GetNavi11月号で行われた、日本のキムチ4種類を韓国人に評価してもらうテストマーケティング。意外にも結果は、本場風味の「王道キムチ」や「韓キムチ」より日本人に向けた旨味にこだわった「こくうまキムチ」がおいしいという結果に。決め手になったのは味の濃さ、辛さ、酸味、熟成感などでしたが、そこで不思議なのは“なぜ多くの韓国料理は辛いのか?”ということ。今回はユン・ミレさんにそのワケを聞いてみました。
韓国人が日本の焼肉に物申す! 「なんでキムチが有料なの?」「タレやレモンで焼肉は食べないよ」
ユン・ミレ さん
キンポ出身。サムギョプサル(厚切り豚バラの焼肉)が好物
辛さが好きな理由は寒さと肉食文化にあり?
キムチ、トッポキ、スンドゥブ、クッパなどなど、日本でおなじみの韓国料理は辛いものが多いというのは周知のとおり。焼肉に関しても、タレよりコチュジャンを使うほうがポピュラーとか。コチュとは韓国語の唐辛子であるように、多くの韓国人は辛くして食べているようですが、なぜみなさんは辛いものが好きなのでしょうか?
「韓国は、全体的に日本より寒いからだと思うわ。辛いものがカラダを温めるというのは韓国でも日本でも共通に言われていることで、冬の寒さを凌ぐ知恵のひとつとして、昔から辛い料理を食べていたのではないかしら」(ユンさん)
日本が島国なのに対して、韓国は大陸の北から来る寒気の影響を強く受けます。そのため、都市にもよりますが日本に比べて気温が低くなりやすいのです。そしてもうひとつ大きな理由は、肉を食べていた食文化が関係しているという説です。魚と野菜がおかずの中心だった日本と違い、古くから肉料理も食べてきた韓国人。その濃厚な味に負けないおいしさに調理するため、唐辛子が使われてきたと考えられています。
「ただ、やっぱり小さい子はなかなか辛いのが食べられなくて。私も昔はキムチを一度洗ってから食べてたわ。でもみんな普通に辛いものを食べてるから、自然に慣れていくの。なかには辛さをウリにしている店もあって、当時通っていたお店のトッポキは本当に激辛だと思うわ」(ユンさん)
韓国のラーメンは辛いのが当たり前!
子どものころから少しずつ慣れることで耐性ができ、大人になるころには辛くてもそれが普通になるということですね。テストマーケティングで食べてもらったキムチの辛さに、満足できなかったのも納得です。では、ほかに辛くなくて物足りないと思った日本の韓国料理ってありますか?
「たとえばキムチチゲの素とか。あとは日本の韓国料理屋に行った際に、日本人向けに辛さを抑えてると思う店はいくつかあったわ。また、韓国で定番のフライドチキンは『ヤンニョムチキン』という甘辛い味付けだから、もっと増えたらいいのにって思う。これはラーメンも同じで、韓国は日本でも有名な『辛ラーメン』がポピュラーだから、普通のラーメンを注文するとつい辛くしてしまうわね」(ユンさん)
驚いたことに、ラーメンは辛くない味がないといえるほど、基本的にどれも辛いとか。ただ、ここまで辛いものの話を聞いてきましたが「ナムルやチャプチェのように、辛くなくておいしい韓国料理もたくさんありますから!」とユンさん。さらには、日本人が食べているようなカレーライスやトンカツなども、韓国の家庭で普通に食べているようです。
辛さの味覚は大きく異なるものの、焼酎はソジュ、日本酒はマッコリ、浅漬けはキムチと、似たような食文化があるのも事実。やはり隣国は近い部分もあるということで、また機会があったらより深掘りした話を聞いてみたいと思います。
※この企画は、外国人留学生へのリサーチから得た知見をもとに、海外向けに日本企業のブランディングや商品PRのサポートを行う「LIFE PEPPER」とのコラボによるものです。