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2023/2/12 11:15

バレンタインにチョコレート不使用!? グルテンフリーでノンオイルのバレンタインスイーツレシピ

2月14日はバレンタインデー。SNS映えするような見た目の凝ったスイーツも楽しいですが、今年は誰でもおいしく食べられるスイーツを手作りしてみませんか?

 

ノンオイル料理研究家として活躍する茨木くみ子さんに、ノンオイル&グルテンフリーなバレンタインレシピを教えていただきました。グルテンを控えている人はもちろん、カロリーが気になる人にもおすすめの、身体にやさしいスイーツ3品です。

 

“ノンオイル” はなぜ身体にやさしい?

茨木さんは、バターやオイルといった脂質の多い食材を使うことなく、和食や中華、お菓子、パンなどをつくるノンオイル料理研究家。自らの身体のためにノンオイル料理をはじめたそうですが、そもそも低脂質の料理は、私たちの身体にどんないいことがあるのでしょうか?

 

「エネルギー源になったり、細胞膜やホルモンをつくったりする脂質は、私たちの身体にとって欠かせない栄養素の一つです。農林水産省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考にすると、女性は一日に45~65g程度(※)の脂質をとるべきと考えられます。45~65gが多いのか少ないのか、あまり想像がつかない方も多いと思いますが、木綿豆腐1丁(350g)で約18g、サンマ1匹で約20g、たまご1個で約5.7gです。

 

ところが、今はバターやオイルを使った料理にあふれていて、多くの人が脂質をとりすぎています。例えば、朝にクロワッサンを1つ、昼にミックスサンドを1つ、おやつにショートケーキを食べて、夜にとんかつ定食……それだけで脂質量は約80gです。マヨネーズやドレッシングをかければ、さらに増えていきます。

 

脂質をとりすぎると、エネルギー源として燃焼されずに身体にたまっていき、高脂血症や肥満、脂肪肝といった生活習慣病の原因に。さらに油は、熱することでトランス脂肪酸が増えたり酸化しやすくなったり、身体によくない要素が増えていきます。日本にアトピーやアレルギーのある方が増えているのは、こうした身体によくない油が原因とも言われているんですよ。

 

ノンオイル料理は、その名の通りバターやオイルなどを使わず、素材に含まれている脂質だけをとります。そのため過剰摂取になりにくく、身体によくない油も避けられるので、健康に良いのです」(ノンオイル料理研究家・茨木くみ子さん、以下同)

 

※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で目標とされている、一日の食事のカロリーに対する脂質のエネルギー比は20%以上30%未満。女性が一日に2000kcalの食事をとった場合、そのうちの20~30%は45~65gになる計算です。

↑約20年前、どんなダイエットもうまくいかずに悩んでいた茨木さんが最後にたどり着いたのがノンオイル料理だったそう。以来、健康的な体型をキープされています。

 

グルテンフリーでなくとも取り入れるべき? 「米粉」の魅力

小麦粉の代わりになる米粉は、グルテンフリーの強い味方です。でも実は、グルテンフリーに取り組んでいない人にとっても米粉を使うメリットはたくさんあるのだとか。

 

米粉の魅力1.日本人の体質に合っている
「古くから日本人はお米を主食としてきたので、身体もお米やお米を原料とする食材に合った体質になっています。その一例が、腸内細菌です。個人差はあるとは思いますが、少なくとも私はお米を食べないと腸の水分量が減って便秘気味になると感じます。ですから、小麦粉よりも米粉のほうが、日本人の身体にやさしいと考えています」

 

米粉の魅力2.国産なので安心
「約90%を輸入に頼る小麦に対し、お米の自給率はほぼ100%。国産だとポストハーベスト農薬(カビや害虫防止のために収穫後にかける農薬)がかかっている心配がないので、より身体にやさしいと言えます」

 

米粉の魅力3.病気を予防する
「最近わかったことなのですが、お米を食べている民族がもつ腸内細菌には肥満や糖尿病を予防する効果があるそうです。米粉もお米の一種ですので、病気の予防効果を期待できます」

 

米粉の魅力4.時短でお菓子づくりができる
「小麦粉を使ってクッキーをつくると、必ず『冷蔵庫で生地を寝かせる』という工程がありませんか? 小麦粉に含まれるグルテンにはギュッと固まる性質があるので、時間を置いてゆるませないと生地が伸ばしにくいからなのです。でも米粉にはグルテンが入っていないので、生地を寝かせる手間がかかりません」

 

代替する材料選びのポイントは?

