるかもしれないですが、僕の中であまり失敗したというものはないですね。
ーー今後、このMISOJYUをどんな風に広めていきたいですか?
エドワード 海外でお店をやりたいですね。お店を浅草に出した理由は「日本の味噌汁」を外国人観光客に食べていただいて、世界中に広めたいという思いが強かったからです。ただ、今年は新型コロナウイルスで外国人観光客が来ていないでしょ。
だったら海外で、味噌汁専門店を出すほうが良いのかなと思ったりして(笑)。今は営業時間も短くせざるを得ないし、なかなか難しいんですけどね。あとはMISOJYUの営業時間外に、別のスタッフを連れてきて味噌ラーメン屋をやってみようとかも考えています。
ーー外国人の方にも「味噌」は受け入れられますかね?
エドワード 受け入れられると思います。新型コロナウイルスの前に外国人の方に食べてもらったんですけど、反応が良かったのは台湾人、中国人、それから北欧の人。特に北欧の人の反応はすごく良かったですよ。北欧に「味噌」はないけど、発酵食品は結構あるので、それで馴染んだみたいですけどね。
最初にも言いましたが、日本が誇る発酵食品「味噌」は、もっと世界に知られるべきだし、絶対に受けると思っています。それを目指してこれからも味噌汁で色々な挑戦をしてきたいですね。
涼しくなっていくことに加え、美味しい食材が多くなる季節です。MISOJYUの斬新な味噌汁で体を温めるもヨシ、来店が難しければMISOJYUの試みを参考に様々な食材を使い自分だけの味噌汁を作って楽しむのもヨシですよ!
■MISOJYU
住所:東京都台東区浅草1-7-5
TEL:03-5830-3101
※現在の営業時間は不規則なため、来店の際はあらかじめ確認ください
撮影/我妻慶一
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