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2025/3/14 11:30

約20万円のサムスン最新スマホ「Galaxy S25 Ultra」。1ヶ月かけてAI、カメラ、Sペン、便利機能をみっちりレビュー

サムスン電子ジャパンが2月14日に発売した最新のAndroidスマホ「Galaxy S25 Ultra」のSIMフリーモデルを約1か月使い続けてみました。完成度が一段と増した実力派“AIスマホ”のよかった点、気になった点をレポートします。

↑6.9インチのGalaxy S25 Ultra。チタニウム グレーの256GBモデルを試用しました

 

分割画面表示が可能。高輝度・高精細な6.9インチ大画面が活きる

Galaxy S25 Ultraは約6.9インチのラージサイズなスマホ。3120×1440ピクセル(QHD+)の高精細な有機ELディスプレイを搭載し、ピーク輝度2600nitsという明るい画面がビデオや写真を引き立てます。デフォルトではやや画面の色温度が高めで青みがかっているように感じられましたが、本体設定から「ディスプレイ」に入り「色調を最適化」するメニューをオンにすると、自然でバランスの良い色合いになりました。

 

実際に使用した機能の中では、6.9インチの大画面に2つのアプリを同時に表示できる「分割画面表示」がとても気に入っています。YouTubeでコンテンツを視聴しながら、隣にWebやメール、SNSといった他のアプリを同時に立ち上げることもできます。

↑6.9インチの大型有機ELディスプレイを採用

 

↑本体を横に構えて分割画面表示に。左側でYouTubeを視聴しながら、もう片側でWeb検索やSNSを利用できます

 

頭脳となるプロセッサーはクアルコムの最新鋭モバイル向けSoC「Snapdragon」シリーズを、Galaxyシリーズのためにチューニングした「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」。もともとが高性能なこともあり、滑らかで安定した動作を実現しています。

 

本体質量は218g。2024年発売の6.8インチGalaxy S24 Ultraよりも15g軽くなりました。このサイズにしては片手持ち操作も軽快です。ディスプレイ周囲の黒い縁(ベゼル)も超スリムで、隅々にまで映像表示が広がります。

 

ボディの素材はチタニウム。ディスプレイのカバーガラスはキズに強い最新世代のCorning Gorilla Armor 2です。側面のフレームやバックパネルに指紋の付着が目立ちにくい反面、表面の質感がサラサラしているので、片手でホールドしているとうっかり手もとが滑りそうになります。落としてキズを付けないように、ケースを装着して使うべきスマホだと思いますが、本体の軽さが損なわれないようなケースを見つけたいところです。

↑質感の高いチタニウム合金のフレームを採用。指触りがとても滑らかです

 

ちなみに、生体認証はディスプレイ埋め込みタイプの指紋センサーとフロントカメラによる顔認識です。両方あれば、春の花粉症シーズンにマスクを着けたまま指紋センサーでスムーズに画面ロック解除もできて便利ですね。

 

ショートカット操作で便利に使えるSペンを内蔵

S25シリーズの大型モデルであるUltraは、入力操作やイラストのスケッチなどさまざまな用途に使える専用スタイラス「Sペン」を本体に格納できます。SペンもIP68相当の防塵・防水に対応していますが、これはスマホ本体にペンが収納されている場合に限るので注意しましょう。筆者は長風呂しながら原稿の草案を手書きでまとめられるタブレットやスマホが欲しかったのですが、残念ながらお風呂に入りながらSペンを使うことは推奨されていません。

↑S25 Ultraは本体に専用のスタイラス「Sペン」が収納できます

 

なお、S25 Ultraが内蔵するSペンにはBluetooth機能がありません。S24 UltraのSペンのように、ペンのボタンでカメラアプリのシャッターを遠隔操作する機能は省かれてしまいましたが、その他の機能は健在です。スマホの画面に近づけてSペン側面のボタンをクリックすると、ディスプレイにアプリへのショートカットメニューが呼び出せる「エアコマンド」には、「スケッチアシスト」「翻訳」や「ボイスレコーダー」など、頻繁に使うアプリのショートカットを割り当てておくと便利でした。

 

独自のAIエージェント「Bixby」とGoogle Geminiを比べる

サムスン独自のAIエージェント「Bixby(ビグスビー)」が、Galaxy S25シリーズからついに日本語に対応しました。Samsungアカウントを登録すれば無料で使えるサービスです。スマホに「ビグスビー」と話しかけるか、アプリアイコンをタップして選択、またはサイドボタンの長押し操作から呼び出せます。

↑Galaxy独自のAIエージェント、ビグスビーの日本語対応が2月12日から始まりました

 

