台湾のPCメーカー・ASUSTeK Computer(以下ASUS)は、台湾本社でポータブルゲーミングPCの新モデル「ROG Ally X」を発表しました。6月4日〜7日まで台北で開催されていたPCパーツ関連の展示会「COMPUTEX TAIPEI 2024」にあわせてのタイミングとなります。
ポータブルゲーミングPCは、小型ディスプレイとゲームパッドを搭載した、Nintendo Switchのような形状のゲーミングPCです。周辺機器を活用して拡張することで通常のPCとしても使用でき、もちろん持ち運んでゲームも楽しめます。ASUSが2023年に発売した「ROG Ally」は、多くのポータブルゲーミングPCの中でも、最も売れた製品だといいます。
ユーザーの声に答えてパワーアップ
今回発表されたROG Ally Xは世界中のユーザーの声に応えて、大きく強化したモデルです。フルHDの7.0型ディスプレイやCPUに「AMD Ryzen Z1 Extreme」を搭載する点は共通ですが、使い勝手の面で進化しています。
最も大きいのが、内蔵バッテリーが40Whから80Whに倍増したこと。従来モデルで負荷の高いゲームをプレイすると、バッテリーが1~2時間しか持たないこともあり、なかには本体を改造してバッテリーを追加していたユーザーもいたそうです。今回、バッテリー駆動時間が大きく伸びたことで、より使い勝手がアップしています。
さらに、内蔵のSSDも512GBから1TBへ倍増。メモリーも速度がアップしたうえで、16GBから24GBへと増強されているのです。
個人的に最も良いアップデートだと感じたのが、 USB Type-C ポートが2基になったこと(USB3.2 Gen2とUSB4.0)。これにより、外部ディスプレイに出力しながら本体を充電する、キーボードや外付けストレージを接続するといった使い方ができるようになりました。
このほか背面キーのデザインが変更され、よりゲームプレイを邪魔しないようなレイアウトに変更されています。本体サイズは約幅280×高さ111×奥行き36.9mmで、質量は約678gとわずかに大きく、重くなっていますが性能の進化を考えると問題のないレベルです。
ASUSでアジア太平洋地域を統括するピーター・チャン氏によると「昨年発売されたROG Allyは北米市場に続いて、日本市場が2番目に売れた」とのこと。そして世界市場では支配的なポジションを確立しており、今回ユーザーからの声を反映し、使い勝手がアップしたROG Ally Xを発売することになったそうです。「ポータブルゲーミングPC市場には今後さらに期待し、投資をしていく」と語りました。
ROG Ally Xはグローバル市場では799ドルで7月に発売予定。日本市場は夏以降に発売予定です。
重量級のゲーミングキーボードやマウス、Wi-FiルーターもROGブランドで登場
このほかイベントでは、ROGブランドの周辺機器も登場しました。たとえば重厚感のあるアルミやカーボン素材などを幾層にも重ね合わせたゲーミングキーボード「ROG Azoth Extreme」。右上にタッチ操作に対応した有機ELディスプレイを搭載し、さまざまな情報を表示できます。
また、本体背面のスイッチでキーの打鍵感をソフトとハードで切り替えることが可能。物理的にキーボード内部でキーの固定が変わるため、打鍵感も大きく変わるのがおもしろいです。
重量感のあるキーボードに対して、ゲーミングマウス「ROG Harpe Ace Extreme」は カーボンファイバーで構成されており、わずか47gという軽さを実現しています。
これらキーボードとマウスの発売は未定です。
また、Wi-Fi 7に対応した新型のゲーミングルーターも登場。6GHz帯では最高11Gbpsを超える通信速度に対応します。すでにASUSはWi-Fi 7対応ゲーミングルーター「ROG Rapture GT-BE98」を日本国内でも販売しており、さらなるラインナップ拡充となりそうです。
ゲーミングPC市場において、ROGブランドの存在感は非常に大きくなっています。ゲーミングデスクトップやゲーミングノートに加えて今後、ポータブルゲーミングでもASUSが市場を引っ張っていくことになりそうです。
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