デジタル
2022/6/19 11:00

アバターでの生活が当たり前になる! 世界最大のバーチャルマーケットを運営する「HIKKY」にメタバースの“未来”を聞いた

バーチャルな空間でのコミュニケーションが加速する2022年は“メタバース元年”と言われますが、本当にそうなのでしょうか。そこで、世界最大のバーチャルマーケットを運営する「HIKKY」に、メタバース内でアバターを作って楽しみ、そして暮らすメリットを聞いてみました!

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです

 

この人に聞きました!

メタバースクリエイター

さわえみかさん

広がり続けるバーチャルマーケットをはじめとした、展示会の世界を彩りつづけているメタバースクリエイティブディレクター。

 

メタバースのなかに生活・経済・文化圏をつくる

1回の開催で100万人超が訪れるようになったバーチャルマーケットは、主にVR SNSであり、メタバースサービスのひとつであるVRChatで開催されてきたバーチャルリアリティマーケットイベントです。規模感・クオリティ共に世界トップクラスで、メディアのニュースでは主に企業ブースが取り上げられますが、それだけではありません。実はVRChatユーザーのクリエイターが集まり、自分たちの作品を展示する場でもあるのです。

 

「クリエイターの活躍の場や、楽しいと思える場所を広げていくためにバーチャルマーケットを作っているんですよ」と言うのはワールド全体のアートディレクションを担当するさわえみかさん。VRChatに限らず、VR SNSは仮想空間で構築されるものゆえに、重力など現実の物理現象にとらわれない表現が可能。テーマパークのような夢いっぱいの空間のなか、コンセプトにマッチした作品や企業ブースが展示されることで、現実を超えるメタバースを実現しています。面白いのは、アバターなどを作っている3DCGクリエイターだけが主役ではないことです。

 

「ファンタジーな雰囲気のワールドには、ファンタジーな衣装をまとったアバターの人たちが路上ライブをやっています。文化活動が交流につながる場所にもなっているんです」(さわえさん)

 

↑VRヘッドセットを用いれば、メタバースの世界のなかに身体ごと入り込んだかのような圧倒的な没入感を体感することができる

 

バーチャルマーケットを運営するHIKKYは、代表取締役の舟越 靖さんと、取締役である動く城のフィオさんによる「クリエイターが好きな表現活動をして、生きていけるようになるべき。メタバースのなかに生活圏、経済圏、文化圏を作っていきたい」という思いから生まれたベンチャー企業。個人が自作アバターを販売するだけではなく、メタバース内での活動が認められて、そこでの企業イベントに関わるデザイナーや出演するミュージシャンやダンサーが増えてきている現在、まさにVR空間のなかで暮らして生きていける世界が成り立ちつつあります。

 

アバターワークにはメリットが数多い

アバターで暮らすことに最初は抵抗があっても、やがて慣れます。仮想空間ゆえに好きな場所へすぐジャンプでき、待ち合わせ場所に行くのに時間がかからないため、時間を効率良く使って生活できる場ともなり得るのです。実際にHIKKYは社長、役員、社員全員がVR出社を行い、VR空間内で業務を執り行っているそうです。

 

「普段は自宅でノーメイク。でもVRなら瞬時に着飾った姿になって打ち合わせも商談もできるんですよね」(さわえさん)

 

リモートワークやワーケーションであっても、バーチャルなオフィスに入れば、いつもどおりの仲間と会って、ちょっとした相談や雑談だって気楽に行える。Zoomのような2次元の会議システムとは違ったメリットが、アバターワークにはある。この生活に慣れてしまうと、リアルよりはるかに楽だと思えるのでしょう。

↑HIKKYではスマホ単体でもバーチャル空間に入れるよう、VRコンテンツ開発エンジン「Vket Cloud」を開発、提供している

 

HIKKY運営のバーチャルマーケットはすでに7度開催! 出展ブース数は「ギネス世界記録(TM)」にも認定された

プロの接客スタッフがVR内のブースに降臨し、インパクトのあるキャラクターが縦横無尽にワールド内を動き回る。ECを超えるVRコマースの、それも最先端が揃うメタバースイベントが、HIKKYが運営するバーチャルマーケットです。

「クリエイターがアバターを作るという表現活動が収益に結びついて生きていけるように」と開催されたバーチャルマーケット。最大で114万人を集める巨大イベントとなったことから、企業出展も伸びてきています。2021年12月4〜19日に開催されたバーチャルマーケット2021では、過去最大となる約80社が出展。リアルに寄せたブースもあれば豪華絢爛な見栄えのブースもあり、エンタメ体験や、ショッピングを楽しめるバーチャル空間に仕上がっていました。

↑バーチャルリアリティマーケットイベントにおけるブースの最多数、そして1時間でTwitterに投稿されたアバターの写真の最多数(2311枚)として「ギネス世界記録(TM)」にダブル認定!

 

【あの企業も?!】バーチャルマーケットに出展した企業

 

その1:BEAMS

3回目の出展となったBEAMS。一見するとリアルな店舗。館内を巡ると、Netflix映画「浅草キッド」の舞台となった昭和のバーチャル浅草が現れるインタラクティブな展示が秀逸でした。

 

その2:大丸松坂屋百貨店

寿司やローストビーフの3Dモデルで彩られた空間を展開。ごちそうグルメ2700点が購入できるコーナーのほか回転グルメカウンター席や座敷席があり、リアルに腹ペコに!

 

その3:東京マルイ

バーチャルシューティングレンジに、バーチャルサバイバルゲームが楽しめるフロアもあった東京マルイのブース。電動ガンの楽しさ面白さを思う存分味わえる仕掛けでした。

 

その4:HP

VR SNSの充実度を高めるVRヘッドセットやゲーミングPC製品を展示。プレゼントキャンペーンの写真ツイート企画では、多くのユーザーが様々なプレゼントを嘆願していました。

 

その5:ローソン

セルフコーヒーマシンなど、体験コーナーを多数展示。アバターの自撮り写真をからあげクンのパッケージにバーチャルプリントできるオリジナル品製作サービスも人気。

 

その6:JR東日本(特別協力)

ARで見たらこうなる? という次世代リアル都市を感じさせてくれたパラリアル秋葉原。その玄関にあるのがデジタルツインなJR秋葉原駅。券売機や改札は、見た目も音も超リアル!

 

執筆/武者良太