S25 Ultraの場合、サイドボタンの操作を「Google Geminiの呼び出し」にも設定できます。筆者が試した限り、Bixbyに「いまおすすめパソコンを教えて」と聞くと「申し訳ありません。最新の情報は取得できません。」という答えが返ってきたり、新しい知識の習得がまだ不十分に感じられたりすることがありました。Geminiに同じ質問を聞くと、私が「パソコンで何をしたいか」「予算は?」など具体的な候補を絞り込むためのヒントを次々に答えてくれます。またGeminiは、例えば「池袋駅周辺でインターネットと電源が使えるカフェを検索して、リストを山本敦にメールして」といった具合に、2つのアプリによる連続操作もシームレスにこなします。

↑Google Geminiは検索したスポーツ観戦のスケジュールをカレンダーに登録したり、Googleアプリを連係して操作したりもできます。筆者はGemini Advancedに登録していますが、今回は「2.0 Flash」で試しました

 

S24 Ultraに続いてSペンによるAIスケッチも可能です。プリインストールされているスケッチアシストアプリなら、手書きのラフなイラストをきれいに清書してくれます。また「ギャラリー」アプリに保存されている写真に、Sペンでラフにスケッチした画も同様に清書します。

↑エアコマンドからスケッチアシストを起動。Sペンで描いた雑なスケッチから雰囲気のあるイラストにAIが生成してくれました

 

↑Sペンで写真データに落書きしたスケッチ

 

↑いい感じのイラストに仕上げてくれます

 

仕事に役立つボイスレコーダーと旅行に欠かせない翻訳

ライターとしては、Galaxyオリジナルのボイスレコーダーアプリを活用する機会が多くありました。独自のGalaxy AIによる文字起こしは、昨年のGalaxy S24でこの機能が使えるようになったときと比べて、さらに精度が上がった手応えがあります。特に日本語の認識精度が高くなりました。複数人数が参加する会話の「話者認識」と「要約」もしっかり日本語対応です。Google Pixelシリーズのボイスレコーダーは英語のみの対応なので、この点では今のところGalaxy S25が勝っています。

 

ただし、録音中に文字起こしの結果がリアルタイムに見られないところがGalaxyのボイスレコーダーの弱点と言えます。終了後にまとめて文字起こしをしますが、およそ30分間の会話の日本語起こしが約3分、1時間の会話は6分でした。言語ごとの辞書ファイルをデバイスにダウンロードしておけば、文字起こしはオフラインでも可能。録音音声と文字起こしのテキストファイルはGoogleドライブなどに保存できます。反対に、ほかのデバイスで録音したファイルをボイスレコーダーアプリに取り込んで文字起こしができるのか試しましたが、このような使い方には対応していないようです。

↑ピンチのときに役立つ翻訳アプリ。デバイスがオフラインでも使えます

 

言語関連の機能では、クイックパネルからアクセスできるリアルタイム通訳もあります。音声入力が求められますが、日本語から外国語への短文の翻訳であれば精度は高く実用的です。オフラインでも使えるので、例えば海外の航空会社を利用する際、客室乗務員の方と「この飛行機は目的地空港の何番ターミナルに到着しますか?」「ワイヤレスイヤホンを片方落としてしまいました」など、困りごとが発生したときに会話ができます。

↑Galaxy AIがユーザーに有用な情報をよいタイミングで知らせてくれる「Now Brief」の機能もあります

 

写真やビデオの手軽なAI加工は今後のトレンドになりそう

メインカメラは前世代から仕様があまり変わっていませんが、超広角カメラの画素数が1200万から5000万にアップしました。Galaxy Sシリーズのカメラは操作性がとてもスムーズなのが特徴です。画面をタップするとズーム倍率が変わるほか、被写体にカメラを近づけると自動的にマクロ撮影に切り替わります。広角カメラは2億画素のイメージセンサーの実力をフルに活かした写真が撮れますが、ファイルサイズが一気に跳ね上がってストレージが逼迫するので要注意です。

↑充実のカメラ機能もGalaxy S25 Ultraの魅力です

 

撮影後の写真・動画はネイティブのギャラリーアプリで閲覧・編集ができます。写真にSペンで直接スケッチを描き込むような使い方はもちろん、動画の気になるノイズを取り除く「オーディオ消しゴム」のようなGalaxy AIが活躍する機能も便利でしょう。高性能なカメラで「撮る」だけでなく、撮影した素材を生成AIの技術で加工して楽しめるスマホはこれからのトレンドになる気がします。

↑動画に収録されてしまったノイズだけをキレイに消すオーディオ消しゴムも便利でした

 

バッテリー容量は5000mAh、連続してビデオを再生できる時間の目安は約31時間。1日中使い倒してもバッテリーがしっかり持つうえ、別売の45W Power Adapterによる急速充電にも対応します。

 

Galaxy S25 Ultraはカメラ、ディスプレイ、Sペン、そしてGalaxy AIに関連する機能も充実する完成度の高いハイエンドモデルです。Samsung.comでは内蔵ストレージが256GBのモデルが19万9800円(税込)と高価なので、気軽に買えるスマホとは言えませんが、少し背伸びをしてでも本当に良質な最新のAIスマホが欲しい方には最重要な選択肢の一つになるはずです。