お菓子づくりにはバターや小麦粉が欠かせません。ではノンオイル&グルテンフリーの場合、いったい何で代用したらいいのでしょうか? 茨木さんに、材料選びのポイントについて教えていただきました。

 

・バターの代わりに「みずあめ」「コンデンスミルク」

「みずあめを使うことで、焼き菓子はしっとり、ケーキはどっしりと仕上がります。また、時間が経ったときにパサつくのも防止できます。コンデンスミルクは、バターのような風味を出したいときにおすすめです」

 

・小麦粉の代わりに「米粉」

「一口に米粉と言ってもさまざまな種類がありますが、必ず『お菓子用』と書かれているものを選んでください。なかでも、熊本県産のお米『ミズホチカラ』でつくった米粉はきめ細やかで吸水性が高いので、焼き菓子などはよりサクサクふわふわな食感に仕上がります」

 

・チョコレートの代わりに「ココアパウダー(無糖)」

「バレンタインといえばチョコレート。チョコレートは脂質が多いため、ココアパウダーで代用します。水あめと混ぜれば、味だけではなく食感もチョコレートに近づきます」

 

・砂糖は上白糖をチョイス

「ちなみに砂糖は『上白糖』を使っています。精製していない自然な色味のてんさい糖のほうが身体にやさしいイメージがあるかもしれませんが、精製してできる白色の上白糖も100%自然の色味なんですよ。精製することで、農薬などのあまり身体によくないものも取り除かれるのでおすすめです」

 

茨木さんはこんな話も。「私はシフォンケーキをつくるとき、サラダ油の代わりに水を入れます。よく『水で大丈夫?』と聞かれるのですが、サラダ油を入れたシフォンケーキよりふわふわしっとりに焼きあがります。意外とうまくいっちゃうものです! バターや小麦粉を使わないとおいしいお菓子にならない……というのは思い込みかもしれないですね」

 

ノンオイル&グルテンフリーのスイーツレシピ

ここからは、バレンタインデーにおすすめしたい、ノンオイル&グルテンフリースイーツのレシピを紹介します。茨木さんに、「ノンオイルチョコバナナのチャンククッキー」「ココアで生チョコトリュフ」「豆乳のなめらかチョコプリン」の3レシピを考案、教えていただきました。

 

■ ナッツのザクザク感で食べごたえ抜群! 「ノンオイルチョコバナナのチャンククッキー」

茨木さんが有名カフェチェーン店のチャンククッキーをイメージしてつくったというレシピ。ココアとバナナのほんのりとした甘さが口に広がります。カロリー、脂質ともに市販品の1/3ほどなので、罪悪感なく食べられます。

 

【カロリーと脂質】

1枚あたり100kcal、脂質4g

 

【材料(8枚分)】

・卵黄……1個
・砂糖……30g
・みずあめ……10g
・バナナ……60g

 

〈A〉
・米粉……70g
・ココア……15 g
・アーモンドプードル……10g
・ベーキングパウダー……2g
・塩……1つまみ

・バニラオイル……適量
・ミックスナッツ……30 g
・飾り用ナッツ……10g

 

【下準備】

・生のナッツは170℃で10分空焼きする
・みずあめは電子レンジ(500w)で10秒加熱して溶かす

 

【作り方】

1.卵黄に砂糖とみずあめを加え、白っぽくなるまで手早くすり混ぜる

「卵黄と砂糖を合わせるとダマができやすくなります。ダマになるのを防ぐために、砂糖が溶けるまでは手を止めずに一気に混ぜてください」

 

2.一口大にちぎったバナナを加え、つぶしながら混ぜる

「冷凍バナナを使うときは、軽く電子レンジで溶かすか自然解凍で半解凍程度まで溶かしてください」

 

3.Aをふるい入れたらゴムベラで混ぜ、まとまったらバニラオイルとナッツを入れて軽く練る

「粉っぽさが残ってまとまらないときは、豆乳や水を少し加えてください」

 

4.クッキングシートの上に生地を8個に分けて置き、指で丸く伸ばす

「大体5mmくらいの薄さにします。生地が指にくっついてしまうときは、指先に軽く米粉をつけると伸ばしやすくなりますよ」

 

5.ナッツを飾り、180℃に余熱したオーブンで14分程度焼く

「ナッツの種類や量は自分好みにアレンジしてみてくださいね」

 

■ チョコレートでつくるよりも簡単! 「ココアで生チョコトリュフ」

チョコレートでトリュフをつくるとき、溶かす温度を間違えて分離してしまったことはありませんか? ココアを使うこのレシピなら温度管理はいっさい必要ありません。誰でも簡単につくることができるのです。

 

【カロリーと脂質】

1個あたり46kcal、脂質1g

 

【材料(10個分)】

・粉ゼラチン……2g
・冷水……大さじ1

・ココア……45g
・粉糖……65g
・豆乳……40g
・ラム酒……2g

・仕上げのココア……適量

 

