クリック率が450%アップ! AIは「コピーライター」の仕事も奪う?

ink_pen 2019/8/29
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クリック率が450%アップ! AIは「コピーライター」の仕事も奪う?
佐藤まきこ
さとうまきこ
佐藤まきこ

大学時代に細胞培養の研究を専攻した後、メディア・広告の世界へ。雑誌編集者や広告のプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのプランナー、エディターとして活動中。ハワイ、オアフ島在住。Instagram: @hawaii_milestone

コピーライターといえば、広告において巧みな言葉遣いで企業や商品の魅力を伝える職業です。私たちが普段使っている何気ない言葉でも、単語と単語の組み合わせにアレンジを加えたり、ちょっと型破りな表現方法を使ったりすることで、見る人の心をつかむことができます。

 

そんなコピーライティングの世界では型破りなスキルや感性が求められそうですが、コピーライターの世界にもAI進出の波が押し寄せてきているんです。米JPモルガン・チェース銀行は7月末、広告制作にAIコピーライターを使用することを発表。今後この動きは加速するかもしれません。

同行は、AIを使った制作企業であるPersadoと広告制作の5年契約を結んだことを発表しました。PersadoはAIが作ったコピーを広告に使用し、2016年から行われていたパイロット試験でクリックスルー率が450%も伸びた成果を出したのだそうです。

 

PersadoのAIコピーライターは、タグ付けされた言葉が100万以上あるデータベースを使用するうえ、データサイエンスや計算言語学、機械学習を活用して、ウェブマーケティングに最適な言葉を生成します。マーケティングの目的に最適な言葉を作りだし、マーケティングの成果を出しているのだとか。

 

JPモルガン・チェース銀行のCMOは「主観的な判断や経験則からマーケティング担当者がこれまでに使わなかったようなコピーを、AIコピーライターは作る」と述べています。人間のコピーライターが作る宣伝文句では「このフレーズは不向き」「この言い回しでは成果が出ない」といった主観的な判断が現場でされることは当然あるでしょうが、そんな決まりきった考え方に当てはまらないような予想外のフレーズを作れることもAIコピーライターの強みなのかもしれません。

 

日本の広告業界でも進む

AIコピーライター使う動きは、日本の広告業界でも見られます。19年5月に日本マクドナルドが行った期間限定販売の「改名バーガーズ」のプロモーションでは、AIコピーライターが使われ話題となりました。このときに使われたAIコピーライターは電通が開発した「AICO」。キャンペーン期間中は公式サイト内で改名したい名前を自由に入力すると、AICOが改名を提案していました。一般の方も気軽にAIコピーライターの能力を試せるとあって、SNSなどで盛り上がりました。

 

また、インタビューをもとにした記事を執筆する場合、ライターは録音した内容をまずテキストデータにする「テープ起こし」という作業を行います。結構時間を要する仕事なのですが、これをAIが行ってくれるサービスも様々なものが開発されてきているんですね。

現在の広告やメディア業界では、まだ人間が中心的な存在ではありますが、AIの存在感は日に日に高まってきているように見えます。AIは必ずしも人間から仕事を奪うわけではありませんが、人間のコピーライターもうかうかしていられないでしょう。AIを乗り越える知恵がほしいところです。

 

フェイク文章を見破る! 「眼光紙背に徹すAI」が人間を助ける天気予報、株価情報などの定型化した記事を制作する「AI記者」や、AIが自動でTwitterに投稿するなど、AIの執筆能力がますます進化している今日。人間が作った文章なのか、それともAIが作った文章なのかを見極める力が私たち人間には求められているのかもしれません。そこで役立ちそうなのが、AIが作った文章を検出するAIツールです。

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