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2018/3/20 18:19

さらなる通信費節約の兆し? IIJが始める「フルMVNO」をわかりやすく解説!

IIJ(インターネットイニシアティブ)が、3月15日から日本初の「フルMVNO」という新サービスを開始しました。

 

MVNO(Mobile Virtual Network Operator)とは、大手キャリアの通信回線設備を借りて、自社ブランドで通信サービスを提供する仮想移動体通信事業者のことです。IIJはMVNOとして、法人向けに「IIJモバイル」、コンシューマー向けに「IIJmio」というサービスを提供しています。そこに “フル” の新サービスが追加されたわけです。

 

“フル” とは、どういう意味なのか?  どんなメリットがあるのか? できるだけ、わかりやすく説明したいと思います。

 

フルMVNOとは、端的に言えば「基地局以外のすべてをコントロールするMVNO」です。これまでのMVNOは、たとえばNTTドコモのネットワークを使うサービスの場合、ドコモから借りたSIMを使用し、それをスマホに挿すと「NTT DOCOMO」というピクトが表示されました。一方、フルMVNOでは、IIJが作ったSIMを使います。IIJがオリジナルのデザインで製造・販売でき、そのSIMをスマホに挿すと「NTT DOCOMO」ではなく「IIJ」というピクトが表示されます。

 

↑IIJがフルMVNOサービスで用いるSIMカード

 

↑筆者のDSDS(2枚のSIMを挿せる)対応のスマホに挿してみた。2枚目のSIMの事業者名として「IIJ」が表示された

 

加入者を管理する機能が持てることもフルMVNOの特長です。具体的には、SIMの利用を開始したり、一時停止したりといったコントロールが、IIJ独自で行えるようになります。例えば、通信を使わない時期は一時的に利用停止にして、通信費をセーブしたりもできるわけです。万一、紛失したり、盗難に遭ったりした場合に、即利用停止の措置を講じらえるという安心感も高まります。

 

↑MVNOにとって「HLR/HSS」という加入者管理機能を持てることが大きなメリット

 

従来のMVNOでは、海外ローミングサービスは、大手キャリアが提供するサービスに依存する必要がありました。ドコモ回線を使うMVNOの場合は、通話はドコモの「WORLD WING」という国際ローミングサービスが適用されますが、通話料は決して安くありません。また、データ通信の国際ローミングは適用されず、別途モバイルルーターを借りたりする手間が生じました。一方、フルMVNOでは、IIJが独自に提携した海外のMVNOとの接続も実現する見通しです。

 

↑バックアップ回線の提供や、独自の海外ネットワーク接続など、各種オプションサービスが大手キャリアよりも安く提供される可能性も

 

フルMVNOは、大手キャリアの通信設備は利用するものの、ユーザー側には、そのキャリアの名前も特徴もほとんど見えません。要するに、日本国内はもちろん、国際的にも独立した移動体通信事業者となるわけです。

 

↑従来のMVNOを「ライトMVNO」と呼んだ場合の、フルMVNOとの比較

 

↑従来型のSIMだけでなく、IoT向けのチップSIMも提供予定

 

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