【下準備】

・ゼラチンは冷水でふやかしておく

 

【作り方】

1.ボウルにココアと粉糖をふるい入れ、豆乳を少しずつ加えてゴムベラで練る

「ココアと粉糖に水分が均等にいきわたるよう、粉っぽさが残っている部分に豆乳を加えるようにしてください」

 

2.ゼラチンを電子レンジ(500w)で10秒加熱して溶かし、1に加え混ぜる

「ゼラチンを加熱しすぎると蒸発してしまうので、溶けたらすぐに電子レンジから出すようにしてください」

 

3.ラム酒を加えてよく練り、氷水で冷やす

「ボウルに貼り付けるように塗っておくことで、より早く冷えます」

 

4.固くなったらスプーンで丸くし、仕上げのココアを広げたバッドに置く

「スプーンを水にぬらすとトリュフの生地がくっつかなくなるので、形をつくりやすくなります」

 

5.ココアを全体にまぶしたら、手のひらで転がして形を整える

「とってもやわらかいので、やさしい力で形を整えてください」

 

■ とろ~り濃厚、なのにペロッと食べられる! 「豆乳のなめらかチョコプリン」

バレンタインの定番と言えば焼き菓子ですが、「今年は例年と違うスイーツを作ってみたい」と思う人には、チョコプリンがおすすめ。ほろ苦いキャラメルソースがかかっている上、豆乳でさっぱりしているので、甘いものが苦手でもペロッと食べきれます。

 

【カロリーと脂質】

1個あたり145kcal、脂質3.3g

 

【材料(4個分)】

〈キャラメル〉
・砂糖……30g
・水……大さじ1
・熱湯……11g

※プラカップに熱いキャラメルを注ぐと容器が溶ける可能性があります。プリンだけでも十分美味しいので、プラカップでつくる場合はキャラメルなしのレシピでつくってください。

 

〈プリン〉
・粉ゼラチン……5g
・冷水……大さじ2
・豆乳(牛乳でも可)…… 270ml
・みずあめ……20g
・ココア……17g
・砂糖……40g
・バニラ……適宜
・ラム酒……小さじ1

 

【下準備】

・ゼラチンは冷水でふやかしておく
・砂糖とココアは一つのボウルにまとめ、軽く手でまぜておく

 

【キャラメルの作り方】

1.砂糖と水を鍋に入れ、中火にかける。いい焦げ色になりはじめたら火を止め、熱湯を加える

「焦げやすいので、火をつけたら必ず鍋をゆすってください」

 

2.冷めないうちに容器に流し入れ、冷やす

「冷めると固まってしまうので早めに容器に移しましょう。常温に置いておけば次第に冷めていきますが、急ぐときは氷水に浸してください」

 

【プリンの作り方】

1.ボウルに砂糖とココアをふるい入れ、豆乳を少しずつ注ぎ混ぜる

「ココアはダマになりやすいので要注意。ふるい入れることで、口当たりがなめらかになります」

 

2.濾しながら鍋に移したら中火にかけ、混ぜながら加熱する。途中でみずあめを溶かす

「プリン液を混ぜながらへらを温めることで、みずあめが入れやすくなります」

 

3.湯気が出たら火を止め、ゼラチン、バニラ、ラム酒を加え混ぜる

「ゼラチンはすぐに溶けるので、一気に入れて大丈夫です」

 

4.キャラメルが固まっていることを確認し、容器へ。プリン液が冷めたら冷蔵庫で2~3時間冷やす

「容器に流し入れたあとに表面の泡をスプーンなどで取っておくと、つるんとした見た目に仕上がります。平皿に移すときは、よく固まってからさかさまにして出してください。フチを少し指で押すと出しやすくなりますよ」

 

「お菓子はあくまで間食なので、15時に食べたら夜ごはんまでにお腹がすくのが理想的。150kcalがおよそ1時間で空腹になる量と言われているので、食べるときには150kcal以下を意識してみてくださいね。身体にやさしいお菓子を健康的に食べて、罪悪感のないバレンタインを過ごしましょう」

 

プロフィール

ノンオイル料理研究家 / 茨木くみ子

東京會舘、今田美奈子お菓子教室などで経験を積んだ後、茨木クッキングスタジオをオープン。油脂を使用しないパン、お菓子、料理のレシピ開発に加え、講師として指導も行っており、教室歴は25年にのぼる。保健師、看護師、心理相談員の資格も持ち、生活習慣病指導、メタボ対策、正しいダイエットの普及などにも尽力。近著に「ふとらないクリームのお菓子」(エムディエヌコーポレーション)、「ふとらない米粉のお菓子」「こねないふとらない食パン」(ともに文化出版局)などがある。
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提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」